カーシェアリングは、24時間いつでも好きなタイミングで車を借りられる手軽さや、短時間のみでも利用できるメリットから、多くの人にとって魅力的なサービスです。一方で、「後悔した」「こんなはずじゃなかった」という声や、実際にトラブルに巻き込まれたという相談が寄せられているのも現実です。
カーシェアには、レンタカーとは異なる独自の仕組みがあり、利用する際の注意点やデメリットも存在します。本記事では、カーシェアのデメリットやトラブル事例を取り上げつつ、どのような人にとってカーシェアの利用が向いているかを解説していきます。記事後半では、国民生活センターの「報道発表資料」に触れられているレンタカーやカーシェアに関するトラブル事例も紹介し、最後に快適かつ安全にカーシェアを利用するためのポイントもまとめます。
カーシェアの利用を検討している方にとって、この記事がリスクを理解する助けとなり、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための情報源になれば幸いです。
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カーシェアとレンタカーの基本的な違い
カーシェアのデメリットを具体的に知る前に、まずはレンタカーとの違いを押さえておきましょう。どちらも「車を借りる」点では同じサービスですが、仕組みや利用手順などが異なります。
店舗での手続きの有無
レンタカーは基本的に店舗でスタッフと対面し、利用契約書を確認しながら手続きを進めます。免許証を提示して書類にサインし、保険や免責補償のオプションを選んでから車を受け取ります。一方、カーシェアは事前に会員登録を済ませておき、予約はスマートフォンやパソコンなどのオンラインで行うのが通常です。無人ステーションへ直接行き、専用カードやアプリを使って車のドアを開け、そのまま運転を開始できます。
給油の手間や車種選択
レンタカーの場合は返却時にガソリンを満タンにして返すのが一般的ですが、カーシェアでは基本的に給油が不要な場合が多いです。燃料費が利用料金に含まれているカーシェアもあります。一方、車種の選択肢はレンタカー会社のほうが豊富である傾向があります。カーシェアではステーションに停まっている車種しか選べないため、好みの車を選びにくい面があります。
料金体系と時間制限
カーシェアは15分単位や10分単位など、短時間利用であれば非常に安く使える仕組みが整っています。レンタカーは6時間パック、24時間パックなど長めの時間設定が標準です。ただしカーシェアは「予約時間を延長できない」「予約時間を過ぎると追加料金が割高になる」といった制約もあるため、柔軟さに欠ける部分がデメリットになり得ます。
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カーシェアのデメリット
一見、自由度が高くお得に感じられるカーシェアですが、実際にはさまざまなデメリットや注意点があります。ここでは代表的なものを紹介します。
登録や予約などの手続きが面倒
カーシェアを利用するには、まず会員登録が必須です。ウェブ上で氏名・住所・連絡先・クレジットカード情報などを登録し、その後に専用カードやアプリを使えるようにしなければなりません。さらに一部のカーシェアサービスでは、免許証のコピーや住民票が必要になるケースもあります。
また、いざ車を借りようとするたびに、ステーションや利用時間、車種などをネットやアプリで予約しなければいけません。免許を持っているだけで乗れるマイカーと比べると手続きの煩雑さは否めません。
都市部以外でステーションが少ない
大手カーシェア事業者の多くは都市部での展開を重視しているため、地方や郊外ではそもそもステーションの数が少ない、あるいは存在しないことも珍しくありません。自宅からステーションまで遠いと、車を借りるまでに時間も交通費もかかってしまい、利便性は大きく下がってしまいます。
また、カーステーションへの「片道利用」が認められない場合も多いです。行き先で乗り捨てたいと思っても、返却は同じステーションにしなければならないため、不便さを感じる人もいます。
時間の制限がある
