年末年始や大型連休に急増!慣れない車利用で注意したい高額請求トラブル
年末年始やお盆休みなどの大型連休は、普段はあまり車に乗らない人も実家に帰省したり旅行へ出かけたりと、長距離を運転する機会が増える時期です。そんな時に限って「バッテリーが上がって動かない」「パンクしてしまった」など、車のトラブルが起こりやすくなります。
慣れない土地で急に車が動かなくなると、誰しも焦ってしまうものです。インターネットで「格安」「最速対応」といった宣伝文句を見つけると、つい料金や対応実態をしっかり確認する前に業者を呼んでしまうケースも少なくありません。
しかし、こうした「格安」をうたうロードサービスのなかには、実際に作業を終えてから高額な追加料金を請求したり、キャンセル料を法外に設定していたりする悪質業者も存在します。あわてて呼んだ結果、5万円・10万円など想定外の支払いを余儀なくされるトラブルが各地で増加しているのです。
なぜ若年層にトラブルが多いのか
ロードサービスをめぐる高額請求トラブルは、特に学生や20代の利用者が多いと言われています。その背景には、以下のような理由が考えられます。
– 車のトラブル経験が少ない
若年層の中には免許を取得して間もない人も多く、いざ車が動かなくなったときに正しい対処法や相場観が分からないまま焦ってしまうケースがあります。
– ネット検索やスマホ利用への抵抗が少ない
若い世代はインターネットで検索し、上位に表示された業者のサイトを信用しがちです。「格安」と書かれていると、料金をきちんと確認せずに依頼してしまうことも少なくありません。
こうした要因から、状況に合わない業者を選んでしまい、結果的に高額な費用トラブルに巻き込まれるリスクが高まっています。
状況別!ロードサービスを呼ぶときの緊急対処法
車が突然動かなくなると、多くの人が「とにかく早く何とかしたい」という思いに駆られます。しかし、慌てて無作為に業者を探すと、高額請求の被害を受ける可能性が高まってしまいます。ここでは、状況に応じた対処法を具体的に解説します。
ロードサービスを呼ぶ前にやるべきこと
1. 保険会社またはJAFに連絡する
まずは加入している自動車保険のロードサービス特約を確認しましょう。多くの任意保険には無料のロードサービスが付帯しています。また、JAF会員であればバッテリー上がりやパンクなどの基本的な作業を無料または低価格で対応してもらえます。
JAF会員でない場合でも、作業内容に応じた料金を支払えば対応可能です。
2. 最寄りのディーラーを検討する
任意保険やJAFに依頼が難しい場合、あるいは深夜や早朝などで保険会社が対応できない状況なら、最寄りの自動車ディーラーに連絡する方法もあります。販売店によっては緊急時のサポート体制が整っており、正規の料金を請求されるだけなので、法外な金額を支払うリスクが低い点がメリットです。
ネット業者に依頼した後の対応策
「焦ってネット検索で業者を呼んだけれど、なんだか不安」というときは、以下の点を改めて確認しましょう。
– 料金内訳をできるだけ詳しく聞く
「基本料金はいくらか」「追加料金は何があるか」「最大でどれくらいになるか」といった具体的な金額を問いただしましょう。
– キャンセル料の有無と金額を確認する
見積もりを聞いて納得できない場合、キャンセル料の負担なく依頼を取り消せるのかを必ず確認しておきましょう。
– サイトの記載内容をチェックする
「別途費用がかかる場合があります」と曖昧に書かれていることも多いですが、具体的にどのような費用があるのかが明記されていない場合には、後から高額な追加料金を求められる危険性があります。
もし不安が拭えないようであれば、業者が到着する前にキャンセルを検討するのも賢明な判断です。
高額請求を受けたときの対処法
既に業者から作業をされてしまい、高額な請求を突きつけられた場合は、以下の対処を検討しましょう。
– 納得できない場合は詳しい説明を求める
「なぜこの費用がこんなに高いのか」「事前に案内されなかった費用ではないか」など、疑問点を整理して業者に説明を要求します。
– その場で支払いをしない
相手が強引に支払いを迫ってくる場合でも、簡単に応じないようにしましょう。「後日、納得した金額で支払う」と伝えるか、警察に相談する意志を見せることが大切です。
– 身の危険を感じたら警察に連絡
威圧的な態度やしつこい取り立てなどで不安を感じる場合は、迷わず110番に通報しましょう。
– 消費生活センターに相談
悪質業者との契約トラブルの場合、消費生活センター(電話番号188)で専門家に相談することをおすすめします。
ロードサービスのトラブルでよくあるケース
ロードサービスの高額請求トラブルには、以下のような典型的な事例があります。自分が同じ状況に陥らないよう、あらかじめ把握しておくと安心です。
説明にない料金を請求されたケース
「ホームページには“1980円~”と書かれていたのに、実際には現場で5万円以上請求された」という事例です。作業開始前には明確な料金説明がなく、作業後に「早朝料金」「夜間対応費」「特殊工具使用費」「祝日費用」などさまざまな名目で上乗せされることがあります。
また、「実際に車を見ないと金額は分からない」と曖昧に伝えられ、気づいたら作業が始まっていて断れないまま…というパターンも少なくありません。
高額なキャンセル料を請求されたケース
「依頼を出したけれど、見積もりを聞いて怖くなったのでキャンセルを申し出たら、逆に高額なキャンセル料を請求された」という被害も多発しています。
ホームページには「キャンセル無料」と書いてあっても、実際には「来てもらった分の手数料」や「出張費」が加算され、結果的に高額になるケースがあるので注意が必要です。
「保険でまかなえる」と嘘を言われたケース
高額請求を拒否しようとすると、「保険会社に申請すれば保険金から支払われる」と説明されることがあります。しかし、保険の補償対象外や、適用範囲が限定的で実際に保険金はほとんど下りないケースもあります。
保険会社に相談して初めて「そんな請求は認められない」と分かることもあり、結果的に利用者が大きな金銭的負担を負うことになってしまうのです。
その場で現金支払いを強要されたケース
業者によってはATMまで同行されたり、「今すぐ現金を払ってほしい」と強く迫られたりすることもあります。こうした状況になれば、多くの人は恐怖心から「とにかく払って帰ってもらおう」という心理に陥りがちです。
特に夜間や人気のない場所では身の危険を感じることもあるでしょう。そうした場合は、むやみに相手に抵抗するのではなく、安全確保を優先しつつ、後から消費生活センターや警察に相談するようにしてください。
ロードサービスでもクーリング・オフは可能?
