軽自動車の「黄色ナンバー」と「白ナンバー(特別仕様)」の違い

軽自動車の「黄色ナンバー」と「白ナンバー(特別仕様)」の違い

街中で、軽自動車なのに白いナンバープレートを付けている車を見かけたことはありませんか。「あれ?軽自動車は黄色いナンバーじゃなかったかな?」と不思議に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

特に運転免許を取りたての方や、久しぶりにハンドルを握る方にとっては、こうした小さな疑問が運転中の不安につながることもあるでしょう。

結論から言うと、軽自動車に白いナンバープレートを付けることは可能です。しかし、それは「普通車になった」という意味ではありません。この記事では、軽自動車の「黄色ナンバー」と、特別な「白ナンバー」の違いについて、専門用語をできるだけ使わずに、一つひとつ丁寧に解説していきます。

この記事を読み終える頃には、ナンバープレートの色の謎がスッキリと解決し、カーライフがもっと楽しくなるはずです。

そもそも、なぜ軽自動車のナンバーは黄色なの?

まずは基本からおさらいしましょう。なぜ軽自動車のナンバープレートは、あの目立つ黄色なのでしょうか。これには、ちゃんとした理由があるのです。

普通車と見分けるための大切な「しるし」

軽自動車のナンバープレートが黄色になったのは1975年のこと。その最大の理由は「普通車と軽自動車を瞬時に見分けるため」です。

今でこそETCが普及していますが、当時は高速道路の料金所などで、係員さんが一台一台の車種を目で見て確認し、料金を徴収していました。ご存じの通り、軽自動車は普通車に比べて高速道路の料金が安く設定されています。そのため、料金を間違えないように、一目で「これは軽自動車だ」と分かる必要があったのです。

黄色は昼夜を問わず視認性が高い、つまり「目立ちやすい色」であることから、この役割に選ばれました。他にも、白ナンバーは自家用の普通車、緑ナンバーは事業用の普通車、黒ナンバーは事業用の軽自動車というように、ナンバープレートの色は、その車がどんな種類の車なのかを示す大切な「しるし」の役割を担っています。

「軽自動車」という規格はナンバーの色では変わらない

ここで大切なポイントは、軽自動車の黄色いナンバープレートは、あくまで「識別のため」のものであり、車の性能や法律上の区分そのものを決めているわけではないということです。

軽自動車は「道路運送車両法」という法律で、以下のように定められています。

・排気量:660cc以下

・長さ:3.4m以下

・幅:1.48m以下

・高さ:2.0m以下

この規格に収まる車が「軽自動車」として登録され、税金や保険料などの面で優遇されています。ナンバープレートの色が黄色であろうと、後ほど説明する白色であろうと、この「軽自動車」という規格そのものが変わることはありません。

謎を解明!軽自動車なのに「白ナンバー」が存在する理由

それでは、本題の「軽自動車なのに白ナンバー」の謎に迫っていきましょう。これは、特別な制度によって実現されています。

「特別仕様ナンバープレート」という特別な存在

軽自動車が付けている白いナンバープレートの正体は、「特別仕様ナンバープレート」と呼ばれるものです。これは、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックといった国際的なイベントの開催を記念したり、地域の活性化を目的としたりして、期間限定で交付される特別なデザインのナンバープレートです。

この制度によって、本来は黄色いナンバープレートを付けるべき軽自動車でも、例外的に白い背景のナンバープレートを選ぶことができるようになったのです。

これまで、どんな「白ナンバー」があったの?

