自動車保険はなぜ必要?種類・補償内容・等級制度をわかりやすく解説

自動車保険はなぜ必要?種類・補償内容・等級制度をわかりやすく解説
目次

はじめに:自動車保険、「もしも」の時の強い味方。でも、本当に必要なの?

自動車の運転免許を取得し、いざ自分の車を手に入れる!あるいは、家族の車を運転する機会が増える。そんな時、必ず耳にするのが「自動車保険」という言葉です。なんとなく「入っておいた方が良いもの」というイメージはあるものの、「なぜ必要なの?」「どんな種類があるの?」「保険料ってどうやって決まるの?」と、具体的な内容についてはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

特に運転初心者の方にとっては、事故なんて起こさないと思いがちかもしれません。しかし、どれだけ気をつけて運転していても、予期せぬ事故に巻き込まれたり、ほんの一瞬の油断で事故を起こしてしまったりする可能性は誰にでもあります。

この記事では、自動車保険がなぜ必要なのかという基本的な理由から、保険の種類、具体的な補償内容、そして保険料に大きく関わる「等級制度」まで、自動車の運転初心者の方にも分かりやすく、丁寧に解説していきます。自動車保険を正しく理解し、自分に合った保険を選ぶことは、安心してカーライフを送るための第一歩です。

なぜ自動車保険は必要なの? その理由を再確認

「自分は安全運転だから大丈夫」「事故なんてめったに起こらない」そう思っている方もいるかもしれません。しかし、自動車保険は、そんな「もしも」の時に、あなた自身と、そして事故の相手を守るために非常に重要な役割を果たします。

理由1:万が一の事故に備えるため(経済的負担の軽減)

自動車事故は、一瞬にして大きな経済的負担を生じさせることがあります。

  • 相手への賠償:もしあなたが加害者となってしまった場合、相手の車の修理費はもちろん、相手の方を死傷させてしまった場合には、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益(事故がなければ得られたはずの将来の収入)など、想像を絶するような高額な賠償金を請求される可能性があります。過去には数億円規模の賠償命令が出た事例も少なくありません。
  • 自分や同乗者のケガの治療費:事故によっては、自分自身や大切な同乗者がケガを負うこともあります。その治療費も決して安くはありません。
  • 自分の車の修理費:事故で自分の車が壊れてしまった場合、その修理費用も大きな出費となります。

自動車保険に加入していれば、これらの経済的な負担を保険金でカバーすることができます。つまり、自動車保険は、万が一の事故による経済的な破綻を防ぐための、重要なセーフティネットなのです。

理由2:被害者への誠実な対応のため

もしあなたが事故の加害者になってしまった場合、被害者の方に対して誠実に対応する責任が生じます。金銭的な賠償はもちろんのこと、精神的なケアも求められるでしょう。

自動車保険に加入していれば、保険会社があなたに代わって被害者との示談交渉(話し合い)を進めてくれたり、賠償金の支払いをスムーズに行ってくれたりします。これにより、被害者の方への迅速かつ適切な対応が可能となり、精神的な負担も軽減されます。

理由3:法律で加入が義務付けられている保険がある(自賠責保険)

日本では、すべての自動車(バイクや原付も含む)の所有者に対して、法律で加入が義務付けられている保険があります。それが「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)」です。この保険に加入していなければ、車を運転することはできませんし、車検も通りません。

このように、自動車保険は、単に「入っておいた方が良い」というだけでなく、法的な義務や、社会的な責任を果たすためにも不可欠なものなのです。

自動車保険は2種類ある! 「自賠責保険」と「任意保険」

自動車保険には、大きく分けて「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」の2種類があります。それぞれの特徴と役割を理解しておきましょう。

必ず入る「自賠責保険(強制保険)」とは?

