【非接触事故】とは?車と接触がない交通事故での対応方法を解説

【非接触事故】とは?車と接触がない交通事故での対応方法を解説

車と接触がない交通事故である非接触事故の対応方法をご紹介します。この記事では、交通事故の種類から、非接触事故で加害者扱いされるケース、被害者・加害者になったときの対応方法、加害者が負う責任、因果関係の立証、過失の割合、被害者が怪我をしなかった場合の責任について詳しく解説していきます。

交通事故の種類

交通事故には「人身事故」「物損事故」「自損事故」「非接触事故」などの4種類があります。

「人身事故」とは

「人身事故」とは、事故により人身傷害が発生した事故です。

「物損事故」とは

「物損事故」とは、車や施設、設備などの財産に対して損害を与えられた事故です。

「自損事故」とは

「自損事故」とは、運転手の不注意や運転ミスによってガードレールにぶつけてしまった場合など、運転者が自ら単独で起こした事故のことです。

「非接触事故」とは

「非接触事故」とは、お互いに接触したわけではなく、損害が発生してしまいそうな事故のことをいいます。これは誘因事故とも呼ばれます。自分の車が無茶な動きをしたせいで、交通事故が起きたのであれば、高い割合の過失が発生することになります。

この記事では、特に「非接触事故」が起きたときの対応方法について詳しく解説していきます。

非接触事故で加害者扱いされるケースとは?

「非接触事故」として、ぶつかっていないのにもかかわらず加害者扱いされるケースとして、自分の運転していた車の動きに反応して動いた別の車が、さらに別の車・人・モノなどと「人身事故」「物損事故」「自損事故」を起こしてしまうケースがあります。

非接触事故で加害者扱いされるケースの例

【車線変更の事故】

自転車で走行中、となり車線の車が、急に合図なく車線を変更したため、驚いて衝突を避けようと急ハンドルを切ったら転倒して怪我をした。

【信号無視の事故】

歩行者が青信号で横断歩道を通行中、赤信号を無視したバイクが減速せずに突っ込んできたため、とっさに身をかわしたら転倒して怪我をした。

【追突事故】

自分の車をバックで車庫入れの駐車中に、その動きを予想していなかった後続車両がブレーキを踏んで、さらに後続の車から追突された。

【停車中の事故】

自分の車を停車していたら、周りを走行していた車が交通事故を起こし、その運転手からこちらの停車していた場所が悪いと言われる。

非接触事故の被害者になったときの対応方法

非接触事故は接触がないため、加害者がどこかに行って見失ってしまう可能性があります。自分の車が派手にガードレールにぶつかったとしても、その状況に気づかれないことや、気づきながらも知らないフリをして逃げてしまうため、素早い対応が必要となってきます。

ナンバープレートを確認

非接触事故の原因を作った相手が車やバイクであれば、相手のナンバープレートを忘れずにメモしておきましょう。相手のナンバープレートさえわかれば、逃亡したとしても相手を割り出すことができます。相手の過失が認められれば損害賠償の請求も可能です。

警察に通報する

非接触事故であっても交通事故扱いになりますので、公式に記録する必要があります。
また、事故を起こしたときに、怪我などをした場合は必ず「人身事故」として届け出て「交通事故証明書」を発行してもらいましょう。

「交通事故証明書」がなければ、自賠責保険(強制保険)の被害者請求のときに、余計な手間がかかり、「交通事故証明書」を入手できなかった理由を説明する「交通事故証明書入手不可能理由書」を提出しなくてはなりません。また、自動車保険(任意保険)を使うことができなくなる可能性があります。

接触の有無を問わず、運転者には、事故を警察に報告する義務が課せられており、違反には3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金刑が定められています。警察に報告をしておかないと、それだけで刑罰を受けるリスクがありますので注意しましょう(道路交通法第72条第1項、第119条第1項10号)。

