もしも、高速道路でパンク・故障が発生したらどうするべきか悩みますよね。そこで、事故が起こっても大丈夫なように、高速道路でのパンク・故障の対応方法についてご紹介します。
この記事では、高速道路のトラブル対応の流れとして「①ハザードランプを点灯」「②減速して路肩に寄せて停車」「③停車したらハンドルを左いっぱいに切る」「④発炎筒を着火して後方へ置く」「⑤停止表示器材を設置する」「⑥非常電話か携帯電話で救援依頼する」についての内容を詳しく解説しています。
高速道路中にパンク・故障が発生したらどうする?
高速道路を利用すると、トラブルの発生も非常に多くなります。事故、故障、パンクでやむを得ず本線上や路肩に出た場合、大きな事故に巻き込まれる可能性があります。万が一、高速道路上でパンクが発生した場合にはどうすれば良いかを紹介します。
高速道路で歩き回るのは危険
高速道路上で歩き回ることによって、人がはねられる事故が多発しています。
大型トラックなどは、普通の車よりも目線が高いため、スピードがつかみづらく、一般車が高速道路上で停止してると判断してからブレーキをしても間にあわないことがあります。
特に高速道路での注意する点として、車外への避難中や、待機中、事故当事者同士で話し合い中、通報中、路肩での修理中などのときは危険となります。
高速道路では、後続車の運転手が前側にある停車している車に気づいているとは限りません。また、前方の車が停止しているのに気づいてからブレーキをかけたとしても停止までに以下のような時間がかかってしまいます。
ブレーキを踏んでから車が停止するまでの距離
時速 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
20km | 6m | 2m | 8m |
40km | 11m | 9m | 20m |
60km | 17m | 20m | 37m |
80km | 22m | 36m | 58m |
100km | 28m | 56m | 84m |
120km | 33m | 81m | 114m |
空走距離:ドライバーがブレーキを踏んでから、ブレーキが効き始めるまでの距離
制動距離:ブレーキが効き始めてから、車が停止するまでの距離
停止距離:空走距離+制動距離
※大型車、重量物を積んでいる車、タイヤの摩耗している車、雨天時はさらに多くの距離が停車までに必要です。
高速道路のトラブルでの対応の流れ
高速道路のタイヤのパンクや故障などのトラブルが起きた場合の対応の流れとして①~⑥まであります。
①ハザードランプを点灯
②減速して路肩に寄せて停車
③停車したらハンドルを左いっぱいに切る
④発炎筒を着火して後方へ置く
⑤停止表示器材を設置する
⑥非常電話か携帯電話で救援依頼する
この流れを把握し、それぞれの詳細について見ていきましょう。
①ハザードランプを点灯
高速道路を走行中に、パンクした場合は、ハザードランプを点灯させて、後続車に停止の意思を伝えます。
②減速して路肩に寄せて停車
車を急停車しないようにして、少しずつ減速して、路肩に寄せて停車させます。橋やトンネルでの停車は避けて、可能な限り広い場所まで走行して停車させるようにします。
③停車したらハンドルを左いっぱいに切る
万が一、追突された場合に備え、停車している車が走行車線に飛び出すことを防ぐ目的で、停車時にはハンドルを路肩側の左いっぱいに切っておきます。同乗者がいる場合は、安全なガードレールの外側で車の後方に避難しておくことが必要です。
④発炎筒を着火して後方へ置く
他の走行車に停車を知らせるために、車の50m以上後方に発煙筒と停止表示板を設置します。見通しが悪い場合、さらに後方に設置します。
ガソリンやオイルが漏れている場合は発火の可能性があるので、発煙筒の使用は控えるようにします。
発煙筒について、日中はもちろん、夜間のトラブルでは絶大な効果を発揮します。多くの車には、主に助手席の足元に設置されていることが多いです。まれに違う場所に設置されている車もあるため、事前に発煙筒の場所を確認しておきましょう。自分の車の発煙筒がどこに設置されているかは車の購入時の説明書にも記載してあります。