  • 目的と役割: 自賠責保険は、自動車事故による被害者の救済を第一の目的とした保険です。交通事故で他人を死傷させてしまった場合に、加害者が負う損害賠償責任を補填します。法律(自動車損害賠償保障法)によって、すべての自動車に加入が義務付けられているため、「強制保険」とも呼ばれます。
  • 補償される範囲と限度額(対人のみ): 自賠責保険で補償されるのは、対人事故(他人を死傷させた場合)のみです。相手の車の修理費や、自分のケガ、自分の車の損害などは補償されません。 また、支払われる保険金には上限額が定められています。
    • 傷害による損害:被害者1名につき最高120万円まで(治療費、休業損害、慰謝料など)
    • 後遺障害による損害:被害者1名につき最高4,000万円まで(障害の程度に応じて等級が定められ、等級ごとに上限額が異なります)
    • 死亡による損害:被害者1名につき最高3,000万円まで(葬儀費、逸失利益、慰謝料など)
  • 自賠責保険だけでは不十分な理由: 上記の通り、自賠責保険は対人賠償のみで、しかも支払限度額が定められています。しかし、実際の事故では、これらの限度額を超える高額な賠償責任が発生するケースが少なくありません。また、相手の車や物を壊してしまった場合の「対物賠償」や、自分自身のケガ、自分の車の損害は一切補償されません。 この、自賠責保険だけではカバーしきれない部分を補うために存在するのが「任意保険」です。

自分で選ぶ「任意保険」とは?

  • 目的と役割: 任意保険は、その名の通り、加入するかどうかを自分で自由に決められる自動車保険です。しかし、自賠責保険では補償されない様々なリスクに備えるためには、事実上、加入が不可欠と言えるでしょう。
  • 自賠責保険を補う重要な存在: 任意保険は、自賠責保険の支払限度額を超える対人賠償、対物賠償、自分や同乗者のケガ、自分の車の損害など、幅広い範囲をカバーすることができます。また、様々な特約を付帯することで、より手厚い補償内容にカスタマイズすることも可能です。

つまり、自賠責保険は「最低限の対人補償」、任意保険は「自賠責保険では足りない部分を幅広くカバーする補償」と考えると分かりやすいでしょう。

任意保険のキホン! 主な補償内容を徹底解説

任意保険には、様々な種類の補償があります。ここでは、主な補償内容について、それぞれどのようなものかを見ていきましょう。これらの補償を組み合わせて、自分に必要な保険プランを作っていくことになります。

【相手への補償】

自動車事故で、他人に損害を与えてしまった場合に備える補償です。

1. 対人賠償保険:相手を死傷させてしまった場合に

  • 補償内容:自動車事故で他人を死亡させたり、ケガをさせたりした場合に、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償します。自賠責保険で支払われる保険金を超える部分について、保険金が支払われます。
  • 保険金額の設定:保険金額(支払われる上限額)は、「無制限」に設定するのが一般的です。数億円規模の高額賠償に備えるためには、無制限が安心です。
  • 対象となる「他人」:運転者自身や、運転者の父母、配偶者、子供は対象外となるのが一般的です(これらの方は後述の人身傷害保険などでカバーされます)。

2. 対物賠償保険:相手のモノ(車や物)を壊してしまった場合に

  • 補償内容:自動車事故で他人の車や家屋、ガードレール、電柱、店舗の商品など、他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償します。
  • 保険金額の設定:こちらも「無制限」に設定するのが一般的です。例えば、高級車との事故や、電車と衝突して運行不能にさせた場合の賠償、店舗に突っ込んで営業不能にさせた場合の休業補償など、対物事故でも賠償額が非常に高額になるケースがあるためです。
  • 免責金額(自己負担額)の設定:保険を使う際に、一定額を自己負担する「免責金額」を設定することができます。免責金額を設定すると保険料は安くなりますが、事故の際にはその金額を自分で支払う必要があります。

【自分や同乗者への補償】

自動車事故で、運転者自身や同乗者が死傷した場合に備える補償です。

3. 人身傷害保険:自分や同乗者のケガの治療費などを補償

  • 補償内容:契約車両の事故によって、運転者自身や同乗者が死亡したり、ケガをしたりした場合に、過失割合に関わらず(自分の過失があっても)、実際の損害額(治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益など)を保険金額を上限として補償します。
  • 特徴
    • 示談交渉の結果を待たずに保険金を受け取れることが多いです。
    • 車内だけでなく、車外での事故(例:契約車両に搭乗中に他の車に追突された、契約車両から降りた直後に後続車にはねられたなど、条件あり)も補償対象となる場合があります。
    • 「車内のみ補償」タイプと、「車内・車外ともに補償」タイプがあります。
  • 保険金額の設定:3,000万円、5,000万円、1億円、無制限などから選択します。

4. 搭乗者傷害保険:人身傷害保険との違いは?