訪問販売に該当する取引(修理内容や契約形態による)であれば、契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフができる可能性があります。
たとえば「サイトの表示金額と明らかに違う金額を提示されて契約してしまった」「契約書面を交付されたのが作業後だった」など、納得のいかない契約に関してはクーリング・オフが認められるケースがあります。
ただし、ブレーキやハンドルなど一部の修理作業はクーリング・オフ対象外になる場合もあるため、詳細は消費生活センターに確認してみましょう。
クーリング・オフが適用されれば、すでに支払った代金が戻ってくる可能性もあります。あきらめる前に必ず専門機関に相談することをおすすめします。
車のトラブルで押さえておきたい基礎知識
車が突然故障したときに、焦らず正しい対処をするために覚えておきたいポイントをまとめました。
まず保険会社かJAFへの連絡を検討する
車のトラブル時、最初に連絡すべきは加入している自動車保険のロードサービス窓口かJAFです。ロードサービス特約が付帯されている保険会社も多く、JAF会員なら初歩的な救援は多くの場合無料で受けられます。
「すぐに対応してほしいが、保険会社やJAFでは難しいかもしれない」と感じても、まずは電話で状況を相談してみるのが得策です。どうしても難しい場合には、最寄りのディーラーを検討しましょう。
ネット情報や電話だけの説明をそのまま信じない
「基本料金○○円~」「最短○分で到着」といった宣伝を鵜呑みにせず、次のような点をしっかり確認しましょう。
– 具体的な作業内容と料金内訳
– 追加料金や割増料金の有無・金額
– キャンセルポリシー(無料かどうか、発生する場合はいくらか)
– 保険適用範囲の真偽
少しでも疑問を持ったら、「その説明はどこに記載されていますか?」と尋ねるなど、曖昧な部分を残さないようにしましょう。
納得できない場合はしっかり説明を求める
作業後に高額請求を受けた際、説明に納得できないなら、その場では支払わずに詳細を確認する姿勢が重要です。
相手から「今すぐ支払ってほしい」と迫られても、疑問点が解決するまでは支払いを渋ることも自衛手段のひとつです。ただし、威圧的な態度で対抗するのは避け、あくまでも冷静に「説明を求める」姿勢を維持しましょう。
困ったら消費生活センターへ相談する
業者と話が平行線をたどっている場合や、すでに支払ってしまったけれど納得できないという場合でも、消費生活センターに相談することができます。
消費生活ホットラインは「188(いやや!)」という3桁の番号で、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。クーリング・オフ制度の適用可能性も含め、専門の相談員がアドバイスをしてくれるので、一人で悩まずに連絡してみてください。
鍵のトラブルにも注意
ロードサービスに関連して、車の鍵紛失やインロック(鍵を車内に閉じ込める)トラブルなども、似たような高額請求事件が報告されています。
専門知識がない場合は、車のドアロックを開ける作業ひとつでも高額になることがありますので、鍵トラブルに備えても保険会社やJAFの特約、もしくは正規ディーラーのサポートなどを確認しておくと安心です。
まとめ
車の故障やバッテリー上がり、鍵の閉じ込みなど、運転中のトラブルは誰にでも起こり得ます。しかし、いざというときに慌ててネット検索で出てきた業者に飛びつくと、悪質な高額請求に巻き込まれるリスクが高まってしまいます。
まずは加入している保険会社やJAFなど、信頼できるサポートを最優先に連絡しましょう。それが難しい場合には、最寄りのディーラーに相談することをおすすめします。どうしてもネットでロードサービスを探す必要があるなら、料金の内訳やキャンセルポリシーを細部まで確認し、不審点があれば勇気を持ってキャンセルをするのも重要です。
万が一、高額な追加料金を請求されたり、その場で支払いを強要されたりした場合は、納得できるまで支払いを保留にし、消費生活センター(188)に相談してください。トラブルに巻き込まれた後でも、クーリング・オフ制度が適用できる可能性があります。車のトラブルは誰しも焦りがちですが、落ち着いた行動こそが自身の身を守る最善策です。