カーシェアはシェアサービスである以上、常に次の利用者が待っている可能性があります。予約時間内に返却することを徹底しなければならず、返却時間を過ぎると延滞料金が高額になってしまうケースもあります。交通渋滞や突然の用事が入って時間を超過してしまうと、予想外の出費が発生してしまうでしょう。急なトラブルや予定変更が起こりやすい人には向いていない面があります。
休日は混み合って借りにくい
カーシェアの台数は、通常のレンタカー会社ほど多くありません。特に週末や祝日など休日の需要が高まる時期には、予約がすぐに埋まってしまい、希望の時間帯や車種が借りられないということがよく起きます。借りられたとしても希望のステーションが満車で、遠方のステーションまで行かなければならないこともあり、利便性が下がります。
喫煙できない
カーシェア車両は禁煙としている事業者がほとんどです。喫煙者にとってはストレスを感じるかもしれませんし、車内でタバコを吸う行為は明らかな約款違反です。車内のニオイ移りはほかの利用者に大きな迷惑をかけるため、原則として車内でのタバコはNGと覚えておきましょう。
ペット不可
ペットとドライブを楽しみたいという方にとって、カーシェアは残念ながら不向きな場合が多いです。ペットをケージに入れたとしても、ペット不可のケースが一般的です。ペット由来のニオイや抜け毛、引っかき傷などで車内が傷むと、後から乗る人たちに影響が出てしまう可能性があるためです。
清掃が十分でない場合がある
レンタカーであれば、利用前後に店舗スタッフが清掃することが多いですが、カーシェアは利用者同士の「セルフマナー」に任される面が大きいです。前の利用者が車内を汚したまま返却すると、次に利用する人は不衛生な車内で過ごさなければいけない可能性があります。定期的にメンテナンスや清掃を行う法人運営のカーシェアもありますが、中には清掃周期が長い、もしくは利用者のモラルに頼りきりというケースもあるため、利用者同士のトラブルが起きやすいのです。
車の状態が悪いことがある
レンタカー会社は自社の車両を定期的に整備し、点検しているケースが多いですが、カーシェアの場合は必ずしもそうとは限りません。特に個人間カーシェアや小規模の業者が運営しているサービスでは、オイル交換や車検などの整備状態が不十分なまま貸し出しされている例もあるようです。実際に走行中に異音がする、エンジンが突然止まるなどのトラブルも報告されています。
雨の日や高速道路を使う場合、タイヤの溝がほとんどないなど安全性に不安を感じることもあります。自分自身で車の状態を事前にチェックできないのは、カーシェア利用の大きなリスクとなり得ます。
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カーシェアにまつわるトラブル事例
ここでは、国民生活センターが公表している報道発表資料の内容も踏まえつつ、実際に起こり得る代表的なトラブル事例をいくつか紹介します。いずれもレンタカーやカーシェアをめぐる相談件数として報告されており、「想定外の高額修理費用の請求」「車両不具合」など、事前に知っておくことで備えられるケースがあります。
身に覚えのない傷を指摘される
借りる前からあったはずの傷なのに、返却時または後日になって「ここに傷がある」と請求されてしまうケースです。対面でチェックする仕組みのあるレンタカーでも、立ち合いチェックが不十分だと後からトラブルに発展することがあります。カーシェアは無人ステーションが多いため、さらにこのリスクが高まる可能性があります。返却時に問題ないと言われて安心していたのに後日突然「修理代を請求された」という相談もあり、トラブルに発展しやすい典型例の一つです。
故障時や事故時の保険・補償が分かりにくい
カーシェアの場合、事業者やプランごとに保険の適用条件が微妙に異なります。たとえば、事故を起こしたら指定された連絡先にすぐ電話しなければならない、警察への届け出を怠ると保険が一切下りないなど、細かな条件が定められていることがあります。こうした規定を見落としたり、不注意で連絡を忘れたりすると、免責補償制度に入っていても自己負担が高額になるおそれがあります。
利用中の車両不具合と運営側の対応