  • 補償内容:契約車両の事故によって、運転者や同乗者が死亡したり、ケガをしたりした場合に、あらかじめ定められた一定額の保険金(死亡保険金、後遺障害保険金、医療保険金など)が支払われます。
  • 人身傷害保険との主な違い
    • 支払われ方:人身傷害保険は「実損払い(実際の損害額を補償)」が基本ですが、搭乗者傷害保険は「定額払い(ケガの部位や症状、入院日数などに応じてあらかじめ決められた金額を支払い)」です。
    • 支払いのタイミング:搭乗者傷害保険は、ケガの状況が確定すれば比較的早く保険金が支払われる傾向があります。
  • 位置づけ:人身傷害保険に上乗せする形で加入したり、人身傷害保険の代わりに加入したりする場合があります。人身傷害保険があれば不要と考える方もいますが、入院時の一時金など、当座の費用に充てる目的でセットにする方もいます。

5. 無保険車傷害保険:相手が無保険だった場合に

  • 補償内容:自動車事故で死亡したり、後遺障害を負ったりした場合に、相手の車が任意保険に加入していなかった(無保険だった)り、加入していても保険金額が不十分だったり、当て逃げで相手が不明だったりして、十分な賠償を受けられない場合に、自分や同乗者の損害を補償します。
  • 重要性:残念ながら、任意保険に未加入のまま運転している車も存在します。万が一そのような車との事故に遭った場合に、自分たちを守るために重要な補償です。多くの場合、対人賠償保険に自動的に付帯されています。

6. 自損事故保険:単独事故での自分のケガに

  • 補償内容:運転者が単独事故(電柱に衝突、崖から転落など)を起こし、運転者自身が死亡したり、ケガをしたりした場合に、一定額の保険金が支払われます。相手がいない事故で、自賠責保険や対人賠償保険の対象とならない場合に役立ちます。
  • 位置づけ:人身傷害保険に加入していれば、多くの場合、自損事故によるケガもカバーされるため、人身傷害保険の補償内容を確認した上で加入を検討しましょう。対人賠償保険に自動付帯されていることもあります。

【自分の車への補償】

自動車事故で、自分の車が損害を受けた場合に備える補償です。

7. 車両保険:自分の車の修理費などを補償

  • 補償内容:契約車両が、衝突、接触、盗難、火災、台風、洪水、いたずらなどによって損害を受けた場合に、その修理費用や買い替え費用などを保険金額を上限として補償します。
  • 主な種類
    • 一般条件(フルカバータイプ、オールリスクタイプとも):単独事故(電柱への衝突など)や当て逃げなど、幅広い事故による車両損害を補償します。
    • エコノミータイプ(車対車限定、限定カバータイプとも):補償範囲を限定することで保険料を抑えたタイプです。相手のいる車との衝突・接触事故は補償されますが、単独事故や当て逃げなどは補償対象外となるのが一般的です。
  • 保険金額の設定:契約時の車両の時価額(市場価格)に基づいて設定されます。
  • 免責金額(自己負担額)の設定:対物賠償保険と同様に、保険を使う際に自己負担する金額を設定できます。免責金額を高く設定するほど保険料は安くなりますが、事故の際にはその金額を自分で支払う必要があります。「5-10万円(1回目5万円、2回目以降10万円)」といった設定が一般的です。
  • 注意点:車両保険を使うと、翌年度の保険料が大幅に上がることがあるため、軽微な損害の場合は保険を使わずに自己負担で修理した方が得な場合もあります。

【その他:あると安心な特約】

上記の基本的な補償に加えて、様々な「特約」を付帯することで、補償内容をより充実させることができます。代表的な特約としては、

  • 弁護士費用特約:自動車事故で被害事故に遭い、相手との交渉や訴訟が必要になった場合に、弁護士に相談・依頼する費用を補償します。もらい事故などで自分に過失がない場合、保険会社は示談交渉を行えないため、この特約が役立ちます。
  • ロードサービス:故障や事故で車が動かなくなった場合に、レッカー移動、応急修理、ガソリン配達などのサービスを受けられます。多くの任意保険に自動付帯またはオプションで用意されています。
  • 個人賠償責任特約:自動車事故以外の日常生活における偶然な事故(例:自転車で他人にケガをさせた、お店の商品を壊したなど)で、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償します。家族全員が対象となる場合が多いです。
  • ファミリーバイク特約:記名被保険者(主に車を運転する人)やその家族が、原動機付自転車(125cc以下)を運転中に起こした事故について補償します。

