ジュニアシートは着用義務?年齢・種類ごとの特徴と選び方のポイントを解説

ジュニアシートは着用義務?年齢・種類ごとの特徴と選び方のポイントを解説

車に子どもを乗せる際、チャイルドシートは事故の衝撃から子どもを守るために欠かせない装備です。しかし、子どもは成長に伴い、チャイルドシートが窮屈になってくることや、動きづらさから嫌がってしまうことも多々あります。そんなときに必要になるのがジュニアシートです。

ジュニアシートを使えば、大きくなった子どもの体格に合わせて、しっかりとベルトやヘッドレストでホールドできるため、チャイルドシートでは保護しきれない部分を安全にサポートできます。一方で、ジュニアシートへの切り替え時期や、どのような種類を選ぶべきか、そもそもいつまで使わなければいけないのかなど、疑問を抱く保護者の方も多いでしょう。

本記事では、ジュニアシートの着用義務が定められている期間や、着用に適した年齢・身長の目安、さらにジュニアシートの種類や選び方のポイントを詳しく解説します。子どもの安全を第一に考え、適切なジュニアシートを選ぶ際の参考にしてください。

ジュニアシートの着用義務はいつからいつまで?

着用義務は6歳未満が対象

まず、ジュニアシートに関する法律で押さえておきたいのが、道路交通法第71条3項です。この法律では、6歳未満の幼児を乗車させる際に、チャイルドシートやジュニアシートなどの「幼児用補助装置」を使用することが義務付けられています。具体的には以下のように定められています。

> 自動車の運転者は、幼児用補助装置(中略)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

この条文にある「幼児用補助装置」とは、一般的に「チャイルドシート」「ジュニアシート」を含む、子どもの安全を確保する装置を指します。つまり、6歳になるまでは、どんなに子どもが大きく見えたとしても、チャイルドシートやジュニアシートの着用を徹底しなければならないということです。

いつからジュニアシートを使えばいいのか

チャイルドシートからジュニアシートへ切り替える明確な法律上の定めはありません。しかし、子どもが成長してチャイルドシートを嫌がるようになったり、シート自体が小さくなってきたりしたら、ジュニアシートへの移行を検討するのが一般的です。多くのメーカーでは、ジュニアシートの使用開始時期を「3歳頃から」と案内していることが多いため、一つの目安として考えることができるでしょう。

ただし、ジュニアシートのなかには1歳から使用できる製品もあれば、3歳頃から学童期まで長く使える製品も存在します。対象となる年齢・体重・身長は製品によって異なるため、購入時には必ず製品の表示や説明書を確認してください。

ジュニアシートはいつまで使うべきか

前述のとおり、法律の定めでは6歳未満の幼児を乗せるときはジュニアシート(チャイルドシート)を使うことが義務付けられています。しかし、6歳を過ぎたら、すぐにシートベルトのみで乗車してもよいというわけではありません。

シートベルトは、大人の体格を想定して設計されています。JAF(日本自動車連盟)ではシートベルトを安全に使用できる目安の身長を140cm以上、トヨタ交通安全センターでは135cm以上、ホンダでは150cm以上と案内しており、一概に「何cmから」という基準は統一されていないものの、140cm前後を超えることが望ましいとされています。

一方で、文部科学省の「令和2年度学校保健統計調査」によると、6歳の平均身長は男子117.5cm、女子116.7cmほどです。つまり、多くの6歳児はシートベルトがきちんとフィットする身長には達していません。万一の事故でシートベルトが首元にかかっていたりすると、子どもが大きく怪我をするリスクが高まります。そのため、6歳を過ぎても身長140cm前後に到達するまでは、継続してジュニアシートを使うことが推奨されています。

ジュニアシートの取り付け場所はどこがいい?

基本的には後部座席がおすすめ

ジュニアシートの安全性を最大限に発揮するには、設置場所が非常に重要です。国土交通省や警察庁は、ジュニアシートを後部座席に設置することを推奨しています。後部座席は運転席や助手席に比べて衝突時の危険がやや低減される傾向があり、後部座席中央に3点式シートベルトがある車の場合は、さらに安全性が高いといわれています。

取り付ける座席に関しては、製品の取扱説明書にも指定があります。ジュニアシートによっては、後部座席の左右どちらかのみ使用が推奨されている場合や、ISOFIX対応車両であれば固定が可能な位置が限られる場合もあるので、よく確認してから取り付けましょう。

助手席にジュニアシートを置くリスク

「後部座席がいっぱいなので助手席でもいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、助手席にはエアバッグが搭載されていることが多く、衝突の際にエアバッグが作動すると、子どもの体を強く圧迫し、かえって危険が増す可能性があります。

