通信型ドライブレコーダーを導入するメリット・デメリットを解説

通信型ドライブレコーダーを導入するメリット・デメリットを解説

ドライブレコーダーはSDカードを使用してデータを保存するタイプが主流ですが、近年になって、データを通信できるタイプのドライブレコーダーが特に企業向けに広がりを見せています。この通信型ドライブレコーダーは、非通信のSDカードタイプと比較して、多くの便利な機能を企業に提供し、事故の減少や車両管理の効率化など、様々なメリットをもたらします。
この記事では、通信型ドライブレコーダーのメリット、デメリット、選択のポイントについて解説します。
通信型ドライブレコーダーの導入における6つのメリットとして、①クラウドにデータ保存できる、②データをすぐに確認できる、③ビッグデータ・AIを利用できる、④事故を防止できる、⑤安全運転が可能になる、⑥緊急通報できることをご紹介します。

一方で、通信型ドライブレコーダーの導入における3つのデメリットとして、①通信障害がある、②通信費がかかる、③電圧の選択に注意する必要があることをご紹介します。

通信型ドライブレコーダーの選択のポイントとして、①通信型ドライブレコーダーを導入する理由を確認する、②セキュリティを確認する、③通信機能を確認する、④解像度を確認する、⑤フレームレートを確認するについてをご紹介します。

この記事を参考に、通信型ドライブレコーダーが企業にとって最適な選択肢かどうかを判断するための参考にしていただければと思います。

通信型ドライブレコーダーとは?

通信型ドライブレコーダーとは、基本的な録画機能に加え、運転中のデータをクラウドにアップロードする機能を備えています。このシステムを利用することで、事故や危険な運転行為が発生した際の映像を自動的にクラウドに保存します。さらに、これらの情報を家族や緊急対応サービスへ自動で報告することができます。
法人向けの通信型ドライブレコーダーでは、車両管理や事故防止に関連する機能を多く搭載しています。

通信型ドライブレコーダーを導入するメリット

通信型ドライブレコーダーの主なメリットを6つご紹介します。

メリット①クラウドにデータ保存できる

通信型ドライブレコーダーは、運転中のデータをクラウドに自動でアップロードするシステムを採用しています。これにより、走行データなどの記録された情報は、ドライブレコーダー製造元の提供するサーバーを通じて車両管理者による管理が可能になります。

SDカードを使用する従来型のドライブレコーダーでは、データ確認のために都度SDカードを車両から取り出す必要がありました。通信型ドライブレコーダーを使用することでそのような手間が省け、より効率的な車両管理を実現できます。

メリット②データをすぐに確認できる

クラウドに自動保存された走行データは、車両管理者がオフィス内にいる間でも、設置されているドライブレコーダーからの走行データを容易にチェックできるようにします。専用のアプリケーションと連動している場合は、外出中や移動中でもGPSを利用して車両の位置をリアルタイムで追跡したり、車両の運用状態を確認することができます。

これにより、緊急の状況で速やかに社用車を手配する必要がある場合にも、管理下にある車両の現在地をもとに最も近い車両を素早く見つけ出し、迅速に対応することが可能です。

メリット③ビッグデータ・AIを利用できる

通信型ドライブレコーダーの中にはビッグデータ・AIを利用できる機種も存在します。
通信型ドライブレコーダーを用いることで、送信される大量のビックデータを運転者ごとに紐づけ、各運転者の運転スキルを分析し、個々にカスタマイズされた運転診断を提供することが可能です。

AIを搭載したシステムでは、目線の動きを分析することにより、わき見運転や居眠り運転などの危険行動を検出し、これらの情報をデータベースに記録できます。このような客観的なデータに基づいて安全運転の指導を行うことで、事故を予防することができます。

メリット④事故を防止できる

多くのドライブレコーダーは、事故発生時の原因究明や証拠収集を目的としていますが、これらの機器の中には事故予防機能を十分に備えていないものも存在します。しかし、通信機能を搭載したドライブレコーダーでは、走行データをリアルタイムで監視し、その機能を活用して事故の防止や安全運転の推進が可能です。通信型ドライブレコーダーには、例えば、あおり運転やわき見運転といった危険行為、速度超過の記録など、様々な検知機能が装備されています。