発煙筒の使用期限は4年とJIS(日本工業規格)で定められていますので、使用期限の過ぎた発煙筒は劣化して点火しないこともあります。自分の車に設置されている発煙筒の使用期限についてもチェックし、期限の切れる前に発覚した場合には発煙筒を新しいものに交換しておきましょう。
発炎筒の利用手順
①ケースとキャップをにぎる
②発煙筒のキャップをひねりながら抜く
③ケースにキャップ底栓を差し込む
④白いキャップを抜く
⑤ぬり薬でこすり着火する
⑥すばやく道路に置き安全な場所に退避する
⑤停止表示器材を設置する
他の走行車に停車を知らせるために、車の50m以上後方に発煙筒と一緒に、停止表示板も設置します。見通しが悪い場合、さらに後方に設置します。
高速道路ではやむを得ず停止した場合には、停止表示器材の表示が義務付けられています。発煙筒や停止表示板を設置していない場合は、「故障車両表示義務違反」となり、違反点数が1点減点され、普通車の場合は6,000円の反則金が科せられます。
停止表示器材が最初から装備されている車は少数となっています。車を購入しても、停止表示器材は常備が義務付けでないことと、すでに持っているユーザーがいることもあり、オプションの選択肢となっています。
停止機材はカー用品店、ネット通販などで購入することができますので、あらかじめ購入しておきましょう。
現場で慌てないように、一度組み立てる練習をしておくと良いでしょう。
⑥速やかに安全な場所に避難する
高速道路では、車を停車させた場合に、車のまわりには立たず、車内にも残らないようにしましょう。
運転手も同乗者も全員、通行車と足元に注意しながら停車した車より後方のガードレールなどの防護柵より外側の安全な場所に素早く避難します。
車内に残るのは安全ではありません。後続車に追突され命を落とす事故が多発しているため、必ず車から降りて、安全な場所に避難するようにしましょう。
もしも、追突事故が起きたとしても、さらなる追突事故による被害を受けないようにするため、自分の車より後方のガードレールの外側で待機しておき、通報や救助要請を行うようにしましょう。
⑦非常電話か携帯電話で救援依頼する
高速道路でパンクや故障が起きたら、安全な場所に停車して避難したあと、速やかに「110番」または「道路管制センター」に通報して救助を要請します。
高速道路では、非常電話が1kmおきに設置してあります。この非常電話か、自分の持っている携帯電話で救助を依頼するようにします。
道路管理センターに通報する方法
非常電話を使う場合は、受話器を上げると道路管制センターに直通となっているため、トラブルの状況や負傷者の有無などを伝えるようにしましょう。
携帯電話の場合は、「道路緊急ダイヤル(#9910)」の番号で、道路管理センターに繋がることができます。事故の発生場所を伝えるため、「キロポスト」の数字を伝えるようにします。
「キロポスト」(距離標)とは
「キロポスト」(距離標)とは、道路の起点からの距離を表した標識のひとつで、路肩や中央分離帯など目立つ場所に設置してあるので、通報前に確認しておきましょう。
これは、JAFなどのロードサービスを呼ぶ前の必須事項です。
ロードサービスを要請
ロードサービスとは、車のパンク時のスペアタイヤ交換、故障時のレッカー移動、ガス欠時のガソリン補給などが必要な際に作業スタッフが現場にかけつけてくれるサービスです。
自分でパンクの修理などができるとしても、高速道路上では修理の作業を行わないようにしましょう。必ず「道路管制センター」の後にロードサービスを呼ぶようにします。
ロードサービスには、JAFと自動車保険(任意保険)の2つがありますので、加入している保険に合わせて電話しましょう。
JAFのロードサービスに電話する場合
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)とはロードサービスなど、自動車に関する様々な業務を取り扱うほか、オーナードライバーの権益を保護する目的で設立された一般社団法人です。会員数約1,900万人で、会員優待施設は全国約47,000カ所あります。
