ここでは、引越し後の車のナンバープレート変更の必要性や手順、費用、変更を怠った場合のペナルティなどについて詳しく解説します。引越し後は住所変更にともない、車検証やナンバープレートの変更が必要になる場合があります。やるべきことが多いため、しっかり手順を把握してスムーズに進めましょう。本記事では、普通車と軽自動車の違いや、手続きに必要な書類、オンライン申請の猶予制度なども含めて分かりやすく整理しています。ぜひ参考にしてみてください。
引越し後に車のナンバー変更は必要?
引越しをすると、転居先の住所がこれまでの管轄とは異なる場合があります。車のナンバープレートに記載されている地域名は、その車を登録している「運輸支局」「軽自動車検査協会」の管轄を示すものです。そのため、以下のように「地域名」に変更があるかないかで、ナンバープレートの変更が必要かどうかが分かれます。
- 同じ市内・区内・町内で、同一の地域名の場合
例:品川区→目黒区(ともに品川ナンバー)
→ ナンバー変更は不要 - 「地域名」がこれまでと異なるエリアに引越す場合
例:品川区→世田谷区(品川ナンバー→世田谷ナンバー)
→ ナンバー変更が必要 - 異なる都道府県に引越す場合
例:東京都→神奈川県
→ ナンバー変更が必要
ただし、同じ管轄の運輸支局や軽自動車検査協会であっても、ナンバープレートの地域名そのものが変わるケースは多く存在します。運輸支局の管轄が広域にわたる場合、実際には同じ窓口でも複数のナンバー地域が存在するからです。そのため「手続き先が同じだから変更しなくてOK」というわけではないので注意しましょう。
変更が不要でも必須の手続きはある
ナンバープレートの地域名が変わらず、ナンバー変更が不要だとしても、以下の手続きは全員が行わなくてはなりません。
- 免許証の住所変更
警察署や運転免許センターで手続きを行います。 - 車庫証明書の取得(普通車の場合)
軽自動車の場合は「自動車保管場所届出」が必要です。 - 車検証の住所変更
新しい住所を車検証に反映させる必要があります。 - 自賠責保険・任意保険の住所変更
保険の登録情報を最新の状態にするために手続きが必要です。
これらの手続きを怠ると、もし事故などが起きた際にトラブルになる可能性があります。「ナンバー変更が不要だったから、他の手続きも不要」と勘違いしないように気を付けてください。
引越し後に車のナンバー変更が必要な場合の手順
ここでは、引越し先でナンバープレートを変更しなくてはならない場合の具体的な手順を解説します。大まかな流れとしては、下記のステップになります。
- 必要書類を揃える
- 車で運輸支局または軽自動車検査協会に向かう
- 書類・費用等をまとめて提出する
- 新しい車検証を受け取る
- 税関係の申告を行う
- ナンバープレートを交換する
(1) 必要書類を揃える
ナンバープレートを変更するにあたっては、同時に車検証の住所変更(変更登録)も行います。その際に必要な書類は普通車と軽自動車で多少異なるので、以下にまとめました。
普通車の場合
- 変更登録申請書(運輸支局で入手、通称「OCRシート」など)
- 手数料納付書(運輸支局内の印紙売り場で購入・貼り付け)
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書(運輸支局に併設されている税事務所で入手)
- 現在の車検証
- 新住所を証明する書類(住民票、印鑑証明書などで発行後3ヶ月以内のもの)
- 車庫証明書(発行からおおむね1ヶ月以内が有効)
- 車両自体に取り付けられているナンバープレート(現地で返納)
- 希望ナンバー予約済証(希望ナンバーを事前予約した場合)
- 字光式番号標交付願(字光式ナンバーを申請する場合)
車庫証明書を取得するためには、駐車場の保管場所を証明するための書類(保管場所使用承諾証明書など)を警察署に提出します。申請から交付までに数日から1週間程度かかることがありますので、引越し後はなるべく早めに準備を始めると良いでしょう。
軽自動車の場合
- 自動車検査証変更記録申請書
- 軽自動車税(環境性能割・種別割)申告書
- 現在の車検証
- 新住所を証明する書類(住民票、印鑑証明書などで発行後3ヶ月以内のもの)
- 車両に取り付けられているナンバープレート(現地で返納)
- 希望ナンバー予約済証(希望ナンバーを事前予約した場合)
- 字光式車両番号指示願(字光式ナンバーを申請する場合)