これらの機能で検知されたデータはクラウドを通じて車両管理者にリアルタイムで送信されるため、危険な運転をしているドライバーへの注意喚起や安全運転の指導に活かすことができます。さらに、急ブレーキなどの運転データを分析して事故の可能性を予測し、特に注意が必要な走行エリアを特定・共有することもできます。

メリット⑤安全運転が可能になる

通信型ドライブレコーダーが収集する走行データを分析することで、事故につながる可能性のある危険な運転行動を行っているドライバーを特定し、これを基に個別指導を行うことができます。急ブレーキ、急加速、前方車両との距離が近すぎるといった行動や、ドライバー自身が気づいていない運転のクセも、通信型ドライブレコーダーを通じて客観的に把握することが可能です。

これにより、ドライバーの安全運転に対する意識を高め、より安全な運転習慣を身につけることができます。

メリット⑥緊急通報できる

通信型ドライブレコーダーには、モデルによっては緊急時に役立つ通報機能を搭載しているものがあります。この機能を備えたドライブレコーダーを使用している場合、事故やトラブル発生時には、警察や救急車を呼ぶ手配を、簡単な操作で迅速に行うことが可能です。

さらに、タイヤのパンクや燃料切れのような状況であっても、通信機能を介して即座にロードサービスを要請することができます。これにより、様々な緊急事態に迅速に対応することが可能になります。

通信型ドライブレコーダーを導入するデメリット

通信型ドライブレコーダーの主なデメリットを3つご紹介します。

デメリット①通信障害がある

携帯電話やパソコンの使用時に経験することがある通信障害は、通信型ドライブレコーダーにおいても起こりうる現象です。特に、大規模災害が発生した場合や電波の受信条件が悪いエリアでは、通信障害が頻発しやすくなります。

さらに、最新の車両には予防安全機能やレーダーシステムが搭載されていることが多く、ドライブレコーダーからの通信信号がこれらのシステムに干渉し、誤作動を引き起こす可能性もあります。このため、通信型ドライブレコーダーを導入する際には、車載システムとの相互作用に注意が必要です。

デメリット②通信費がかかる

通信型ドライブレコーダーは、走行データや衝突動画をクラウドに自動的にアップロードするため、通信料金がかかることが欠点です。経費削減を目指す企業にとって、この通信料金は従来のドライブレコーダーと比較して追加のコストとなるため、導入を検討する際には消極的な要因になることがあります。

デメリット③電圧の選択に注意する必要がある

多くの個人用ドライブレコーダーは12Vで動作する設計ですが、商用車向けのモデルには車両のサイズに応じて24V、あるいはその両方に対応する製品も存在します。したがって、通信型ドライブレコーダーの導入を検討する際には、車両の電圧に合わせた選択が必要です。適切でない電圧のドライブレコーダーを誤って選んでしまうと、投資した費用が無駄に終わる可能性があるので注意しましょう。

通信型ドライブレコーダーの選択のポイント

通信型ドライブレコーダーの選択のポイントを5つご紹介します。

ポイント①通信型ドライブレコーダーを導入する理由を確認する

ドライブレコーダーには、事故記録だけでなく安全運転支援機能、後方接近検知機能のように様々な機能を備えたモデルがありますが、使用目的によっては不要な機能を持つ製品も存在します。選択する際には、ドライブレコーダーを導入する具体的な理由をはっきりさせることが重要です。

目的が事故の減少や運転の安全性向上にある場合は、それを支援する機能を搭載したモデルを選ぶべきでしょう。一方で、コストを考慮して最低限の機能に絞りたい場合は、基本機能に特化したコストパフォーマンスの高いモデルが適しています。目的に応じたポイントを把握して選べば、選択を誤ることは少なくなります。

