車上荒らしを防ぐ対策は?手口や被害時の対応手順もチェック

車上荒らしを防ぐ対策は?手口や被害時の対応手順もチェック

車上荒らしとは?

「車上荒らし」とは、車両に関連する盗難のうち、車そのものではなく車両のパーツや車内に置かれている物品を盗む犯罪を指します。一般的には、ホイールやドアミラー、バンパーのほか、カーナビやドライブレコーダーなどの機器が被害にあいやすく、また車内に置いてあった現金やゴルフバッグなどの貴重品も狙われることがあります。

警察庁刑事局の「令和3年1~12月犯罪統計【確定値】」によると、2021年に全国で認知された車両関連の盗難事件のうち、車両そのものを狙った「自動車盗難」の認知件数は5,182件だった一方で、車上荒らし(車両の部品や車内物品の盗難)は3万6,329件にのぼりました。自動車盗難と比較すると車上荒らしは非常に多く発生しているため、車を所有する方は日頃から対策を意識する必要があります。

また、一般社団法人日本損害保険協会の「自動車盗難事故実態調査」(2019年1月1日~2021年12月31日)によれば、車上荒らしはとくに22時~翌朝9時にかけて半数以上が発生しているとのことです。夜間や早朝の時間帯は、人通りが少なく犯行が目立ちにくいためと推測されます。こうした盗難被害はどこでいつ起こってもおかしくないため、決して他人事ではありません。まずは車上荒らしの代表的な手口を知り、それに合わせた対策を講じることが大切です。

車上荒らしの代表的な手口

車上荒らしの手口は、時代やセキュリティ技術の進歩に伴って多様化しており、近年ではスマートキーの特性を悪用した手口も増えているとされています。ここでは、代表的な3つの手口を紹介します。

窓ガラスを割って侵入

車上荒らしのなかでも古くからある典型的な手口が、窓ガラスを割って車内に侵入する方法です。大きな音を立てずに割りやすいことから、比較的小さな三角窓が狙われる場合が多いといわれています。車内に侵入した犯人は、金品や貴重品がないかを物色するだけでなく、車両のパーツを取り外して盗んだりすることもあります。

また、なかにはドアや鍵穴の配線を細工してエンジンを始動し、そのまま車ごと持ち去るという大胆なケースもあります。こうした侵入行為を防ぐには、窓やドアのセキュリティを強化することが重要です。

リレーアタック

リレーアタックとは、スマートキーの電子信号を利用して車両のロックを解除する盗難手口のひとつです。スマートキーは微弱ながらも常に電波を発しており、犯人はそれを受信・増幅して仲間に転送(リレー)し、あたかもキーが近くにあるかのように偽装してドアを開けるのです。

通常は複数人で行われ、一人が持ち主宅付近に忍び寄りキーの電波をキャッチし、その電波を増幅して仲間に送ります。すると、車のそばにいる別の人物が車両のドアロックを解除できるようになる、という仕組みです。本来であればキーが近づかないと開かないはずの車が、遠隔で開けられてしまうため、非常に厄介な手口といえます。

CANインベーダー

CANインベーダーは、リレーアタックをさらに進化させたような新たな手口です。スマートキーの電波ではなく、車両内部の電子制御装置である「CAN(Controller Area Network)」にモバイルバッテリー型の機器を直接接続して、車両をコントロールするものです。CANに侵入することで、ドアロックの解除やエンジン始動を可能にします。

車両にはさまざまな電子部品が搭載されており、その情報をやり取りするネットワークを不正に操作するため、従来のキーの仕組みをかいくぐって車に侵入できるというわけです。こうした攻撃手段はますます巧妙化しており、特に新しい車や高級車が狙われやすい傾向にあるといわれています。

車上荒らしにあったときの対応の流れ

万が一、車上荒らしの被害にあった場合、どう対処すればよいのでしょうか。ここでは、被害を確認した際の一連の流れを3つのステップで説明します。

1. 警察に通報

車上荒らしを発見したら、まず第一に警察へ通報しましょう。被害届や盗難届を出すことで、犯人逮捕の可能性を高めるだけでなく、保険の手続きをスムーズに進めるためにも欠かせません。警察の到着までに車内をいじってしまうと、犯人の手がかりとなり得る指紋や足跡などを消してしまう恐れがあります。現場の状況はできる限りそのままの状態で保っておきましょう。

2. 被害の確認

警察による現場検証が終わったら、盗まれた物を落ち着いて確認します。特にクレジットカードやETCカード、免許証など、不正利用されるおそれのあるものが盗まれていた場合は、すぐにカード会社や免許センターなどの窓口に連絡し、利用停止または再発行の手続きを取ることが重要です。遅れるほど、カードの不正使用や個人情報の流出といった二次被害のリスクが高まります。

3. 保険会社に連絡

車上荒らしによる損害が自動車保険の補償範囲に含まれる場合は、保険会社に連絡を入れます。車両保険や車内手荷物等特約などの補償が適用される可能性があるため、加入している保険の内容をよく確認しましょう。車両保険を利用する場合は、翌年度以降の等級や保険料に影響が出る可能性がありますが、補償金額を聞くだけなら等級は下がりません。まずは保険会社と連絡を取り、請求を検討する段階で必要書類や手続きの流れを確認することをおすすめします。

車上荒らしの被害は自動車保険で補償される?

