免許を取ったばかりのあなた、久しぶりにハンドルを握るあなた。目の前に広がる道路に、期待と同じくらいの不安を感じていませんか?「渋滞にはまったらどうしよう」「事故があったら迂回できるかな」「慣れない道で通行止めだったら…」そんな心配、よく分かります。
でも、安心してください。実は、そんなドライブ前の不安をサッと解消してくれる、まるで専属のアナウンサーのような、心強い味方がいるんです。それが、今回ご紹介する「JARTIC(日本道路交通情報センター)」です。
もしかしたら、名前だけは聞いたことがあるかもしれません。しかし、その本当の実力、便利な使い方を知っている方は、意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、JARTICを徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたはJARTICを自在に使いこなし、渋滞や交通規制をスマートに回避できる、ワンランク上のドライバーになっているはずです。「なんだ、こんなに簡単だったんだ!」「これなら次の運転も怖くない!」そう感じていただけるよう、専門用語は使わずに、一つひとつ丁寧にご説明していきますね。
さあ、一緒にJARTICの世界を探検して、あなたのカーライフをより安全で、もっと快適なものに変えていきましょう。
そもそも「JARTIC(日本道路交通情報センター)」って何?
まずはじめに、「JARTICって、いったい何者なの?」というところから、簡単にご説明しますね。難しく考える必要はまったくありません。
JARTICとは、「公益財団法人 日本道路交通情報センター」の愛称です。名前の通り、道路の交通に関する情報を集めて、私たちドライバーに分かりやすく提供してくれている組織のことです。
どこから情報を集めているの?信頼できるの?
ここがJARTICの一番すごいところなのですが、JARTICが提供する情報は、非常に信頼性が高いんです。なぜなら、情報の出どころがしっかりしているから。
具体的には、
・全国の都道府県警察
・高速道路会社(NEXCO東日本・中日本・西日本など)
・都市高速道路会社(首都高速道路など)
・国土交通省などの道路管理者
といった、交通や道路のプロフェッショナルたちから、リアルタイムで正確な情報が集まってくる仕組みになっています。つまり、JARTICの情報は、噂や個人の投稿ではなく、「公式」で「正確」な情報源に基づいている、というわけです。これは、運転計画を立てる上で、何よりも大きな安心材料になりますよね。
テレビやラジオの交通情報で「日本道路交通情報センターの〇〇さん、お願いします」というフレーズを聞いたことはありませんか?まさに、あの情報を提供しているのがJARTICなのです。
どんな情報が手に入るの?
JARTICを使えば、ドライブに必要なあらゆる情報を手に入れることができます。主な情報を見てみましょう。
・渋滞情報:どこが、どのくらい混んでいるのかが一目で分かります。
・事故情報:どこで事故が起きて、どんな影響が出ているのかが分かります。
・交通規制情報:工事やイベント、災害による通行止めや車線規制などが分かります。
・所要時間情報:主要な区間を移動するのに、現在どのくらいの時間がかかるのかが分かります。
・高速道路の入口閉鎖情報:どのインターチェンジが使えないのかが分かります。
・チェーン規制などの気象情報:大雪によるチェーン規制や、大雨による通行止めの可能性などが分かります。
・駐車場の空き情報:一部の都市部では、駐車場の満車・空車情報も提供しています。
これらの情報が、出発前に、あるいは休憩中にサッと確認できる。そう考えると、JARTICがどれほどドライバーの強い味方になってくれるか、イメージしていただけるのではないでしょうか。
これだけは押さえたい!JARTICの便利な機能と使い方
JARTICの情報は、様々な方法で手に入れることができます。ここでは、特に便利で使いやすい方法を3つ、具体的な使い方と合わせてご紹介します。
出発前にチェック!パソコン・スマホでの使い方
最も手軽で、そして最も多くの情報を得られるのが、JARTICの公式ウェブサイトです。パソコンでもスマートフォンでも、同じように利用できます。ここでは、スマホの画面をイメージしながら、使い方をステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。
1.まずは「JARTIC」で検索
お使いの検索エンジンで「JARTIC」と入力して検索すれば、すぐに公式ウェブサイトが見つかります。トップページを開くと、日本地図が表示されるはずです。
2.知りたいエリアを選択
まずは、あなたが出かけるエリア、あるいは情報を知りたいエリアを地図上で選びます。「関東」「近畿」といった広域のエリアをタップするか、地図を拡大して都道府県を直接タップしてみましょう。