この特別仕様ナンバープレートは、過去に何度か発行され、大きな話題となりました。

・ラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレート(申込終了)

2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップを記念して発行されました。軽自動車に白ナンバーを付けられる制度の先駆けとなり、非常に人気を博しました。

・東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様ナンバープレート(申込終了)

東京オリンピック・パラリンピックの開催を記念したものです。エンブレムが入ったデザインで、こちらも多くのドライバーに選ばれました。

これらのナンバープレートは、申し込み期間が終了しているため、今から新しく手に入れることはできません。しかし、この人気を受けて、現在も新しい種類の特別仕様ナンバープレートが交付されています。

現在申し込める「白ナンバー」の種類

現在、軽自動車で選ぶことができる白を基調としたナンバープレートには、主に以下の種類があります。

・全国版図柄入りナンバープレート

「日本を元気に!」というテーマのもと、全国47都道府県の花をモチーフにしたデザインです。お住まいの地域に関わらず、全国どこでも申し込むことができます。

・地方版図柄入りナンバープレート(ご当地ナンバー)

各地域の風景や特産品などをデザインしたナンバープレートです。「走る広告塔」として、地域の魅力をアピールする役割も担っています。こちらは、その地域を管轄するナンバープレートでなければ申し込めません。

・大阪・関西万博特別仕様ナンバープレート

2025年に開催される大阪・関西万博を記念したデザインです。公式ロゴマークをあしらったデザインが特徴的です。

これらのナンバープレートは、軽自動車の場合、識別のために「黄色の縁取り」が施されています。完全な真っ白ではなく、よく見ると軽自動車であることが分かるように工夫されているのです。

黄色と白で何が違う?性能や税金、高速料金を徹底比較

「ナンバーを白にしたら、普通車と同じ扱いになって税金が高くなるのでは?」と心配される方もいるかもしれません。ご安心ください。その心配は一切ありません。

自動車税も高速料金も「軽自動車」のまま

繰り返しになりますが、ナンバープレートの色を変えても、車の法律上の区分は「軽自動車」のままです。そのため、毎年支払う軽自動車税や、車検の時に支払う自動車重量税の金額は一切変わりません。

同様に、高速道路の料金も、これまで通り「軽自動車料金」が適用されます。ETCを搭載している車であれば、ETCゲートが車両情報を正確に読み取るため、自動的に軽自動車料金で精算されます。もし、ETCがない料金所で係員さんに普通車と間違えられても、車検証を見せて軽自動車であることを伝えれば大丈夫です。

車の性能や規格ももちろん同じ

ナンバープレートは、あくまで車の「身分証明書」のようなものです。そのデザインが変わったからといって、車のエンジンが大きくなったり、車体が広くなったりすることはありません。乗り心地や燃費など、車の性能に関わる部分は何も変わらないのです。

白ナンバー(特別仕様)にするメリットとデメリット

では、軽自動車のナンバーをわざわざ白ナンバー(特別仕様)にするメリットや、知っておきたいデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

メリット:見た目の印象を大きく変えられる

最大のメリットは、やはり「見た目の印象」です。

・ボディカラーと合わせやすい

車のボディカラーによっては、「黄色いナンバーが浮いて見える」と感じる方もいるでしょう。白いナンバープレートは、どんな色の車にもスッキリと馴染み、全体のデザイン性を高めてくれます。

・普通車のような落ち着いた雰囲気に

軽自動車のデザインは年々進化し、普通車と見間違うほどスタイリッシュなモデルも増えています。白いナンバープレートを付けることで、より引き締まった、普通車のような落ち着いた印象を与えることができます。

デメリット1:取得に追加の費用と時間がかかる

通常の黄色いナンバープレートに比べて、特別仕様ナンバープレートは取得に費用がかかります。

・交付手数料

地域によって多少異なりますが、おおよそ7,000円から10,000円程度の交付手数料が必要です。通常のナンバープレートが2,000円前後なのに比べると、割高になります。

・寄付金の有無でデザインが変わる

特別仕様ナンバープレートには、「寄付金なし(モノトーン版)」と「寄付金あり(フルカラー版)」の2種類があります。フルカラーの鮮やかなデザインにしたい場合は、交付手数料に加えて1,000円以上の寄付が必要です。寄付をしない場合は、同じデザインのモノクロ版になります。

・申し込みから交付まで時間がかかる

特別仕様ナンバープレートは注文を受けてから製造されるため、申し込み(入金確認)から交付まで、おおむね2週間程度の時間がかかります。すぐに乗り始めたい場合には注意が必要です。

