ウインドウォッシャー液が出ない!原因と簡単な対処法

ウインドウォッシャー液が出ない!原因と簡単な対処法

高速道路を走行中、前のトラックが跳ね上げた泥水がフロントガラスに「バシャッ!」。慌ててウォッシャー液のスイッチを引いたのに、「ウィーン」というモーター音は聞こえるものの、液体が一滴も出てこない…。視界はどんどん悪くなる一方で、ヒヤッとした経験はありませんか?

あるいは、花粉や黄砂で汚れたガラスをきれいにしようとしたら、うんともすんとも言わない。こんな時、特に運転に慣れていない初心者さんやペーパードライバーの方は、「故障かな?」「修理に出さないとダメ?」と不安になってしまいますよね。

でも、安心してください。ウインドウォッシャー液が出ないというトラブルは、実はとてもよくあることで、その原因の多くは意外と単純なものなのです。専門的な知識や工具がなくても、ご自身で簡単に確認し、直せるケースがたくさんあります。

この記事では、車の構造に詳しくない方にも分かりやすいように、ウインドウォッシャー液が出なくなる原因と、誰でもできる具体的な対処法を、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読めば、いざという時に慌てず、冷静に対処できるようになります。

さあ、あなたの愛車の「視界」を取り戻すための、簡単なトラブルシューティングを始めましょう!

パニックになる前に!まず確認すべき2つの基本事項

「ウォッシャー液が出ない!」と気づいた時、多くの人が「どこか部品が壊れたのでは?」と考えがちです。しかし、その前に必ずチェックしてほしい、とても基本的で、そして最も多い原因が2つあります。

原因1:ウォッシャー液のタンクが空っぽ(液切れ)

「なーんだ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、これが圧倒的に多い原因ナンバーワンです。特に、普段あまりウォッシャー液を使わない方は、残量を気にしたことがないかもしれません。車検の時に補充してもらったきり、という方も多いのではないでしょうか。

まずは、ウォッシャー液が本当に入っているかを確認しましょう。

1.ボンネットを開ける

運転席の足元あたりにある、ボンネットの絵が描かれたレバーを引きます。すると、ボンネットが少し浮き上がります。次に、車の前方に回り、ボンネットの隙間に手を入れてレバーを操作し、ロックを解除してボンネットを全開にします。ステー(支え棒)でしっかり固定するのを忘れないでください。

2.ウォッシャータンクを探す

エンジンルームの中を見渡すと、青や白、黒などの半透明のタンクが見つかるはずです。そのタンクのキャップには、フロントガラスから水が噴射されているような、誰が見ても「これだ!」と分かるイラストが描かれています。これが、ウインドウォッシャー液のタンクです。

3.残量を確認して補充する

タンクが半透明なので、横から見れば残量が一目で分かります。もし空っぽ、あるいは底に少ししか入っていない状態であれば、それが原因です。

カー用品店やホームセンター、ガソリンスタンドなどで売っているウインドウォッシャー液を、タンクの口からこぼさないようにゆっくりと補充してください。

「ただの水じゃダメなの?」という質問をよく受けますが、答えは「ノー」です。水道水は、夏場にタンク内で腐って藻が発生したり、冬場には凍結してタンクや配管を破損させたりする原因になります。必ず、専用のウインドウォッシャー液を使用してください。洗浄成分や、凍結を防ぐ成分が含まれています。

原因2:凍結(特に冬場に注意!)

冬の寒い朝、ウォッシャー液が出なくなった場合、次に疑うべきは「凍結」です。

特に、水で薄めて使うタイプのウォッシャー液を規定より薄く使っていたり、寒冷地仕様ではない安価なウォッシャー液を使っていたりすると、外気温が氷点下になった際にタンクの中や配管、噴射ノズルの中で液体が凍り付いてしまいます。

この場合、モーターは作動しようと「ウィーン」と音を立てますが、液体が氷のままなので出てきません。

対処法:

無理やりスイッチを何度も操作するのはやめましょう。モーターに過剰な負荷がかかり、故障の原因になります。

最も安全で確実な方法は、「暖かくなるのを待つ」ことです。日中、気温が上がれば自然に溶けます。

急いでいる場合は、エンジンをかけてエンジンルームの熱で温める、ショッピングモールなどの暖かい屋内駐車場にしばらく停めておく、といった方法が有効です。

絶対にやってはいけないのが、「熱湯をかける」ことです。急激な温度変化で、タンクや配管、ノズルが変形したり、割れたりする危険性が非常に高いです。最悪の場合、フロントガラスに熱湯がかかって割れてしまうこともあります。

それでも出ない…もう少し詳しく原因を探ってみよう

ウォッシャー液は入っているし、凍結もしていない。それでもまだ出ない場合は、もう少し踏み込んで原因を探る必要があります。ここからは、簡単なチェックで原因を特定していく手順をご紹介します。

チェックポイント1:噴射ノズルが詰まっていないか?

ウォッシャー液が噴射される「ノズル」の穴は、非常に小さいです。そのため、ホコリやゴミ、ワックスのカスなどが詰まってしまうことがあります。

症状の特徴:

  • モーターの作動音は聞こえる。
  • 片方のノズルからは出るのに、もう片方からは出ない、あるいはチョロチョロとしか出ない。
  • 全く出ないが、ノズルの根元あたりが濡れている気がする。

対処法:

安全ピンや裁縫針、あるいはシャープペンシルの芯のような、細くて硬いもので、ノズルの穴を優しく「ツンツン」と突いてみてください。これで、詰まっていたゴミが取れて、再び噴射されることがよくあります。

ただし、力を入れすぎるとノズル自体を傷つけてしまう可能性があるので、あくまで優しく、慎重に作業してください。

また、この作業中にノズルの向きが変わってしまうことがあります。噴射される角度がおかしくなってしまったら、同じように針などを穴に差し込み、てこの原理で優しく角度を調整してあげましょう。

チェックポイント2:モーターの音は聞こえるか?

