トラックのドライブレコーダーは必要?取付けのメリット・デメリット・補助金活用を解説

トラックのドライブレコーダーは必要?取付けのメリット・デメリット・補助金活用を解説

近年、多くの自動車に取り付けられるようになったドライブレコーダー。特にトラックや大型車においては、その存在が非常に重要となってきています。そもそも、トラックのドライブレコーダーは必要なのでしょうか。この記事では、トラック専用のドライブレコーダー取り付けのメリット・デメリット、補助金の活用について詳しく解説します。

トラックのドライブレコーダーとは?

トラックのドライブレコーダーは、トラックや大型車専用に設計された映像記録装置です。一般的な乗用車用のドライブレコーダーと同様に、前方や後方、場合によっては車両の側面を録画することができますが、トラック専用のものはその特性やニーズに合わせた機能や設計が施されています。

なぜトラックにはドライブレコーダーが必要なのか

トラックはその大きさから、事故が起きた際の影響が大きいとされています。ドライブレコーダーは、事故の原因や状況を明確にするための証拠として非常に有効です。また、ドライブレコーダーの映像をもとに、運転の改善点を見つけ出すことも可能です。

トラック専用のドライブレコーダーの特徴

トラックのドライブレコーダーは、広い視野角を持つカメラや、夜間の撮影にも対応した高性能なセンサーを搭載しています。また、振動や衝撃に強い設計となっており、荷物の積載や荷を下ろす時の振動にも対応できるようになっています。

デジタル式運行記録計「デジタルタコグラフ(デジタコ)」との連携

トラックは主に業務で使用されるため、ドライブレコーダーにはドライバーの勤怠管理や詳細な走行状況を把握する機能が求められます。特に、デジタル式運行記録計「デジタルタコグラフ(デジタコ)」との連携が可能なモデルは、トラック用としての魅力的な特徴と言えます。

電圧が乗用車の2倍

電圧の違いも重要なポイントです。一般的な乗用車は12Vを使用するのに対して、トラックは24Vを使用します。乗用車はバッテリーが1個なので電圧は12V。トラックやバスなどの大型車は2個使っているので電圧は24Vです。トラック・バスで大きなディーゼルエンジンを始動するには、巨大なセルモーターと、大量の電力を必要とするため、24Vとなっています。

そのため、ドライブレコーダーを選ぶ際には、その対応電圧をしっかりと確認することが欠かせません。カーナビやETC、ドライブレコーダーなどの電装品 12V専用の電装品を24Vの車に接続すると壊れてしまいます。スマホの充電器も12V専用品が多いので注意が必要ですね。

このように、トラック用と乗用車用のドライブレコーダーは、使用目的や電圧などの点で異なります。正確な情報を元に、最適なドライブレコーダーを選びましょう。

耐久性

トラックは長距離や厳しい環境下での運用が前提となるため、トラック用のドライブレコーダーは高い耐久性や耐熱性が求められます。さらに、振動や衝撃にも強い設計が必要とされます。これは、トラックが未舗装の道路や山道を走行することも考慮されるためです。また、長時間の連続運転や夏の高温、冬の低温など、様々な条件下での安定した動作が期待されるため、その品質や性能は非常に高いものが要求されます。

広範囲の録画

トラックの大きさや形状を考慮して、より広い範囲をカバーするカメラが搭載されていることが多いです。これにより、トラックの前方だけでなく、側面や後方の映像もしっかりと捉えることができます。特に、大型トラックの場合、死角が多くなりがちなので、全方位の映像を確認できることは、安全運転のサポートとして非常に有効です。また、多くのモデルでは、高解像度のカメラが使用され、夜間や雨天時でも鮮明な映像を提供してくれます。

トラックのドライブレコーダーは義務化されている?

トラックのドライブレコーダーは義務化されているかというと、現在は義務化されていません。

しかし、2022年5月以降に発売される新車に関しては、バックの際の事故防止を目的に、後方を確認できる装置(後退時車両直後確認装置)の設置が義務化されました。さらに2024年5月には、継続生産車(既存モデルの新車)に対し後退時車両直後確認装置の設置が義務化される予定です。

後退時車両直後確認装置には、バックカメラ、検知システム、ミラーが該当します。全てを取り付けなければいけない訳ではなく、いずれか1つの設置でも認可されます。ドライブレコーダーの後方カメラは、ドライバーがリアルタイムで映像を確認できる場合、バックカメラとして有効です。そのため、2024年5月の後退時車両直後確認装置の義務化までにバックカメラ付きドライブレコーダーの設置を検討するのも良いでしょう。

また、トラックではありませんが、貸切バス事業者については2016年1月に起きた軽井沢スキーバス事故を受け、国土交通省より2017年12月から順次ドライブレコーダーが義務化し、2019年12月1日までに全ての車両に義務化されることが決まりました。事業者により管理されているケースの多いトラックも、今後義務化される対象が増える可能性は十分にあるでしょう。

ドライブレコーダーを装着するのは、事故やトラブル発生時の証拠映像として活用できることや、安全運転教育や管理に役立ちます。また、トラック協会や国土交通省などから助成金制度も利用できます。

トラック用ドライブレコーダーの取り付けのメリット

トラックの運転は、一般的な乗用車とは異なる多くの課題を持っています。そのため、トラック専用のドライブレコーダーの取り付けは、多くのメリットをもたらします。この項目では、トラック用ドライブレコーダーの取り付けの主なメリットについて詳しく解説します。