3.リアルタイムの交通状況が表示される
エリアを選択すると、その地域の詳細な地図が表示されます。ここには、現在の交通状況が色とアイコンで分かりやすく示されています。
・道路の色分けの意味
道路は、交通状況に応じて色分けされています。
緑色:順調
オレンジ色:混雑
赤色:渋滞
この色の違いを見るだけで、どこがスムーズに流れていて、どこが混んでいるのかを直感的に把握できます。
・いろいろなアイコンの意味
地図上には、様々なアイコンが表示されています。これらは、その場所で何が起きているかを示しています。いくつか代表的なものをご紹介します。
「事故」マーク:事故が発生している場所です。
「工事」マーク:工事による車線規制などが行われている場所です。
「通行止」マーク:その先の区間が通れないことを示します。
「チェーン」マーク:冬道などで、チェーン規制が行われていることを示します。
これらのアイコンをタップすると、「追突事故のため1車線規制」や「舗装工事のため夜間通行止め」といった、さらに詳しい情報を見ることができます。
4.高速道路の情報をもっと詳しく見る
高速道路の情報を知りたい場合は、地図の上部にある「高速道路」というタブを選択します。すると、路線ごとの詳しい情報が表示されます。渋滞が何キロ続いているか、通過するのに何分かかるか、といった具体的な数字が分かるので、非常に便利です。
「関越道」「東名高速」など、特定の路線名が分かっている場合は、路線名一覧から探すこともできます。
5.出発地と目的地からの所要時間を調べる
「所要時間検索」という機能も、ぜひ活用していただきたい便利な機能です。出発するインターチェンジ(IC)と、到着したいインターチェンジ(IC)を選択するだけで、現在の交通状況を考慮したリアルタイムの所要時間を教えてくれます。
例えば、「東京ICから名古屋ICまで」と検索すれば、「通常なら〇時間〇分のところ、現在は渋滞のため〇時間〇分かかります」といった具体的な情報が手に入ります。これは、長距離ドライブの計画を立てる際に、非常に役立ちます。
運転中でも安心!電話やラジオで情報を得る方法
運転中に「あれ、この先渋滞してるかな?」と気になった時、ウェブサイトを操作するのは危険ですよね。そんな時に役立つのが、電話やラジオです。
・全国共通ダイヤル「#8011」
携帯電話やスマートフォンから「#8011」に電話をかけると、JARTICの交通情報に繋がります。これは、全国どこからかけても自動的にその地域を管轄するセンターに繋がり、最新の交通情報を音声で聞くことができる便利なサービスです。
ただし、いくつか注意点があります。
・運転中のドライバー自身が電話をかけるのは、法律で禁止されています。必ず、安全な場所に停車してからかけるか、同乗者の方にお願いするようにしてください。
・通話料は利用者負担となります。
「#8011」は、運転中にちょっとした情報を確認したい時に、非常に有効な手段です。
・ラジオの交通情報
昔からある方法ですが、ラジオの交通情報も依然として重要な情報源です。AMラジオやFMラジオでは、1日に何回も交通情報が放送されています。特に、朝の通勤時間帯や夕方の帰宅ラッシュの時間帯には、放送頻度が高くなります。
車に乗ったら、まずはよく聞くラジオ局の周波数に合わせておく習慣をつけると良いでしょう。「次の交通情報は〇時〇分頃です」といった案内があるので、それを目安に情報を待つことができます。
・高速道路のハイウェイラジオ
高速道路を走行していると、「この先ハイウェイラジオ」という看板を見かけることがあります。これは、特定の区間(だいたい5km程度)で、その先の交通情報をAMラジオ(1620kHz)で詳しく放送しているものです。
トンネルの入口や合流地点の手前など、特に注意が必要な場所で放送されていることが多いです。カーラジオの周波数を合わせるだけで、事故や渋滞の情報をリアルタイムでキャッチできるので、看板を見かけたらぜひ活用してみてください。高速道路上の電光掲示板と合わせて確認すると、より状況を正確に把握できます。
もっと便利に!知っていると差がつく応用テクニック
JARTICのウェブサイトには、基本機能以外にも、知っているとさらに便利になる機能があります。
・公式X(旧Twitter)アカウントをフォロー
JARTICは、全国のエリアごとに公式のX(旧Twitter)アカウントを運用しています。これをフォローしておくと、特に大きな事故や通行止めなど、緊急性の高い情報がリアルタイムでタイムラインに流れてきます。長距離を移動する前や、台風・大雪などの荒天が予想される日には、関連するエリアのアカウントをチェックしておくと、いざという時に役立ちます。
・大雨や大雪、災害時にこそ真価を発揮
普段の渋滞情報ももちろん便利ですが、JARTICが最も真価を発揮するのは、実は「非日常」の時です。