次に、車内でもう一度ウォッシャーのスイッチを操作してみてください。このとき、「耳を澄ませて音を聞く」ことが非常に重要な診断ポイントになります。

  • ケースA:「ウィーン」という作動音が聞こえる場合モーターは正常に動こうとしています。それなのに液が出ないということは、液がモーターからノズルまでの「通り道」のどこかで問題が起きている可能性が高いです。
  • ケースB:「シーン…」と完全に無音の場合モーター自体が動いていないことを示しています。この場合は、モーターに電気が届いていないか、モーター自体が故障している可能性が考えられます。

それぞれのケースについて、さらに原因を掘り下げていきましょう。

ケースA:「音はするのに液が出ない」場合の追加チェック

モーターが動いているのに液が出てこない原因は、主に「配管(ホース)」のトラブルです。

ウォッシャータンクから噴射ノズルまでは、細いゴムや樹脂のホースで繋がっています。このホースに問題が起きているのかもしれません。

1.ホースの抜けや外れを確認する

ボンネットを開けて、ウォッシャータンクからノズルの裏側につながっている黒い細いホースを目で追ってみてください。

エンジンの振動などで、ホースの接続部分が抜けてしまったり、緩んでしまったりすることがあります。もし抜けている箇所を見つけたら、手でグッと奥まで差し込むだけで修理完了です。

ホースが抜けていると、ウォッシャーを作動させた際に、エンジンルーム内や車の下にウォッシャー液が漏れ出てくるので、それが発見のヒントになります。

2.ホースの折れや詰まりを確認する

ホースが何かの部品に挟まれて、途中で折れ曲がっていないか確認してください。人間がストローを噛んだら飲み物が吸えないのと同じで、ホースが折れていると液体が流れません。

また、まれにホース内部で汚れなどが固まって詰まっていることもあります。

3.ホースの亀裂や劣化を確認する

古い車の場合、ゴム製のホースが経年劣化で硬くなり、ひび割れてしまうことがあります。亀裂があると、そこから液が漏れてしまい、ノズルまで届く圧力がかからなくなります。

もし亀裂を見つけた場合は、ホースごと交換するのがベストです。これは部品代も安く、整備工場などでも簡単な作業なので、相談してみましょう。

ケースB:「完全に無音」の場合の追加チェック

モーターの音が全くしない場合、原因は電気系統にある可能性が高いです。

1.ヒューズが切れていないか?

ヒューズとは、車に流れる電気回路に過大な電流が流れた際に、自らが切れることで重要な電装部品を守る「安全装置」です。スマートフォンの充電器をタコ足配線しすぎるとブレーカーが落ちるのと似たような仕組みです。

  • ヒューズボックスの場所を確認する多くの場合、運転席の足元の右側や、グローブボックスの奥、あるいはエンジンルーム内にあります。車の取扱説明書に必ず記載されているので、確認してみてください。
  • ウォッシャー用のヒューズを見つけるヒューズボックスの蓋の裏側には、どのヒューズがどの電装品に対応しているかを示す「配置図」が描かれています。「WASHER」やウォッシャーのマークが描かれている場所を探します。
  • ヒューズが切れているか確認する配置図で指定されたヒューズを、ヒューズ抜き(ボックス内に備え付けられていることが多い)で引き抜きます。ヒューズの中にある「コ」の字型の金属線が繋がっていれば正常、切れていれば「ヒューズ切れ」です。

もしヒューズが切れていたら、同じアンペア(A)数の新しいヒューズと交換するだけで、モーターが再び動き出す可能性があります。予備のヒューズがボックス内に用意されている車種もあります。

2.モーター本体の故障

ヒューズを確認しても切れておらず、それでもモーターが動かない場合は、モーター自体の寿命や故障が考えられます。

ウォッシャーモーターは消耗品なので、長年使っていると故障することもあります。

モーターの交換は、タンクを取り外す必要があったりと、少し作業が複雑になります。工具も必要になるため、ここは無理をせず、ディーラーや整備工場、カー用品店などのプロにお願いするのが安心です。工賃を含めても、それほど高額な修理にはならないことがほとんどです。

まとめ

ウインドウォッシャー液が出ないという、ちょっとした、しかし安全に関わる大きなトラブル。その原因と対処法を順を追って解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後に、トラブルシューティングの流れを簡単におさらいしましょう。

1.まずは基本!「液は入っているか?」「凍結していないか?」を確認。

2.次に、噴射ノズルにゴミが詰まっていないか、針などで掃除してみる。

3.スイッチを操作し、「モーター音」が聞こえるか耳を澄ます。

4.音が聞こえる場合 → ホースの「抜け」「折れ」「亀裂」をチェック。

5.音がしない場合 → ヒューズが切れていないか確認。それでもダメならモーター故障の可能性大。

多くのケースでは、最初の1〜3のステップで解決するはずです。

ウォッシャー液が出ない状態を放置するのは、急な汚れに対応できず非常に危険です。特に、雨上がりの高速道路や、融雪剤がまかれた冬の道では、視界の確保が安全運転の第一歩となります。

今回の記事を参考に、まずはご自身でできる範囲でチェックしてみてください。そして、もし「自分では難しそうだな」と感じたら、決して無理はせず、お近くのプロに相談してくださいね。

日頃からウォッシャー液の残量を気にかける習慣をつけて、いつでもクリアな視界で、安全で快適なドライブを楽しみましょう。

安全運転カテゴリの最新記事