運転日報とは?システムで効率化するメリット・デメリット

運転日報とは?システムで効率化するメリット・デメリット

運転日報の管理は、企業にとって非常に重要な業務の一つであり、運送業界では法律によりその作成が義務付けられています。しかし、日々の業務の中で運転日報の作成と管理は、ドライバーにとっても管理者にとっても時間がかかり、時には負担となる作業です。このような背景から、近年では運転日報管理システムの導入による効率化が注目されています。

この記事では、運転日報とは何か、運転日報の作成義務、運転日報の役割、運転日報で必ず記入すべき項目、運転日報の作成方法、デメリット、メリットについて解説します。

運転日報とは?

運転日報とは、会社が所有する車を使って仕事をしたドライバーが、自分の名前、運転した日時や距離を書き留める記録です。特に、一般貨物自動車の運送業を行う会社にとっては、貨物自動車の輸送に関する安全規則に基づいてこの運転日報の作成や保存が法律で決まっています。また、普通の企業でも、ある程度の数の社用車を持っている場合は、道路交通法の規則に従って運転記録をつける必要があります。

運転日報の作成義務

運転日報の作成は、国土交通省による「貨物自動車運送事業輸送安全規則」と警察庁が管理する「道路交通法施行規則」によって義務付けられています。

「貨物自動車運送事業輸送安全規則」に基づく運転日報の義務

「貨物自動車運送事業輸送安全規則」では、荷物の運送依頼を受け、その輸送にトラックを用いて運賃を得る運送業者が対象となっています。この規則には、運輸業者が運転日報の作成を義務付けられていることが明記されています。

また、運送業者は、トラックやバスなどの事業用車両を使用する各営業所において、車両の数に基づき必要な数の運行管理者を指名する必要があり、これらの運行管理者はドライバーからの運転日報の作成と保持の責任を負います。

「道路交通法施行規則」に基づく運転日報の義務

道路交通法は、自動車や自転車の運転者、さらには歩行者が従うべき交通に関する規則を規定しており、その施行規則で運転日報の作成が義務付けられています。

運送業者だけでなく、特定の台数以上の自動車を利用する企業や団体は、各事業所や本拠地ごとに安全運転管理者を指名することが要求されています。安全運転管理者の責務には、運転日報を用意し、記録をつけることが義務付けられています。

運転日報の役割

運転日報が果たす主な目的は、運輸の安全性を高めると同時にドライバーの安全を保護することにあります。長時間運転による疲労の蓄積や不足した睡眠は、過労による事故のリスクを高める要因です。このため、運送業での運転日報には、荷物の待ち時間や積み込み、積み下ろしの時間が記入されることが多く、これはそのようなリスクを未然に防ぐ目的があります。適切に運用された運転日報は、事業において有益な効果をもたらすことができます。

車両の点検

運転日報では、走行に関わる基本的な情報、走行距離、運転時間、経由地点の記録に留まらず、給油の時刻や頻度といった詳細も含まれます。これらの記録に加え、ドライバーが感じる車両の微細な変化や故障の兆候を含む問題点を日常的に記録することは、事故防止とメンテナンスコストの低減に大きく寄与します。

運転の効率化

走行距離、所要時間、そして走行ルートのデータを組み合わせて分析することにより、もっと効率的な移動方法やルート、運転手法を特定することが可能です。この分析を通じて、社用車以外の移動手段、例えばレンタカーや公共交通を選択することが適切である場合が明らかになることもあります。また、ルートの最適化によって所要時間を短縮し、燃料消費を減らすことができれば、それは生産性の高まりに繋がります。

運転日報で必ず記入すべき項目

「貨物自動車運送事業輸送安全規則」に基づき、「一般貨物自動車運送事業を営む企業」には、運転日報必ず記入すべき項目があります。さらに、「一定数以上の車両を保有する企業」も、「道路交通法施行規則」に従い、運転日報に必ず記入すべき項目があります。

「一般貨物自動車運送事業を営む企業」の記入すべき項目

記入が必須の主な項目は以下になります。
・運転者の氏名と車両の登録番号
・勤務開始および終了時の場所と時間
・通過した地点
・走行距離
・運転を交代した場所と時間
・休息や就寝をとった場所と時間
・積載した貨物の状況(車両の総重量が8トン以上、または積載可能量が5トン以上の場合)
・事故や遅延の発生有無・原因

「一般貨物自動車運送事業を営む企業」の書き方のポイント

重要なのは、運転日報に記載すべき項目は法律で規定されているものの、特定の書式やフォーマットが法律によって指定されていないという点です。これにより、各企業は自身の業務に最適な運転日報を独自に作成し、適用することが可能です。

書式の形式に関わらず、必要な項目がはっきりと記入されていること、そして運転日報が誰によって作成されたかが正確に署名とともに記録されていることが必須です。

事故や遅延の理由を述べる際には、内容を客観的かつ簡潔に、合理的にまとめるよう心掛けることが重要です。

「一定数以上の車両を保有する企業」の記入すべき項目

運輸業務を行っていなくても、社用車やその他の車両を一定数以上保有している企業は、道路交通法施行規則に基づき、運転日報を整備する義務があります。

運転日報には、最低限以下の情報を含める必要があります。

・運転者の氏名
・運転の開始及び終了の時間
・走行距離
・その他、該当する自動車の運転状況を理解するために必要な項目

また、業務の効率向上やコスト削減を目的とした企業独自の取り組みや追加項目を設けることも可能です。

「一定数以上の車両を保有する企業」の書き方のポイント

法律では、運転日報に最低限記録すべき項目が定められていますが、これに加えて追加情報を記入すること自体は制限されていません。
しかし、業務と無関係な情報を加えることは、混乱を引き起こす可能性があるため避けるべきです。社用車の使用後は、運転日報を迅速に記入することが推奨され、忘れたり情報が混ざったりするミスを避けるためにも、その手順をマニュアルにしておくことが重要です。
さらに、業務の目的、同乗者の存在、ガソリンの給油とその費用などの情報も記録しておくことで、将来の事業戦略を練る際の貴重なデータとすることができます。