ポイント②セキュリティを確認する

一般向けのドライブレコーダーは通常、SDカードを利用して事故の映像や走行データを保存し、これらのデータは基本的に誰でもアクセスして取り出すことが可能です。しかし、業務用途で使用する際には、このような自由なデータアクセスはセキュリティ上の問題を引き起こします。

特に、不正な映像削除のリスクを避けるため、業務用ドライブレコーダーでは、特定の管理者のみがデータを取り出すことができるような制限が設けられています。法人向けの通信型ドライブレコーダーの多くはこのような制限を備えているのが一般的ですが、個人用の製品を選択する際には、このようなデータ取り出しのセキュリティ機能が欠けている可能性があるため、購入前にはその点をしっかりと確認することが重要です。

ポイント③通信機能を確認する

商用ドライブレコーダーには、通信機能を搭載していないモデルと搭載しているモデルが存在します。そのため、データをリアルタイムでクラウドにアップロードする機能を求める場合は、選択するドライブレコーダーに通信機能が備わっているかどうかを事前に確認することが重要です。通信機能がないモデルを誤って選んでしまうと、クラウド経由でのデータアクセスが不可能になり、車両管理の効率化を図る目的に反してしまうため、特にこの機能の有無は注意して選ぶべきです。

ポイント④解像度を確認する

ドライブレコーダーの録画機能は基本性能の一つですが、製品によって画質、特に解像度が異なります。低解像度のドライブレコーダーを選んでしまうと、事故発生時に映像の画質が粗くなります。

例えば前方の車のナンバープレートが識別できないといった問題で証拠としての価値が低下する恐れがあります。通信型ドライブレコーダーを業務用に導入する際は、特に解像度の高さを確認することが重要です。解像度が200万画素とされる高解像度モデルが基準とされますが、200万画素以上のモデルを選べば、より詳細な映像情報を捉えることが可能になります。

ポイント⑤フレームレートを確認する

ドライブレコーダーを選択する際、解像度と同じくらい重要な性能指標がフレームレートです。
フレームレートとは、1秒間にどれだけ多くの静止画(フレーム)を捉えられるかを示し、この数値が高いほどスムーズで細かい動きを記録できる高性能なドライブレコーダーと言えます。

しかし、フレームレートが高いとデータサイズも増加するため、保存容量には注意が必要です。事故やその他の重要な瞬間を詳細に記録するためには、24〜30fps前後のフレームレートが搭載されたモデルを選択することが推奨されます。

ドライブレコーダーを30fpsで撮影を行うと、信号のLEDが消灯してしまい、その状態が記録されることがあります。ドライブレコーダーの製造業者は、LED信号の撮影時に発生する問題を解決するため、LED信号に適応できる製品を市場に提供しています。近年の新型モデルでは、LED信号への対応が一般的であり、これによりLED信号の周波数の影響を受けずに安定した録画が可能になっています。

LED信号と同期しないようにする一般的な方法としては、フレームレートを27〜29.5fpsの範囲に設定し、東日本の50Hzまたは西日本の60Hzとは異なる値に調整しています。これらの仕様を自分で確認するのが難しい場合は、LED信号に対応したドライブレコーダーを選択することが最も簡単な方法です。

まとめ

通信型ドライブレコーダーのメリット
①クラウドにデータ保存できる
②データをすぐに確認できる
③ビッグデータ・AIを利用できる
④事故を防止できる
⑤安全運転が可能になる
⑥緊急通報できる

通信型ドライブレコーダーのデメリット
①通信障害がある
②通信費がかかる<
③電圧の選択に注意する必要がある

通信型ドライブレコーダーの選択のポイント
①通信型ドライブレコーダーを導入する理由を確認する
②セキュリティを確認する
③通信機能を確認する
④解像度を確認する
⑤フレームレートを確認する

この記事では、企業向けに通信型ドライブレコーダーを導入するメリット・デメリットを解説してきました。この記事を通じて、通信型ドライブレコーダーを導入するため、そのメリットとデメリットを総合的に理解し、自社のニーズに合った最適な選択をするための基盤ができたでしょう。これらの情報を活用して、最適な通信型ドライブレコーダーを選択していきましょう。

 

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