これらの特約は、保険会社によって内容や名称が異なる場合があります。自分のライフスタイルやニーズに合わせて、必要な特約を選びましょう。

知っておきたい「ノンフリート等級制度」:保険料はどう決まる?

自動車保険(任意保険)の保険料を大きく左右するのが「ノンフリート等級制度」です。この制度を理解しておくことは、保険料を賢く管理するために非常に重要です。

等級制度とは?(1等級~20等級)

ノンフリート等級制度とは、契約者の事故歴に応じて、保険料の割引率または割増率を決定する制度です。

  • 等級の範囲:原則として1等級から20等級まであり、等級が高いほど保険料の割引率が大きくなります(つまり保険料が安くなります)。逆に、等級が低いほど割増率が大きくなります(保険料が高くなります)。
  • 新規契約時:初めて自動車保険に加入する場合、通常は6等級(またはセカンドカー割引などで7等級)からスタートします。
  • 保険期間:通常1年間です。この1年間の事故の有無や内容によって、翌年度の等級が変動します。

等級と保険料の関係(割引率・割増率)

  • 20等級が最も割引率が高い:長年無事故を続けている優良ドライバーは、高い割引率で保険に加入できます。
  • 1等級が最も割増率が高い:事故を繰り返していると、保険料が大幅に高くなります。
  • 具体的な割引率・割増率は、保険会社や契約条件によって多少異なりますが、等級が一つ違うだけで保険料が数%~十数%変わることもあります。

等級はどうやって決まる?(新規契約時、事故の有無による変動)

  • 無事故の場合:保険期間中に保険を使う事故がなければ、翌年度の契約では等級が1つ上がります(例:10等級→11等級)。
  • 事故を起こして保険を使った場合:事故の内容によって、翌年度の等級が下がります。
    • 3等級ダウン事故:対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険(単独事故や当て逃げなど)を使った場合など。翌年度の等級が3つ下がります(例:15等級→12等級)。
    • 1等級ダウン事故:車両保険のうち、盗難や自然災害(台風、洪水、高潮など)、いたずら、落書き、窓ガラス破損などで保険を使った場合など。翌年度の等級が1つ下がります(例:15等級→14等級)。
    • ノーカウント事故:人身傷害保険のみ、搭乗者傷害保険のみ、弁護士費用特約のみなど、一部の保険金支払いでは、等級に影響しない(事故としてカウントされない)場合があります。これを「ノーカウント事故」と呼びます。

「事故有係数適用期間」とは?

3等級ダウン事故または1等級ダウン事故を起こして保険を使うと、翌年度の等級が下がるだけでなく、「事故有係数適用期間」というものが設定されます。

  • 事故有係数:同じ等級であっても、「無事故」の場合と「事故有」の場合では、適用される割引率・割増率が異なり、「事故有」の方が割引率が低く(割増率が高く)なります。つまり、保険料が高くなるということです。
  • 適用期間:3等級ダウン事故の場合は3年間、1等級ダウン事故の場合は1年間、この「事故有係数」が適用されます。この期間が終了すると、再び「無事故」の係数が適用されるようになります。
  • 累積:期間中に再度事故を起こすと、残っていた期間に新たに事故に応じた期間が加算されます(上限6年)。

このため、一度事故を起こすと、数年間にわたって保険料が高い状態が続くことになります。

等級は引き継げる?(保険会社変更、中断)

  • 保険会社を変更する場合:現在の等級は、他の保険会社に乗り換える際にも引き継ぐことができます(一部共済などを除く)。
  • 車を一時的に手放す場合(中断):海外赴任や病気療養などで一時的に車を手放し、保険契約を解約する場合でも、「中断証明書」を発行してもらうことで、一定期間(通常10年間)は解約時の等級を再契約時に引き継ぐことができます。