事故の証拠としての役割

トラックは大型であり、事故が起きた際の影響も大きいです。ドライブレコーダーの映像は、事故の原因や状況を明確にするための証拠として利用できます。これにより、無実の場合の保険請求や警察への報告がスムーズに行えます。

運転技術の向上

ドライブレコーダーの映像を見返すことで、運転中の危険な行動や改善点を確認することができます。これにより、運転技術の向上や事故の予防に繋がります。

犯罪の抑止効果

ドライブレコーダーが取り付けられていることを外部から確認できると、窃盗や破損などの犯罪を抑止する効果があります。特に、停車中のトラックは狙われやすいため、この効果は非常に大きいです。

経営者としての管理効果

トラックを所有する企業や経営者にとって、ドライブレコーダーは運転手の運転状況を把握する上で有効です。安全運転の徹底や、無駄な走行を減少させるための管理ツールとして活用できます。

ドライバーのモラル向上

ドライブレコーダーが取り付けられていることを知っているドライバーは、より責任感を持って運転する傾向があります。これは、運転中の不注意や無駄な行動を減少させる効果があります。

燃費の向上のサポート

ドライブレコーダーは、運転の様子を詳細に記録します。これにより、急加速や急ブレーキなどの燃費を悪化させる運転習慣を確認することができます。定期的に映像をチェックし、運転習慣を改善することで、燃費の向上を図ることができます。

教育・研修ツールとしての活用

新人ドライバーや研修生に対して、実際の運転の様子を映像で見せることで、具体的な指導やアドバイスが行いやすくなります。また、経験豊富なドライバーの運転技術を他のドライバーに共有するための教材としても利用できます。

事故後の精神的サポート

事故が発生した際、ドライバー自身がどのような状況だったのかを正確に思い出すのは難しいことが多いです。ドライブレコーダーの映像をもとに、事故の状況を確認することで、ドライバーの精神的な負担を軽減するサポートができます。

トラック用ドライブレコーダーの取付けのデメリット

ドライブレコーダーは、多くのメリットを持つ一方で、取り付けに際して考慮すべきデメリットも存在します。特にトラックにおいては、その特性を理解して適切な選択をすることが重要です。この項目では、トラック用ドライブレコーダーの取り付けのデメリットについて詳しく解説します。

初期費用の高さ

高品質なトラック用ドライブレコーダーは、一般的な乗用車用のものよりも価格が高くなることが多いです。特に、広範囲をカバーするカメラや高度な機能を持つモデルは、初期投資が大きくなる可能性があります。

取り付けの手間

トラックの大きさや形状によっては、ドライブレコーダーの取り付け場所や角度の調整が難しくなることがあります。また、専門的な知識や技術が必要となる場合もあります。費用はかかりますが、専門業者に任せたら取り付けの手間はありません。

データの管理負担

ドライブレコーダーが記録する映像データは、定期的にバックアップや整理が必要です。特に長距離を運転するトラックの場合、大量のデータが蓄積されるため、その管理が負担となることがあります。

データの保管場所の問題

ドライブレコーダーが生成する大量の映像データは、適切な保管場所が必要です。特に長期間のデータ保管を考慮すると、データの管理やストレージのコストが増加する可能性があります。

機器の故障やトラブル

長時間の使用や過酷な環境下での運用により、ドライブレコーダー自体が故障することがあります。定期的なメンテナンスや機器の交換が必要となる場合があり、これに伴うコストや手間が発生します。

トラックへのドライブレコーダー搭載に補助金制度は使える?

トラック協会、国土交通省、経済産業省でトラックへのドライブレコーダー搭載に補助金制度が活用できます。

トラック協会の補助金制度

トラック協会では、EMS機器(デジタルタコグラフ)・ドライブレコーダーなどの補助金を行っています。期間、助成額は各都道府県によって異なります。助成がない都道府県もございますので詳細は、各トラック協会にお問い合わせください。

国土交通省の補助金制度

トラック事業者と荷主等との連携のもと、輸送の効率化を通したエネルギー消費量の削減効果を実証するにあたり、必要となる車両動態管理システムや予約受付システム等の導入に要する経費の一部を補助しています。
詳細は国土交通省のHPよりご確認ください。

国土交通省の補助金概要ページ
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000276.html

経済産業省の補助金制度

経済産業省では、AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金、トラック輸送の省エネ化推進事業の補助金制度があります。
補助額は、定額または1/2以内(1台あたり補助対象経費が24万円以上の場合、補助額を定額の12万円)です。上限台数は30台。
詳細は経済産業省のHPよりご確認ください。

経済産業省の補助金概要ページ
https://www.pacific-hojo.jp/2023r05/dotai/index.html

まとめ

トラックのドライブレコーダーの取付けは、近年の交通事故やトラブルの増加を背景に、多くの運転手や経営者にとっての必需品となっています。その主なメリットとして、事故の証拠提供、運転技術の向上、犯罪の抑止、経営の効率化などが挙げられます。一方で、データの保管や機器の故障などのデメリットも考慮する必要があります。

さらに、国や地方自治体からの補助金制度を活用することで、ドライブレコーダーの導入コストを軽減することが可能です。しかし、補助金の内容や対象は地域や期間によって異なるため、詳細は関連機関について調べ、問い合わせることも必要です。

トラックのドライブレコーダーの取付けは、安全で効率的な運転を目指す全てのトラック運転手や経営者にとって、大きなメリットをもたらすものと言えるでしょう。

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