運転日報の作成方法

紙での作成

最も基本的な方法として、事前に準備したテンプレートに沿って文書を印刷し、その上に必要情報を手書きで記入する紙ベースの方式があります。この方法は、パソコンの操作が苦手な人でも簡単に運転日報を作成できる利点があります。しかし、ドライバーが忙しい時には、紙に手書きで情報を記入することが負担となる可能性があります。

さらに、個々の筆記の可読性に依存するため、文字が読みにくい、または書き方によっては情報の正確性が損なわれるリスクが存在します。

Excelでの作成

一般に広く利用されている表計算ソフト、Excelを使った運転日報の管理方法も考えられます。

この方法では、Excelのテンプレートを事前に準備し、運転者がPCのキーボードやスマートフォンを通じて必要なデータを入力していきます。Excelによる運転日報作成の利点は、インターネット上で多数の無料テンプレートが利用可能で、容易に取り入れることができる点です。

しかし、日報や運転者毎に異なるファイルでデータを管理すると、情報の整合性確認や分析、一括管理が難しくなる可能性があります。特に、移動中にスマートフォンでデータを入力する際は、画面の小ささが原因で入力ミスが発生しやすくなるリスクも考慮する必要があります。

そのため、Excelを使用して運転日報を管理する際は、データの集約管理や誤入力の防止策を考えることが重要です。

運転日報管理システムでの作成

運転日報管理システムは運転日報の作成と管理を目的に特化して開発されたツールで、運転日報の作成、提出、管理をオンラインで行うことができます。
これにより、ドライバーは時間を有効に活用して、日報の作成を簡単に行うことができます。データは中央のサーバーで集中管理されるため、情報の安全性を保ちながら効率的な管理が実現します。

手書きの運転日報のデメリット

運転日報管理システムを導入せずに、手書きの運転日報を利用している場合は、多くのデメリットがあります。

誤字脱字がある

ドライバーによって筆跡が異なることや、急ぎで記入された結果文字が乱れていることがあります。手書きの場合、管理者が内容を把握しようとする際に読みにくく、情報確認に余計な時間がかかることがあります。さらに、手短に済ませようとして雑に記入された場合、文字が不明瞭で何が書かれているのか理解するのが困難になり、正確な情報を得ることができなくなる場合があります。

正確性が低い

多くの場合、ドライバーは1日の業務が終わった後に運転日報を一括で記入します。この方法では、業務の詳細を部分的に忘れてしまったり、不正確な記憶に基づいて情報を記入してしまうことがあります。その結果、記載内容に誤りが生じる可能性があります。

手書きによる時間の浪費

手書きで運転日報を作成するのに要する時間は大きな浪費となります。ドライバーの中には、運転日報の作成に毎日約30分を費やしている人もいます。月に20日勤務すると仮定した場合、これは合計で600分、つまり10時間の時間が単に日報作成のために消費されることを意味します。

この作業時間は本来の業務から切り離して確保しなければならず、結果的に残業の原因となったり、ストレスを感じさせたりすることもあります。

データ整理の時間がかかる

管理者は毎日各ドライバーの手書きの運転日報を確認し、それをExcelや他の管理ツールに転記してデータを整理する作業が必要になる場合があります。ドライバーの数が多いほど、この作業に要する時間とコストは増加し、管理者にとっての負担も大きくなります。

運転日報管理システムを導入するメリット

運転日報管理システムを導入することで多くのメリットがあります。

データで抜けがなくなる

アプリケーションやシステムを利用すると、GPSを通じて経由地点の情報が自動で取得され、正確な稼動状態が記録されます。これらの情報は自動的に記録されるため、ドライバーは手書きでの記入作業を行う必要がありません。

電子記録の法的対応ができる

運転日報を保存する際、法律では紙の書類と同様に電子データでの保存も認められています。重要なのは、データが誰にでも容易に編集や改ざんができないよう、編集履歴を確実に残すことができるシステムを備えていることです。

管理が簡単になる

労働基準法による記録の保存義務により、労働関係の重要書類は3年間保存する必要があります。紙ベースでの管理の場合、書類をファイル化し、それらを社内に保管するためのスペースを確保する必要があります。さらに、過去の日報を参照する際には、該当する書類を見つけ出すのに時間がかかることがあります。一方、運転日報を扱うアプリやシステムを使用すれば、紙の記録と比較して検索が容易で、データの管理や保存が確実に行えます。

まとめ

運転日報とは?
運転日報とは、会社が所有する車を使って仕事をしたドライバーが、自分の名前、運転した日時や距離を書き留める記録です。

運転日報の作成方法
・紙での作成
・Excelでの作成
・運転日報管理システムでの作成

運転日報の役割
・車両の点検
・運転の効率化

手書きの運転日報のデメリット
・誤字脱字がある
・正確性が低い
・手書きによる時間の浪費
・データ整理の時間がかかる

運転日報管理システムを導入するメリット
・データで抜けがなくなる
・電子記録の法的対応ができる
・管理が簡単になる

この記事では、運転日報とは何か、運転日報の作成義務、運転日報の役割、運転日報で必ず記入すべき項目、運転日報の作成方法、デメリット、メリットについて解説しました。
運転日報管理システムは、現代の企業が直面する課題を解決し、より安全で効率的な運輸業務を実現するための最適な選択肢と言えるでしょう。

 

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