等級制度は少し複雑に感じるかもしれませんが、保険料に直結する重要な仕組みですので、しっかりと理解しておきましょう。

保険料に影響するその他の要素

ノンフリート等級以外にも、自動車保険の保険料は様々な要素によって変動します。主なものとしては、

  • 運転者の年齢条件:「全年齢補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」など、運転者の年齢を限定することで保険料が変わります。若い年齢層ほど事故率が高い傾向があるため、年齢条件が低いほど保険料は高くなります。
  • 運転者の範囲限定:「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定(同居の親族など)」「限定なし」など、運転する人の範囲を限定することで保険料が変わります。範囲を狭くするほど保険料は安くなります。
  • 車両の型式・料率クラス:車の型式(車種、年式など)ごとに、事故のリスクに応じて「料率クラス」というものが設定されています。料率クラスが高い(事故が多い、修理費が高いと統計的に判断される)車種ほど、保険料が高くなります。自家用普通乗用車・自家用小型乗用車では1~17段階、自家用軽四輪乗用車では1~3段階で設定されています(2025年5月現在)。
  • 年間走行距離:年間の予想走行距離によって保険料が変わる保険会社もあります。走行距離が短いほど、事故のリスクが低いと判断され、保険料が安くなる傾向があります。
  • ゴールド免許割引:記名被保険者がゴールド免許(優良運転者免許証)を保有している場合に、保険料が割り引かれる制度です。
  • 使用目的:「日常・レジャー使用」「通勤・通学使用」「業務使用」の区分があり、使用目的によって事故のリスクが異なると考えられるため、保険料も変わってきます。業務使用が最も保険料が高くなる傾向があります。
  • その他:車両保険の有無や種類、各種特約の付帯状況、新車割引、ASV割引(自動ブレーキ搭載車割引)、保険会社独自の割引制度なども保険料に影響します。

これらの要素を総合的に考慮して、各保険会社が保険料を算出しています。

自動車保険の選び方:後悔しないためのポイント

数多くの保険会社や保険商品がある中で、自分に合った自動車保険を選ぶには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

  1. 補償内容は十分か?(必要な補償を過不足なく): まず最も重要なのは、自分にとって必要な補償がしっかりとカバーされているかです。万が一の際に「この補償に入っておけばよかった…」と後悔しないように、対人・対物賠償は無制限を基本とし、人身傷害保険や車両保険の必要性、各種特約の要否などを、ご自身の車の使用状況や家族構成、ライフスタイルに合わせて検討しましょう。逆に、不要な補償や過剰な特約は保険料の無駄遣いになる可能性もあるため、バランスが大切です。
  2. 保険料は適切か?(複数の保険会社を比較検討): 同じような補償内容でも、保険会社によって保険料は異なります。インターネットの一括見積もりサイトなどを活用して、複数の保険会社の見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。ただし、単純に保険料の安さだけで選ぶのではなく、後述する事故対応力なども考慮に入れましょう。
  3. ロードサービスの充実度: 故障や事故で車が動かなくなった場合に頼りになるのがロードサービスです。レッカー移動の距離、応急修理の内容、バッテリー上がりやガス欠への対応、宿泊費や帰宅費用のサポートなど、サービス内容は保険会社によって異なります。自分がよく運転する場所や状況を考慮し、充実したロードサービスが付いているかを確認しましょう。
  4. 事故対応力・顧客満足度: 万が一事故を起こしてしまった場合、保険会社の事故対応のスムーズさや親身な対応は非常に重要です。初期対応の速さ、担当者の専門性、示談交渉力、支払いまでのスピードなど、実際に事故を経験した人の口コミや、第三者機関による顧客満足度ランキングなどを参考にすると良いでしょう。
  5. 自分に合った特約を選ぶ: 前述の通り、様々な特約があります。弁護士費用特約や個人賠償責任特約など、自分のライフスタイルや家族構成を考えて、本当に必要な特約を厳選しましょう。