軽自動車の場合、車庫証明書は不要である反面、自治体によっては「自動車保管場所届出」を行う必要があります。市区町村や都道府県によって要件が異なるため、引越し先の警察署や自治体に確認しておきましょう。
(2) 車で運輸支局または軽自動車検査協会に向かう
必要書類がそろったら、新しい管轄の運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽自動車)に行きましょう。ナンバープレートは現地で取り外して返納し、新しいナンバープレートに交換する流れになります。現地で工具を貸し出してもらえるケースが多いので、基本的には自分で外せばOKです。
ただし、駐車場や場所によっては工具の数が限られていることもあるため、ご自身の車に合ったドライバーやスパナなどを持参しておくと安心です。また、封印(普通車の後部ナンバープレートに付いている金属キャップ)を外す際には、通常は陸運局の職員が対応してくれます。
(3) 書類・費用等をまとめて提出する
運輸支局や軽自動車検査協会に着いたら、まずは受付に行き、どの窓口でどの書類を提出すればよいか確認します。必要な書類を順番にまとめて、以下のように進めていきます。
- 変更登録申請書や納付書、税申告書等の記入・提出
- 印紙の購入と貼付(普通車のみ)
- 住民票や車検証、車庫証明書(普通車)などの確認
窓口が複数に分かれている場合は、指示に従って書類を提出していきます。不備があると二度手間になるので、事前に書類一式がそろっているかどうかをよく確認してから提出することが大切です。
(4) 新しい車検証を受け取る
書類に問題がなければ、新しい住所が記載された新しい車検証が交付されます。この車検証は、従来と同じく車内に保管する必要があります。受け取った車検証の内容に誤字や住所の記載ミスがないかどうか、必ずその場でチェックしましょう。
(5) 税関係の申告を行う
新しい車検証を受け取ったら、近隣の税事務所(普通車の場合は運輸支局に併設、軽自動車は軽自動車検査協会に併設が多い)で自動車税・軽自動車税の申告手続きをします。住所変更にともなう申告のため、この場で新たに税金を支払う必要は通常ありませんが、提出が必要な書類や押印などがある場合もあるため、指示に従いましょう。
なお、税金の納付書は毎年通常5~6月頃に届きますが、住所変更をしていないと古い住所に送られ、納付書が手元に届かないことがあります。結果的に、納税が遅れてしまうと延滞金が発生するリスクもあるため、この税関係の変更手続きは重要です。
(6) ナンバープレートを交換する
最後に、交付を受けた新しいナンバープレートを車に取り付けます。古いナンバープレートを外し、新しいナンバーを取り付ける形です。ここで**重要なのが普通車後部の「封印」**です。通常、運輸支局の敷地内にある封印作業場や担当窓口で、新しいナンバープレートの封印を行います。
- 軽自動車は封印がないため、取り付け作業のみで完了
- 普通車は係員が後部ナンバープレートに封印を施すため、必ずスタッフの指示に従う
これでナンバー変更の一連の手続きが完了です。
ナンバー変更にかかる費用
ナンバー変更および車検証の住所変更にかかる費用の目安は、以下のとおりです。細かい金額は地域やプレートの種類によって異なります。
項目 | 費用相場 | 補足 |
---|---|---|
車庫証明書(普通車のみ) | 約2,000~2,500円 | 発行には数日~1週間かかることが多い |
住民票/印鑑証明書 | 200~400円 | 発行後3ヶ月以内のものが必要 |
ナンバープレート(通常) | 約1,500~2,500円 | 当日発行可能。地域やサイズで差がある |
希望ナンバー | 約4,000~6,000円 | 事前予約が必要 |
図柄入りナンバー | 約7,000~10,000円 | 事前予約が必要。デザインの種類によって費用が異なる |
変更手数料(普通車のみ) | 350円 | 運輸支局で印紙を購入して納付書に貼付 |
代行手数料 | 約10,000~30,000円 | ディーラーや行政書士などに委託した場合 |
自分で手続きを行う場合は、普通車の場合だと4,000円以上、軽自動車なら2,000円以上が目安です。ナンバープレートを希望ナンバーや図柄入りナンバーにすると追加費用が発生します。一方、車のディーラーや行政書士にすべて手続きを丸投げすると、代行手数料が1~3万円ほどかかるケースが多いです。
引越し後の車のナンバー変更はいつまで?