過去には、エアバッグの衝撃によって幼児が死亡した事故も報告されています。もしやむをえず助手席にジュニアシートを設置する場合は、シートを限界まで後ろに下げるなど、エアバッグとの距離をできるだけ確保する工夫が必要です。

ジュニアシートの種類と特徴

国土交通省では、チャイルドシートを「乳児用」「幼児用」「学童用」の3種類に分類しています。乳児用は新生児から1歳頃までの使用が基本ですが、幼児用と学童用は幅広い年齢層に対応できるため、一般的にこれら2種類が「ジュニアシート」と総称されることがあります。ここでは「幼児用」と「学童用」に分けて、その特徴を見ていきましょう。

幼児用(背もたれ・ヘッドレスト付き)

幼児用ジュニアシートは、背もたれやヘッドレストが備わっているのが最大の特徴です。チャイルドシートとよく似た構造を持ちながらも、ある程度成長した子どもが前向きに座っても安定感を得られるように設計されています。

– 背もたれがあることで姿勢を保持しやすい
– ヘッドレストで頭部や首周りの安全を確保しやすい
– 1歳頃から使えるモデルもある(チャイルドシート兼用タイプなど)
– ISOFIX対応モデルやシートベルト固定モデルなど、装着方式がさまざま

幼児用ジュニアシートは、チャイルドシートからの移行期に特に重宝します。まだしっかりと座った姿勢を保てない年齢の場合や、体重・身長が十分に大きくない段階でも、背もたれやヘッドレストによるサポートがあると安心です。価格帯はおおむね15,000円~40,000円程度が目安ですが、高級モデルになるとそれ以上になることもあります。

学童用(ブースターシートタイプ)

学童用ジュニアシートは、ブースターシートタイプとも呼ばれ、座面を高くすることで大人用のシートベルトを適切な位置で装着できるようにするものです。背もたれ付きと座面のみの2種類があり、幼児期には背もたれ付きでしっかりサポートし、子どもの成長に合わせて背もたれを外して座面だけで使用するケースが多くみられます。

– 座面を高くしてシートベルトが首や顔にかからないようにする
– 子どもが大きくなったら背もたれを外すなどの調整が可能
– 比較的軽量で持ち運びやすいモデルが多い
– 価格の目安は背もたれ付きで10,000円~20,000円程度、座面のみで3,000円~5,000円程度

幼児用のジュニアシートが小さくなったタイミングや、身長がまだ140cmに満たない子どもが10歳前後になるまでの期間をカバーするためにも、学童用のジュニアシートは役立ちます。「背もたれが必要かどうか」「子どもの体格に合っているか」などを確認しつつ選ぶことが大切です。

ジュニアシートを選ぶ際のポイント

ジュニアシートは、子どもの安全を守るために欠かせない存在ですが、メーカーやモデルによって機能や装着方法が異なります。ここでは、失敗しないために押さえておくべきポイントを3つご紹介します。

1. 子どもの年齢・身長・体重に適合しているか

ジュニアシートには、それぞれ使用できる年齢・身長・体重の範囲が定められています。「長く使えるモデルだから」「デザインが可愛いから」という理由だけで選ぶと、子どもの成長段階に合わず、安全機能を十分に発揮できない恐れがあります。

– 着用を想定した年齢の幅
– 適応体重や身長の範囲
– 実際に車やお店で装着してみたときのフィット感

これらを総合的にチェックして、しっかり適合しているジュニアシートを選ぶようにしてください。子どもによって成長スピードは異なるため、対象年齢と実際の身長・体重に差がある場合は、体格に合わせることを優先しましょう。

2. 国土交通省の安全基準(Eマーク)をクリアしているか

ジュニアシートを含むチャイルドシートには、国土交通省の安全基準に適合している製品に「Eマーク」が付されています。Eマークには、国ごとの認可番号(日本は43)や、対象となる体重などの情報が明記されています。安全面での信頼性を確保するためにも、必ずEマークを取得している製品を選びましょう。

また、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)では市販されているチャイルドシートのアセスメントを実施しており、衝突試験や使用性評価を元に安全性能がランク付けされています。これらの評価結果を参考にするのも、製品選びの有効な手段です。

3. メンテナンスや素材のチェック

子どもは車の中でおやつを食べたり、飲み物を飲んだりと何かと汚しやすいものです。汗をかきやすい時期であれば、汗染みやニオイの原因がシートに残ることもあります。そのため、下記のポイントも考慮しましょう。

– カバーが取り外しやすく、洗濯できるか
– 汗をかきやすい夏場でも蒸れにくいか(通気性の良いメッシュ素材など)
– クッション性があり、座り心地が良いか

汚れやすい環境で使うジュニアシートだからこそ、お手入れのしやすさは長期的な満足度に直結します。通気性の良い素材を選べば、車内で汗だくになってしまうことを軽減でき、子どもが快適に座り続けられるでしょう。