JAF会員なら連絡するとほとんど無料でロードサービスを利用することが可能です。全国24時間・年中無休でいつでもどこでも駆けつけてくれます。JAF会員でなくても、高速道路のトラブルでは以下の値段のように有料で対応してもらえます。
高速道路でのパンク応急修理の費用
【昼間 8時~20時】
・一般道路(13,130円)
・高速道路(SA、PA内)(15,230円)
・高速道路(SA、PA以外)(21,520円)
【夜間 20時~8時】
・一般道路(15,230円)
・高速道路(SA、PA内)(17,320円)
・高速道路(SA、PA以外)(24,650円)
タイヤのパンク応急修理1本までの料金です。タイヤの損傷状態によって応急修理ができない場合があります。
高速道路でのパンク(スペアタイヤとの交換)の費用
【昼間 8時~20時】
・一般道路(11,230円)
・高速道路(SA、PA内)(13,330円)
・高速道路(SA、PA以外)(19,620円)
【夜間 20時~8時】
・一般道路(13,330円)
・高速道路(SA、PA内)(15,420円)
・高速道路(SA、PA以外)(22,750円)
JAFのパンクの対応として、スペアタイヤとの交換作業1本までの料金となっています。JAF側では新たなスペアタイヤは提供しておらず、既に持っているスペアタイヤと交換の対応となっています。
スペアタイヤを積んでいない場合、パンクの応急修理(タイヤの状況によります)もしくはタイヤショップなどへ牽引搬送する対応をしてくれます。故障車けん引も15kmまでなら会員は無料で対応してくれます。
JAF会員の費用
JAFの非会員だとロードサービスが高額になりますので、会員に入会しておくのもいいでしょう。会員になるために必要な金額は自動車保険(任意保険)よりも低めとなっています。
【個人会員】
入会金2,000円
年会費4,000円
【家族会員】
入会金無料
年会費2,000円
【法人会員】
入会金2,000円
法人特定会費2,000円
車両特定会費2,000円
自動車保険(任意保険)のロードサービスに電話する場合
JAFの他には、自動車保険(任意保険)のロードサービスに電話する方法もあります。
自動車保険(任意保険)のロードサービスは、保険のサービスの一環となっているため、無料で対応してくれることが多く、夜間でも利用できるものもあります。保険会社によってロードサービスの内容は違いますが、レッカー距離100kmまで無料となるなどの対応をしてくれます。
年間の回数制限などがありますが、ロードサービスを使うことによって等級が下がるという心配はありませんので安心して使うことができます。
自動車保険(任意保険)によっては、ロードサービス特約に入っていなければ、サービスを受けられない場合もあります。自分の自動車保険(任意保険)のロードサービスについて事前に確認しておきましょう。
高速道路でパンク・故障などを見かけたときの対応
付近に人がいないか注意
事故・故障などで車が停車しているとき、付近に人がいる可能性があります。急に人が飛び出してくるかもしれないことを予測し、危険に備えるようにしましょう
スピードを落として安全走行
高速道路で事故や故障車があった場合、道路交通情報板、ハイウェイラジオなどで情報提供を行っています。情報を入手したらスピードを出しすぎず、十分に注意して走行するようにしましょう。
ハイウェイラジオとは
ハイウェイラジオとは、高速道路本線上に敷設したケーブルから流れている電波をカーラジオ(AM)で受信(受信周波数:1620kHz)することで、交通情報を聞くことができます。通行止め、事故、渋滞等、複数の交通情報を、音声で24時間提供してくれます。
これらの情報を活用しながら事前に事故を防ぐようにすることが大切です。
まとめ
高速道路でのトラブルの対応の流れ
①ハザードランプを点灯
②減速して路肩に寄せて停車
③停車したらハンドルを左いっぱいに切る
④発炎筒を着火して後方へ置く
⑤停止表示器材を設置する
⑥非常電話か携帯電話で救援依頼する
この記事を読んでおくことで、高速道路中のパンク・故障が発生したとしても冷静に対応できるようにしておきましょう。