レンタカーやカーシェアは、法令で定められた点検整備を行う義務があります。しかし、事業者の規模や運営状況によっては整備が追いついていない車両もあるようです。走行中に警告ランプが点灯したり、バッテリーが上がって動けなくなったりするなど、不測の事態が起きた場合の対応をめぐって利用者と事業者がトラブルになることがあります。無人ステーション型カーシェアでは特に、連絡先がつながらない、対応が遅いなどの問題が起こりやすいです。
無人ステーションならではの操作トラブル
カーシェアは店舗スタッフが常駐していないため、車の使い方が分からない、サイドブレーキの位置が見つからない、ライトの消し忘れなど「ちょっとした疑問点」をすぐに解消できないことがあります。後からバッテリー上がりが発覚して費用を請求されたり、アプリでの返却手続きが不完全だったために延長料金を請求されたりするなど、無人ステーション特有のトラブルが多いです。
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カーシェアを利用する上での注意点
カーシェアのデメリットやトラブル事例を踏まえると、利用する際には注意すべきポイントが多数あることが分かります。ここでは、安全かつ快適にカーシェアを活用するために押さえておきたいことを整理します。
契約内容と保険・補償の仕組みを理解する
まず、会員登録をする段階で、カーシェアの契約約款や保険・補償制度の詳細をしっかり確認しておきましょう。事故発生時にはどこに連絡をするのか、免責補償制度に加入していても自己負担が残る場合はどういったケースなのかなど、わからないことは事前に問い合わせて解消しておくことが大切です。
利用前後の車体チェックと写真の記録
身に覚えのない傷による修理代トラブルを避けるためにも、借りる前と返却時には必ず車体をぐるっと確認し、気になる傷があれば写真を撮っておきましょう。返却時にも車両を確認し、問題がなければその状態も写真に残すのがおすすめです。万が一、後日修理代を請求されても、写真があれば反論の根拠を示しやすくなります。
緊急時の対応と連絡先を把握する
レンタカーやカーシェアであっても、道路交通法上は事故が起きたら速やかに警察へ連絡し、必要に応じて救護活動を行う義務があります。事業者への連絡だけでなく、警察への届け出を怠ると保険が適用されないケースがあるので要注意です。事前に会員サイトやアプリで緊急連絡先を確認しておくと安心です。
返却時の時間管理と手続きの徹底
カーシェアでは、返却手続きが完了していないことに気づかず、延長料金が発生する事例が多く見られます。アプリやカードを使って「ロック施錠」や「返却完了」を確実に行うのが重要です。少しでも返却時間をオーバーしそうな場合は、延長手続きをすることも忘れないようにしましょう。
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カーシェアはどんな人におすすめか
ここまでカーシェアのデメリットやトラブル事例を紹介してきましたが、カーシェアには「短時間利用が安い」「店舗に行かずに借りられる」といった大きなメリットがあるのも事実です。以下のような人には特にメリットを感じられるでしょう。
– 都市部に住んでおり、ステーションが近い
– 車に乗る頻度が低く、長距離ドライブをあまりしない
– マイカー購入・維持費をなるべく抑えたい
– 運転練習が主目的など、短時間だけ気軽に利用したい
– 車内の多少の汚れや車種の選択肢の少なさが気にならない
一方で、「週末は1日中車を使いたい」「大人数で遠出する機会が多い」「いつでも自由に乗りたい」「ペットと一緒に乗りたい」という人は、カーシェアだと不便を感じる場面が増えるかもしれません。そういった方には、従来のレンタカーやマイカー所有のほうがむしろストレスなく利用できる場合があります。
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国民生活センターの注意喚起と対処法
独立行政法人国民生活センター(2021年3月25日付)の報道発表資料によると、近年はカーシェアを含むレンタカーサービスの数が増加し、それに伴いトラブル相談も一定数寄せられているとのことです。代表的な注意点は以下の通りです。
– 保険や補償制度の適用条件を事前によく確認する
– 事故や傷のチェックを怠らない