ジュニアシートを正しく取り付けるためのポイント

ジュニアシートを安全に使用するうえで重要なのは、購入後の「取り付け方」です。どんなに高性能なジュニアシートでも、誤った方法で取り付けてしまうと十分な効果を発揮できません。以下の点に気を付けながら、正しく設置・装着しましょう。

取扱説明書をしっかり読む

ジュニアシートを取り付ける前に、必ず製品に付属する取扱説明書をよく読み、指定された取り付け場所や固定方法を確認してください。製品によっては、後部座席の左右どちらかに限定される場合や、ISOFIXの場合は車種への対応表を確認する必要があります。シートベルト固定型の場合は、ベルトがねじれないようにするなどの注意点も細かく記載されているので、説明書どおりに着用しましょう。

シートベルトの位置に注意する

ジュニアシート装着時に、シートベルトが子どもの首に当たっていないか、肩や腰をしっかりホールドしているかを必ずチェックしてください。肩より大きく外れていたり、首にかかっていたりすると、万が一の衝突時に首や内臓へのダメージが大きくなる可能性があります。

子どもがシートベルトを外さない工夫を

幼児のうちは、ちょっとした拍子にシートベルトやバックルを外してしまうこともあります。走行中に子どもがベルトを外してしまうと、万が一の衝撃からまったく守られなくなるため、大変危険です。子どもがシートベルトを外さないよう、「危ないから外しちゃダメだよ」と言い聞かせたり、ベルトを外せないように工夫されているモデルを選んだりするのも有効な対策になります。

ジュニアシートは必ず「適正使用」することが重要

警察庁のデータによると、6歳未満の幼児が同乗中に交通事故に遭った場合、チャイルドシートやジュニアシートを「適正使用」していれば致死率が0.07%であるのに対し、まったく使用していない場合は0.35%(約5.3倍)にも上昇するという統計があります。これは、きちんと取り付けられたチャイルドシートやジュニアシートが子どもの命を大きく左右することを示す非常に重要なデータです。

さらに、チャイルドシートやジュニアシートをつけていても、ベルトの締め付けが緩かったり、対象年齢・体重を満たしていない無理な使い方をしていたりすると、「適正使用」とはみなされず、十分な効果を発揮しません。適合する製品を正しく装着することが、安全性の確保に直結するのです。

ジュニアシートに関するよくある質問

最後に、ジュニアシートに関して保護者の方からよく寄せられる質問をいくつか取り上げ、それぞれの疑問にお答えします。

Q1. 6歳を過ぎていてもジュニアシートは必要?

A. 法律上の義務は6歳までですが、身長140cm前後に達していない場合は、シートベルトが正しい位置にフィットしにくく、危険性が高まります。子どもの安全を守るために、6歳を過ぎても可能な限りジュニアシートの使用を続けることをおすすめします。

Q2. 中古のジュニアシートを使ってもいい?

A. 原則として、ジュニアシートは長期間使うことを想定されていますが、過去に衝突事故に遭っていたり、経年劣化で素材が傷んでいたりする可能性があります。中古を利用する際は、製造年月日や使用歴が明確であり、国土交通省の認証(Eマーク)を受けているかなどを十分に確認する必要があります。

Q3. チャイルドシートからジュニアシートに切り替えるタイミングを見極めるには?

A. 子どもがチャイルドシートに座ったときに、明らかに窮屈そうであったり、シートベルトが肩からズレたりするようであれば切り替えの合図です。また、製品ごとに想定する身長・体重の範囲があるので、その基準を満たしたらジュニアシートの検討を始めましょう。

まとめ

ジュニアシートは、チャイルドシートを卒業した子どもがさらに安全・快適に車に乗るために欠かせない装置です。法律上の義務としては6歳未満までの使用が定められていますが、子どもがシートベルトを正しく着用できる身長(おおむね140cm前後)に達するまで継続することが望ましいとされています。

ジュニアシートには、背もたれ付きで頭部を守れる幼児用と、座面を高くすることで大人用シートベルトを正しく装着できる学童用があり、子どもの体格や成長速度に合わせて選ぶことが大切です。製品を選ぶ際は、対象年齢や適合する身長・体重を確認し、国土交通省の安全基準(Eマーク)をクリアしているかどうかも見逃せません。さらに、洗いやすさや通気性など、子どもの快適性を考慮することもポイントです。

万一の事故が起こってしまったとき、ジュニアシートが適正に使用されていれば、子どもの致死率を大幅に下げることができます。子どもが大きくなってチャイルドシートを嫌がるようになったとしても、安全確保のためには正しいサイズのジュニアシートへの切り替えが不可欠です。親としては少し手間や費用がかかるかもしれませんが、かけがえのない子どもの命と健康を守るために、ぜひ最適なジュニアシートを選び、正しく設置・装着しましょう。

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