デメリット2:周囲からの見え方が気になる可能性も

これは個人の感じ方にもよりますが、いくつか知っておきたい点があります。

・軽自動車だと分かりにくい

前述の通り、ナンバープレートの色は車種を識別する重要な役割を持っています。白ナンバーにすることで、駐車場やガソリンスタンドなどで、一目で軽自動車だと認識されにくくなる可能性があります。

・緊急時の誤認リスク

万が一の事故やトラブルの際、目撃者が「白いナンバーの車」とだけ記憶していると、警察の初動捜査で普通車として扱われ、車種の特定に時間がかかる可能性がゼロではない、という意見もあります。

デメリット3:期間限定で、再発行ができない場合がある

特別仕様ナンバープレートは、申し込み期間が限定されています。期間が終了すると、当然ながら新しく申し込むことはできません。

さらに注意したいのが、「再発行」についてです。一度交付された特別仕様ナンバープレートを、事故などで破損してしまった場合、同じデザイン・同じ番号での再発行はできません。その時点で交付可能な別のナンバープレート(通常の黄色ナンバーなど)に変更する必要があります。

白ナンバー(特別仕様)の取得方法と流れ

「自分の車も白ナンバーにしてみたい!」と思った方のために、申し込みから交付までの大まかな流れをご説明します。

申し込みはウェブサイトが便利

特別仕様ナンバープレートの申し込みは、「図柄ナンバー申込サービス」という専用のウェブサイトから行うのが最も簡単で便利です。もちろん、お近くのディーラーや整備工場、行政書士に代行を依頼することも可能です。

ウェブサイトでの申し込み手順は以下の通りです。

  1. 車検証を手元に用意し、「図柄ナンバー申込サービス」にアクセスする。
  2. 画面の指示に従って、車種や車両番号などの情報を入力する。
  3. 希望するナンバープレートの種類(全国版、地方版など)や、寄付金の有無を選択する。
  4. 申し込みが完了するとメールが届くので、記載された期限までに交付手数料を支払う。
  5. 入金が確認されると、再びメールが届きます。このメールに、ナンバープレートの交付が可能になる日付が記載されています。

ナンバープレートの交換・取り付け

交付可能日になったら、運輸支局(普通車の場合)または軽自動車検査協会(軽自動車の場合)の窓口へ行き、ナンバープレートを交換します。

必要なものは以下の通りです。

・現在のナンバープレートが付いた車

・車検証

・申請書(ウェブサイトから印刷、または当日窓口で入手)

・現在使用中のナンバープレート(前後2枚)

窓口で手続きを済ませ、古いナンバープレートを返却すると、新しい特別仕様ナンバープレートが交付されます。取り付けは、ドライバーと封印(ナンバープレートを固定する金具)を係の人に取り付けてもらって完了です。自分でドライバーを使って付け替えることも難しくありません。

まとめ

最後に、軽自動車の黄色ナンバーと白ナンバー(特別仕様)の違いについて、大切なポイントを振り返ってみましょう。

・軽自動車のナンバーが黄色いのは、普通車と簡単に見分けるため。

・軽自動車の白ナンバーは、期間限定で交付される「特別仕様ナンバープレート」。

・ナンバーの色が変わっても、税金や高速料金、車の性能は一切変わらない。

・白ナンバーのメリットは、見た目の印象を変えられること。

・デメリットは、追加の費用と時間がかかること、期間限定であること。

・申し込みは専用のウェブサイトからでき、手続きも決して難しくない。

ナンバープレートの色一つをとっても、そこには様々な理由や制度があることがお分かりいただけたかと思います。白ナンバーを選ぶかどうかは、完全に個人の好みや価値観によります。この記事で解説したメリット・デメリットをよく理解した上で、ご自身のカーライフに合った選択をすることが大切です。

車の知識を少しずつ増やしていくことは、安全運転への意識を高めることにも繋がります。これからも、安心で楽しいドライブを楽しんでくださいね。

安全運転カテゴリの最新記事