– 車両に違和感がある場合はすぐに事業者に連絡し、指示に従う
– トラブルに巻き込まれたら、消費生活センター等に相談する
また、事業者側にも「契約条件や事故時の対応方法を分かりやすく周知してほしい」「返却時に利用者立ち合いで車体の傷をチェックする仕組みを徹底してほしい」などの要望がなされています。利用者も事業者も、トラブル防止に向けてお互いに注意を払う必要があるといえます。
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デメリットを避けるためのポイント
これまで説明したデメリットやトラブル事例は、あらかじめ対策を講じることである程度回避することが可能です。最後に、カーシェア利用時に心がけたいポイントをまとめます。
1. 会員登録前に評判や整備状況をチェック
大手のカーシェアは法人運営のため、メンテナンスや清掃に力を入れているところも多いです。口コミや評判をSNSやクチコミサイトであらかじめ確認し、「車内が汚かった」「整備不良で怖い思いをした」という声が多いサービスは避けたほうが無難です。
2. 予約時間にゆとりをもったスケジュールを組む
時間超過による延滞料金や、返却時間のオーバーでトラブルになるのを避けるため、スケジュールは余裕を持って組みましょう。渋滞や急な用事が入る可能性を考え、少し長めに予約しておくと安心です。延長できない状況があることも念頭に置いてください。
3. こまめに車両の状態を確認する
乗車前は車体の傷や車内の汚れをチェックし、スマホのカメラで記録を残します。走行中に異音がする場合は、ただちに安全な場所に停車して、運営会社のサポート窓口に連絡しましょう。返却時にも再度車両を確認し、出発時と同じ状態で返却できているかを確認すると安心です。
4. マナーを守り、トラブルを持ち越さない
車内での飲食やごみの処理は、後に利用する人たちのことを考えてきちんと行いましょう。小さな汚れやごみでも放置すれば不衛生な状態となり、サービス全体の信用にも影響します。自分がやられたら嫌だと思う行為は避け、快適に利用できる環境づくりを意識することが大切です。
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まとめ
カーシェアは「24時間いつでも必要なときに」「短時間でも安く借りられる」という魅力的な側面を持っていますが、一方で「ステーションが少ない地域がある」「利用時間を厳守しないと延滞料金がかさむ」「ペット不可・喫煙不可」「利用者間のマナーに左右される」「整備不良などのリスクがある」などのデメリットやトラブル事例が少なくありません。
国民生活センターの報道発表資料にもあるように、カーシェアやレンタカーに関する相談の多くは「覚えのない傷の修理代請求」や「保険・補償制度を誤解して高額請求された」といった内容が目立ちます。原因には、契約内容の確認不足や運営側の説明不足、そして無人ステーション特有のチェック不足などが考えられます。
そのため、カーシェアを利用する場合は、まず契約前に保険や補償制度、事故時の対処方法などを十分に理解し、分からないことは事前に確認することが重要です。また、利用前後の車両チェックや時間管理を徹底すれば、多くのトラブルを回避できるでしょう。清掃状態が気になる場合は、大手事業者や清掃サイクルを明確にしているサービスを選ぶのも一つの方法です。
「車に乗る機会が滅多にない」「短時間利用がメイン」といった人にはカーシェアの手軽さが魅力になりますが、頻繁に運転し長距離移動をする方やペットと一緒に楽しみたい方にとっては、かえって不便やストレスが増える可能性があります。自分のライフスタイルや利用目的と照らし合わせたうえで、カーシェア、レンタカー、マイカーのどれが最適かを慎重に検討してみてください。もしカーシェアのリスクに不安があるようなら、まずは中古車の購入や、ほかの移動手段も選択肢に入れるなどの方法も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
以上の点を踏まえ、カーシェアを「安い」「便利」といったイメージだけで飛びつくのではなく、デメリットやトラブル事例も含めて知っておくことが重要です。慎重に比較検討して、ご自身にぴったりの移動手段を見つけてください。