台風の接近に伴う高速道路の通行止め計画、集中豪雨による国道の一部区間の閉鎖、大雪による大規模な立ち往生の発生など、広範囲に影響が及ぶような災害時には、JARTICのウェブサイトが命綱になることもあります。
どの道が通れて、どの道が通れないのか。その情報が、公式情報として地図上に集約されていることの価値は計り知れません。いざという時のために、「災害時にはJARTIC」と覚えておくだけでも、あなたの安全確保に繋がるはずです。
JARTIC情報を運転にどう活かす?ワンランク上の安全運転術
JARTICで情報を手に入れる方法が分かったところで、次はその情報を実際の運転にどう活かしていくか、というお話をします。情報を知っているだけでは宝の持ち腐れです。それを活用してこそ、安全で快適なドライブが実現します。
渋滞を避けるだけで、心と時間に余裕が生まれる
運転初心者の方にとって、渋滞は想像以上に心身を消耗させるものです。ノロノロ運転と停止を繰り返し、周りの車との距離感に気を遣い、いつになったら抜け出せるのか分からない…。そんな状況では、集中力も切れやすく、イライラも募りがちです。
・出発前に「赤」や「オレンジ」をチェック
出発前にJARTICのウェブサイトを見て、目的地までのルートが赤色やオレンジ色になっていたら、それは「これから渋滞に突入しますよ」というサインです。そんな時は、少し遠回りになっても、緑色で示されている別のルートを選択することを検討してみましょう。
「急がば回れ」という言葉がありますが、これは運転においてまさに真理です。結果的に、渋滞路を通るよりも早く、そして何より心に余裕を持って目的地に到着できるケースは少なくありません。焦りやイライラは、安全確認の漏れや強引な運転に繋がりやすく、事故の大きな原因となります。ルート選択の時点でその原因を一つ潰せる、と考えることができます。
・渋滞にはまってしまったら
もし、どうしても渋滞を避けられなかったり、走行中に渋滞にはまってしまったりした場合は、気持ちを切り替えましょう。JARTICの情報で「この渋滞は〇〇が原因で、長さは〇km」ということが分かっていれば、「じゃあ、あと30分くらいの辛抱かな」と、ある程度の見通しが立ちます。先の見えない渋滞ほど辛いものはありません。情報があるだけで、心理的な負担は大きく軽減されるのです。
そして、渋滞中は追突事故が非常に多く発生します。十分な車間距離を保ち、スマートフォンの操作などは絶対にせず、前の車の動きに集中しましょう。
事故・規制情報を制する者は、危険を制する
「この先、事故多発地帯」という看板よりも、「この先、500m先で追突事故発生中」というJARTICのリアルタイム情報の方が、何倍もドライバーの注意を喚起します。
・「心の準備」ができることの絶大な効果
事前に事故や工事の情報を知っておく最大のメリットは、「心の準備」ができることです。
例えば、「この先の左カーブで、故障車が路肩に停まっている」という情報を得ていれば、カーブに進入する手前から速度を落とし、注意深く進むことができます。情報がなければ、カーブを曲がった先で突然故障車が現れ、急ブレーキや急ハンドルといった危険な操作を強いられたかもしれません。
同様に、「2km先で工事のため右側車線が規制されている」と分かっていれば、慌てずに、余裕を持って左側車線に進路変更することができます。直前になって無理な割り込みをする必要もなく、周囲の車とのトラブルも避けられます。
このように、事前に情報を得ることで、危険な状況そのものを回避したり、危険な状況に遭遇しても冷静に対処したりすることが可能になるのです。これは、安全運転において非常に重要なスキルと言えます。
天気と道路状況をセットで確認する習慣を
安全運転は、道路の状況だけでなく、天候にも大きく左右されます。JARTICのウェブサイトでは、雨雲の動きや積雪の情報といった、気象情報も合わせて確認することができます。
・「雨だから、いつもより滑りやすいかも」
雨の日は視界が悪くなるだけでなく、路面が滑りやすくなり、停止するまでの距離(制動距離)が長くなります。JARTICで雨雲が近づいていることを確認したら、「いつもより車間距離を多めに取ろう」「スピードは控えめにしよう」と、運転モードを「雨の日モード」に切り替えることができます。
・「山のほうは雪マーク。もしかして凍結してる?」
特に冬場の運転では、天気と道路情報の連携確認が欠かせません。平野部では晴れていても、山間部では雪が降っていて、路面が凍結している可能性があります。JARTICで目的地の周辺に「チェーン規制」や「冬用タイヤ等装着規制」のアイコンが出ていないかを確認する習慣をつけましょう。もし規制が出ていれば、自分の車の装備で大丈夫か、あるいは計画そのものを見直す必要があるかを判断できます。
「大丈夫だろう」という根拠のない自信が、一番の危険です。JARTICという客観的な情報を判断材料にすることで、無謀な運転を防ぐことができます。