これらのポイントを踏まえ、納得のいく保険選びをすることが大切です。分からないことがあれば、保険代理店や保険会社のコールセンターに相談してみるのも良いでしょう。

自動車保険の加入・見直しのタイミング

自動車保険は、一度加入したら終わりではありません。ライフステージの変化や車の使用状況に合わせて、定期的に見直しを行うことが重要です。

  • 車を購入した時: 車を運転する上で、自賠責保険はもちろん、任意保険への加入は必須です。納車日までに手続きを済ませておきましょう。
  • 免許を取得した時、運転者が増えた時: 子供が免許を取得して運転するようになった、家族以外の友人も運転する可能性があるなど、運転者の範囲が変わる場合は、保険の条件変更(運転者限定や年齢条件の見直しなど)が必要です。
  • 車を買い替えた時: 車両が変わると、車両保険の金額や料率クラスなどが変わるため、保険の入れ替え手続き(車両入替)が必要です。新しい車の納車日までに手続きを済ませましょう。
  • ライフスタイルが変化した時: 結婚、出産、子供の独立、引っ越し、転職など、ライフスタイルが変化すると、必要な補償内容や運転者の範囲、年間走行距離などが変わることがあります。その都度、保険内容を見直しましょう。
  • 保険の満期が近づいた時(年に一度は見直しを): 自動車保険は通常1年契約です。満期が近づくと更新の案内が届きますが、そのまま同じ内容で更新するのではなく、この機会に他の保険会社の商品と比較したり、現在の補償内容が自分に合っているかを見直したりすることをおすすめします。

定期的な見直しによって、より自分に適した、そして場合によってはより保険料の安いプランが見つかることもあります。

もし事故を起こしてしまったら…保険利用の流れ(概要)

万が一、自動車事故を起こしてしまった場合、パニックにならずに冷静に対処することが重要です。保険を利用する際の基本的な流れを頭に入れておきましょう。

  1. 負傷者の救護と安全確保(最優先): まず、怪我人がいる場合は、安全な場所に移動させ、必要であれば応急手当を行い、119番通報して救急車を呼びます。また、二次被害を防ぐために、ハザードランプを点灯させ、車を安全な場所に移動させ、三角表示板や発炎筒を設置します。
  2. 警察への届け出(110番): どんなに小さな事故であっても、必ず警察に連絡します。人身事故・物損事故に関わらず、警察への届出は法律上の義務であり、保険金の請求に必要な「交通事故証明書」を発行してもらうためにも不可欠です。
  3. 相手の情報確認: 相手がいる場合は、免許証、車検証、連絡先、相手の保険会社名などを確認し、メモしておきます。感情的にならず、冷静に事実確認を行いましょう。その場で示談の約束(「修理代は全額払います」など)はしないように注意が必要です。
  4. 保険会社への速やかな連絡: 自分が加入している保険会社(または保険代理店)に、できるだけ早く事故の状況を連絡します。事故の日時、場所、状況、相手の情報などを正確に伝えましょう。保険会社から、今後の手続きや対応について指示がありますので、それに従います。

事故の際は気が動転しがちですが、これらの基本的なステップを覚えておけば、落ち着いて対処できるはずです。

まとめ:自分に合った自動車保険で、安心のカーライフを

自動車保険は、私たちのカーライフにおける万が一のリスクから、経済的にも精神的にも守ってくれる、非常に重要な存在です。

自動車保険の重要ポイント

  • 必要性:事故による高額な賠償責任、自分や同乗者のケガ、車の損害に備える。
  • 種類:強制加入の「自賠責保険」と、それを補う「任意保険」。
  • 任意保険の補償内容:対人・対物賠償、人身傷害、車両保険など、多岐にわたる。
  • 等級制度:事故歴に応じて保険料が変動する仕組み。無事故継続で割引が拡大。
  • 保険料:等級、年齢、車種、補償内容など様々な要素で決定。
  • 選び方:補償内容、保険料、ロードサービス、事故対応力を総合的に比較検討。
  • 見直し:ライフステージの変化や満期時に定期的に行う。

「どの保険を選べばいいか分からない…」という方は、まずはこの記事で解説した基本的な知識を基に、自分にとって何が重要かを整理してみてください。そして、複数の保険会社の商品を比較検討したり、信頼できる保険代理店に相談したりしながら、納得のいく自動車保険を選びましょう。

自分と大切な家族、そして社会に対する責任として、適切な自動車保険に加入し、安心してハンドルを握れる毎日を送ってください。

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