目撃者の連絡先を聞く

非接触事故で損害賠償を請求するためには、目撃者の連絡先を聞くことで、事故との因果関係を明確にすることが必要です。ドライブレコーダー、防犯カメラなどの設置があれば目撃者の連絡先を聞く必要がないですが、証明するものがなければ、因果関係が立証できないため、損害賠償の請求ができなくなります。

そこで、事故を目撃していた人の証言が必要となってきますので、その場で事故を目撃した人の連絡先を可能な限り集め、証言をお願いするようにしましょう。

車にドライブレコーダーを付けてない場合は、もしものときのために付ける検討をしてもいいでしょう。

 

「被害者等通知制度」を確認

「被害者等通知制度」とは被害者や参考人などの方が希望される場合に、警察の捜査した事件の処分結果などを確認できる制度です。「被害者等通知制度」を確認することで、加害者が交通違反の罰則を受けているとされれば、過失は加害者にあり、事故との因果関係は明らかになります。これは、損害賠償を請求する上でもプラスの要素となります。

「被害者等通知制度」を利用するためには、まず、検察庁に連絡し、相談します。そこで、非接触事故の加害者が刑事罰を受けているのか、どんな処分が下されているのかを知ることができます。

非接触事故の加害者と疑われた場合の対応方法

警察に通報する

自分が交通事故で車との接触がなく、一切の被害がないと思っていても、相手からあなたのせいで事故を起こしたと言われた時点で交通事故に関与することになります。

その場合は、冷静になり、まずは警察を呼ぶようにしましょう。警察に通報しておかなければ、自分に賠償責任があるとなった場合に、自動車保険が使えない恐れがあります。

事故現場から立ち去らない

自分が悪くない場合に、事故現場から立ち去っても良いのではと考えるかもしれませんが非常に危険です。もし、相手に警察を呼ばれた場合、自分がいないところで一方的な実況見分が行われます。

相手がナンバープレートの番号を控えていると、警察から連絡が入る可能性が高く、事故現場から逃亡したと扱われるため、警察の心証は悪くなります。
そのため、非接触事故を起こした場合には、事故現場から立ち去らないようにしましょう。

警察の聴取に対応

警察が現場に入ると、警察官が聴取を行い、事故の状況を当事者に細かく聞いてきます。被害者が言いがかりを付けてきた場合でも、自分に警察が事情を聞いてくるため、真摯に対応し、自分が悪くない理由を淡々と説明します。

保険会社に連絡

もしも、警察によって加害者と確定されたときに、備えて自分の自動車保険会社に事故の報告の連絡をしておきます。電話で事故受付をしても、保険を使わないことが確定すれば、自動車保険の等級に影響はありません。

相手に連絡先を教えない

警察の事情聴取は、こちらの氏名、住所などの個人情報を話すため、被害者に聞かれないように、離れた場所で行いましょう。
被害者に個人情報を聞かれた場合には、後で電話や手紙などで損害賠償を請求されたりする可能性があります。

一般的な交通事故であれば、保険会社などに指示されて、事故相手との連絡先を必ず交換するようにします。しかし、非接触事故に関しては、相手の言いがかりの可能性があるため、個人情報を教えない方がいいでしょう。

警察は、被害者に加害者の連絡先を教える義務があると思われるかもしれませんが、実際には、加害者が承諾しない限り、連絡先を開示することはありません。
そのため、非接触事故の加害者と疑われた場合には、警察官にも相手に連絡先を開示しないように念を押しておきましょう。

相手の言いがかりに対しては冷静に対応

相手からの言いがかりのケースとして、多くの場合は事故を大事にするため、怪我がなくても救急車を呼ぶことがあるかもしれません。
症状がなくても、多くの保険金をもらうため、首を痛める「むち打ち」の症状を言ってくることもあります。その場合でも、自分に過失がなければ、救急車を呼ばれたとしても怪我の責任として賠償金を払う必要はありません。責任の範囲を明確にして、冷静に対応するようにしましょう。