ナビアプリやGoogleマップとどう違う?JARTICとの上手な使い分け
ここまで読んでくださった方の中には、「でも、いつも使っているカーナビやスマートフォンのナビアプリでも、渋滞情報は表示されるけど?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
おっしゃる通り、最近のナビアプリは非常に高性能で、リアルタイムの渋滞を考慮したルート案内をしてくれます。では、JARTICを使う意味はどこにあるのでしょうか。ここでは、それぞれのツールの得意なこと、苦手なことを理解し、賢く使い分ける方法をご紹介します。
それぞれのツールの長所と短所
・ナビアプリ(Googleマップなど)の長所と短所
長所:
目的地までの最適なルートを自動で案内してくれる。
リアルタイムの渋滞を考慮し、積極的に迂回ルートを提案してくれる。
到着時刻の予測精度が高い。
お店の検索など、運転以外の付加機能が充実している。
短所:
情報の元になっているのが、主にアプリ利用者の走行データ(プローブ情報)のため、交通量が少ない道路では情報が不正確な場合がある。
事故や規制の「原因」や「詳細」までは分かりにくいことがある。
広範囲の交通状況を俯瞰的に把握するのは、少し苦手。
・JARTICの長所と短所
長所:
警察や道路管理者からの「公式情報」であり、信頼性が非常に高い。
事故の原因や規制の詳細など、情報の質が深い。
地図上で広範囲の交通状況を直感的に、俯瞰的に把握できる。
大雨や大雪など、災害時の広域通行止め情報に強い。
短所:
ナビゲーション機能はないため、ルート案内はしてくれない。
渋滞を避けるルートは、自分で考えて判断する必要がある。
「出発前はJARTIC、運転中はナビアプリ」が最強の組み合わせ
これらの長所と短所を踏まえると、理想的な使い方が見えてきます。
1.出発前の計画段階で「JARTIC」を活用する
まずはJARTICのウェブサイトで、目的地までの全体的な交通状況を「俯瞰」します。
「今日は東名高速が広範囲で渋滞しているな。事故も起きているようだ」
「それなら、少し時間はかかるけど、中央道経由のルートを検討しよう」
「あ、でも中央道は山間部で雪の可能性があるから、念のため天気も確認しておこう」
このように、ドライブ全体の「戦略」を立てるのに、JARTICは最適です。大きな渋滞や通行止めといった、計画の根幹を揺るがすような情報を、出発前に把握することができます。
2.運転中は「ナビアプリ」に任せる
大きなルート戦略が決まったら、実際の運転は使い慣れたナビアプリに任せましょう。
JARTICで立てた大まかなルートをナビに設定すれば、あとは音声案内に従って運転に集中できます。走行中に発生した小さな渋滞などがあれば、ナビアプリが自動でリルートしてくれることもあります。
このように、JARTICとナビアプリは、どちらか一方だけを使うのではなく、両方の良いところを組み合わせて使うのが最も賢い方法です。森を見る「JARTIC」と、木を見る「ナビアプリ」。この二つの視点を持つことで、あなたのドライブは、より安全で、確実で、快適なものになるでしょう。
まとめ:JARTICをあなたの「専属交通情報アナウンサー」に
今回は、運転初心者の方やペーパードライバーの方に向けて、道路交通情報センター(JARTIC)の上手な活用法を、基礎から応用まで詳しくご紹介してきました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返ってみましょう。
・JARTICは、警察や道路管理者からの情報を元にした、信頼性抜群の「公式」な交通情報です。
・ウェブサイトやスマートフォンを使えば、渋滞、事故、交通規制などの情報を、地図上で直感的に把握できます。
・「#8011」への電話やラジオを使えば、運転中でも安全に情報を手に入れることができます。
・出発前にJARTICで情報を得ることで、「心の準備」ができ、焦りや不安のない、余裕を持った運転に繋がります。
・特に、大雨や大雪といった災害時には、JARTICの情報があなたの安全を守るための重要な判断材料になります。
・ナビアプリとJARTICを上手に使い分けることで、ドライブの計画から運転中まで、隙のない万全な体制を整えることができます。
JARTICを使いこなすことは、決して難しいことではありません。まずは、次の運転の前に、スマートフォンでJARTICのサイトをそっと開いてみてください。出発前にたった数分、道路の状況を確認する。その小さな習慣が、あなたの運転への自信を育て、事故のリスクを減らし、カーライフ全体を豊かにしてくれるはずです。
JARTICという頼れる「専属交通情報アナウンサー」を味方につけて、これからも安全で楽しいドライブを心から楽しんでください。あなたのカーライフが、素晴らしいものになることを、心から願っています。