車検証の住所変更は、引越しをしてから15日以内に行うことが法律で義務づけられています(道路運送車両法第12条)。ナンバープレートの変更も、住所変更にともなって手続きをする必要があるため、基本的には車検証の住所変更と同じ期間内に行いましょう。
ただし、普通車の場合はその前提として車庫証明も必要です。車庫証明の取得までに時間がかかることを考え、できるだけ早めに警察署へ届出を出しておくと安心です。
オンライン申請による猶予制度(OSS)
近年、OSS(自動車ワンストップサービス)を使って住所変更申請をオンラインで行うことも可能になっています。OSSを活用した場合、ナンバー変更そのものは次回車検時まで猶予が認められる仕組みがあります。
ただし、車検証原本を運輸支局に郵送して書き換えをしてもらう必要があるため、その間は車検証不所持の状態になります。車検証不所持の間は車を運転できないので注意しましょう(電子車検証など新たな形態の整備も進んでいますが、まだ完全には普及していません)。
ナンバー変更を怠るとどうなる?罰則とデメリット
引越しによって住所が変わったのに、車検証の住所変更やナンバープレートの変更をしないままでいると、さまざまなリスクやペナルティがあります。
道路運送車両法違反になる可能性
車検証の記載事項変更手続きを行わないまま放置していると、道路運送車両法違反に問われる可能性があります。これにより、50万円以下の罰金が科されることもあるため、重大な違反行為と認識しておきましょう。
実際に罰金が科されるかどうかはケースバイケースですが、万一違反が発覚した場合には大きなペナルティになることは覚悟が必要です。
税金やリコール案内などの重要書類が届かない
車検証やナンバープレートの住所変更がされていないと、以下のような通知や書類が正しい住所に届かない恐れがあります。
- 自動車税(種別割・環境性能割)の納税通知書
- リコールやリコール対策に関する通知
- 任意保険や自賠責保険の更新にかかわる書類
税金の通知が届かないと、気づかないうちに延滞金が発生している場合もありますし、リコール情報を見落として危険な状態で車を運転してしまうリスクもあります。事故やトラブルを回避するためにも、引越し後は住所を最新の状態に整備しておきましょう。
車の売却や譲渡の際に手続きが増える
車検証の住所が古いままでは、後日その車を売却や譲渡しようとするときに必要な書類が増える可能性があります。例えば、売却の際には「連続する住所の繋がり」を証明するために、転居前の住民票や除票などを数回分用意しなくてはならないこともあります。手続きが複雑化し、無駄な時間や手間が発生してしまうため、早めの変更が得策です。
盗難や事故時の対応が遅れる
万が一、車の盗難に遭ったり事故に巻き込まれた場合、警察が車の所有者情報を元に捜索や連絡を行います。このとき、車検証の住所と実際の住所が異なっていると、警察からの連絡が届かない、あるいは捜査に時間を要することになりかねません。車を取り戻すチャンスを逃す可能性もあるため、トラブルが大きくなる前に手続きしておくことをおすすめします。
希望ナンバーや図柄入りナンバーへの変更も可能
住所変更にともないナンバープレートを変更するなら、同時に希望ナンバーや図柄入りナンバーを申請するのも選択肢の一つです。希望ナンバーは好きな数字を指定でき、図柄入りナンバーは地域の特色や特別デザインが施されたプレートを利用できます。ただし、これらを選択する場合は事前予約が必要になり、通常より費用も高くなります。
- 希望ナンバー:自分の好きな数字を指定(抽選対象の人気番号もあり)
- 図柄入りナンバー:ご当地仕様や特定の記念デザインが入るプレート
引越しや車の乗り換えなどのタイミングで取得する人も多いので、興味がある場合は運輸支局や軽自動車検査協会のサイト、または**「希望番号・図柄ナンバープレート申込サービス」**の公式Webサイトなどを確認してみましょう。
まとめ
引越し後の車のナンバー変更は、地域名に変更があるかどうかで手続きの必要性が分かれます。ただし、たとえナンバーを変える必要がなくても、免許証の住所変更や車検証の住所変更など、やるべき手続きは少なくありません。特に普通車の場合は車庫証明書の取得も必要であり、申請から交付までに時間を要することが多いです。
- ナンバープレートの地域名が変わるなら、15日以内に手続き
- 車庫証明書が必要となるので早めに警察署へ申請
- 住民票や印鑑証明などの取得にも時間がかかる場合がある
- 自動車税の納税通知書やリコール案内が届かないリスクを回避するためにも早急に変更
もし手続きを怠ってしまうと、道路運送車両法違反として最大50万円の罰金が科される可能性もあります。盗難や事故時の対応が遅れたり、売却や譲渡の際に無駄な書類が増えるなど、さまざまな面で不利益を被るリスクがあります。引越し後にやるべきことが多いのは確かですが、早めに必要書類を揃えてスムーズに進められるよう計画を立てましょう。
車の手続きをしっかり済ませることで、新生活もスムーズにスタートできます。負担に感じる場合は、ディーラーや行政書士に依頼して代行してもらうのも手です。費用はかかりますが、専門家が書類をミスなく処理してくれるため、時間や労力を節約できるメリットがあります。
いずれにしても、引越し後の車のナンバー変更や住所変更は放置厳禁です。事前に必要書類や手続き場所、費用の目安などをよく把握し、余裕をもって手続きを済ませるようにしてください。そうすれば、トラブルを回避し、安心して新しい環境でのカーライフを楽しむことができるでしょう。