事故当事者でないかを警察に確認

警察が現場で事故の記録をつけるとき、事故当事者として記録された人が「事故証明」に記録されます。「事故証明」に自分の名前の記述がなければ、事故とは無関係となります。

そのため、警察には実況見分のあとに、事故当事者でないかを確認しておきましょう。このとき、警察に事故と無関係と判断されていれば、事故当事者ではないということになります。

非接触事故での加害者が負う責任

非接触事故であっても、一般的な接触事故と同様に加害者は、「民事責任」「刑事責任」「行政上の責任」という3種の責任を負う可能性があります。

民事責任とは

民事責任とは、被害者に与えた車の修理費用などの物件損害、治療費や慰謝料などの人身損害などの損害についての賠償責任です。自動車保険でカバーしているのはこの民事責任です。

刑事責任とは

刑事責任とは、運転によって人を死傷させた場合に、過失運転致死傷罪などの罪となり、懲役・禁錮刑や罰金刑に処せられるというものです。

行政上の責任とは

行政上の責任とは、交通ルール違反に対し免許停止や免許取消などの行政処分を受けることをいいます。

以上のように、交通事故などを起こすと、多額の賠償金を負担することとなったり、刑事罰を受けたり、免許を取り消されたりするなど、多くのペナルティを受ける可能性があります。

非接触事故の因果関係の立証

非接触事故であっても、加害者の過失によって損害が発生した場合、因果関係をはっきりさせることで、賠償を請求できます。

通常の接触事故であれば、加害者の過失行為と怪我という損害の発生があるため、因果関係がわかりやすいです。

① 転者の接触事故

②「物理的な衝突」

③被害者の怪我

しかし、非接触事故では、過失行為と損害発生との間に被害者による回避行動をしています。そのため、加害者側からみれば、被害者が勝手に転んだり、回避しなくても衝突しなかったと反論できる余地が出来てしまいます。

① 転者の接触事故

②「回避行動」

③被害者の怪我

そのため、非接触事故では、通常の事故よりも、因果関係の立証が難しくなっています。なお、法律の扱いは通常の交通事故と同じとなります。

非接触事故における過失の割合

非接触事故においての過失の割合は、事故の状況によって違います。相手と接触していないため、「自損事故」と疑われることも多いようです。
過失の割合を決めるのは双方の加入している自動車保険会社になり、どれだけの割合が妥当なのかを協議して決定します。

非接触事故の過失割合は、同じ状況で接触事故が発生した場合に比べ、被害者の過失が10%〜20%加算されるケースが多いです。

接触した事故よりも被害者の過失が重くなる傾向があるのは、「避けなければケガをしなかった」、「避けなくても衝突しなかった」といった可能性があるからです。

加害者に一時停止無視などの過失があると被害者の過失が低くなることがあります。

事故の過失割合は「過去の判例」を基準としているため、類似の事故判例を集めて参考にしています。そのため、事故の状況に応じて変動し、一概には決まっていません。

非接触事故で被害者が怪我をしなかった場合の責任

非接触事故で被害者が転倒しても、被害者が怪我をしてなければ、受傷という被害を受けた結果が存在しないため、刑事責任、民事責任は発生しません。非接触事故で被害者が転倒すらしていなかった場合も同様になります。

ただし、運転手が信号無視など交通違反をしていたならば、行政処分を受ける可能性があります。

まとめ

・「人身事故」「物損事故」「自損事故」はすべて何かに接触したことによって、交通事故の当事者になる事故のこと
・「非接触事故」はお互いに接触したわけではなく、損害が発生してしまいそうな事故のこと
・「非接触事故」にあったら警察に通報する

非接触事故の加害者、被害者であっても、まずは警察に通報することが大切です。この記事で、非接触事故の対応方法を理解して冷静に対処できるようにしておきましょう。

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