車上荒らしによる被害は大きく分けて「車両への損害」と「車内にあった物品の損害」の2種類があります。これらを補償する可能性のある自動車保険には、主に「車両保険」と「車内手荷物等特約」があります。

車両保険での補償

車両保険は、その名の通り車両自体の損害を補償するための保険です。窓ガラスの破損や、ドアミラー・ホイールなどのパーツが盗まれた場合、あるいは車体に傷を付けられた場合などが該当します。ただし、車両保険を使って修理費用や部品代を補償してもらった場合、次年度以降の保険等級が1等級下がり、事故有係数が加算されるので、結果として保険料が上がってしまいます。

そのため、修理費や部品交換費がそこまで高額でない場合、保険を使うとかえって損になるケースもあります。一度見積もりを取り、保険会社にどの程度の補償が得られるのかを確認したうえで、保険を使うかどうかを判断するのがおすすめです。

車内手荷物等特約での補償

車内やトランクに置いてあった物品が盗まれたり破損したりした場合は、一般的に「車内手荷物等特約」と呼ばれるオプションの対象になります。車内手荷物等特約に加入していれば、ゴルフバッグやカメラ、ノートパソコンなど、一定の条件を満たす私物の損害が補償されることが多いです。

一方、現金やクレジットカード、スマートフォン、貴金属品などは特約の補償対象外とされることが多いため、保険会社の規定をよくチェックしましょう。また、カーナビに関しては車両に固定されているタイプは車両保険、ポータブルタイプであれば車内手荷物等特約が該当することが一般的です。特約を使っても保険等級が下がらない会社もあるので、契約している保険商品や保険会社の方針を詳しく確認するのが大切です。

車上荒らしにあわないための対策

車上荒らしを完全に防ぐことは難しいものの、いくつかの対策を組み合わせることで被害にあう確率を大幅に下げられます。ここでは、すぐに実践しやすい対策や、最近注目されている方法を紹介します。

短時間でも必ず施錠する

「ほんの数分だから」「近くにいるから」という理由で無施錠のまま車を離れた結果、盗難被害につながるケースは少なくありません。実際、車両窃盗の約2割強は、鍵をつけっぱなしまたは車内や車の付近に置いたままで起きているとの報告もあります。ちょっとした外出でも必ずドアロックをするだけで、犯人に狙われるリスクを大きく下げることが可能です。

防犯装置の設置

車上荒らしを物理的・心理的に防ぐには、防犯装置の導入が有効です。以下のような装置が代表的な対策となります。

  • 車用防犯ブザー
    ドアを開けると警報音が鳴るタイプや、振動を検知して警告音を発するタイプなどがあります。特にCANインベーダーのように車内への侵入を試みる犯行を抑止するうえでも効果的です。
  • ドライブレコーダー
    ドラレコが搭載されていると、犯行の状況が録画される可能性があるため、犯人が敬遠する傾向にあります。さらにステッカーなどで外部から分かるようにしておくと抑止力が高まります。
  • 防犯カメラ
    駐車場に防犯カメラがあるだけで、犯行のしにくさを印象付けられます。犯人は少しでも証拠が残りそうな場所を避けるため、防犯カメラの設置は大きな deterrent(犯罪抑止力)となります。
  • ハンドルロック・タイヤロック
    ハンドルやホイールに物理的なロックを施すことで、車を持ち去るのに時間がかかると判断し、犯人が犯行を諦めるケースも期待できます。

スマートキーの保管場所に注意

リレーアタック対策として重要なのが、スマートキーから発せられる電波を外部に漏らさないことです。具体的には以下の方法が挙げられます。

  • 金属製の容器や電波遮断ポーチにキーを保管
    金属製のケースや電波遮断ポーチに入れておけば、キーの電波を外に伝わりにくくできます。
  • 家の玄関や窓際にキーを置かない
    犯人が屋外から電波を拾うリスクを減らすために、寝室や奥まった部屋など、屋外から電波が届きにくい場所に保管するのも有効です。

イモビライザー搭載車を選ぶ

イモビライザーは、車とキーのIDが一致しないとエンジンが始動できない仕組みを備えたセキュリティシステムです。リレーアタックやCANインベーダー対策として一定の効果が期待されます。近年の車には標準装備されているケースが多いですが、中古車を購入する場合にはイモビライザーの有無をチェックすることがおすすめです。

AirTagなどのスマートタグを活用する

AirTagのような位置追跡が可能なスマートタグを車内に隠しておけば、万が一車両ごと盗まれた際に、スマホを通じて車両の位置情報を追跡できる可能性があります。犯罪抑止というよりは被害後の探索手段として有効ですが、犯人にすぐ見つからないように、車体のわかりにくい場所に取り付けるのが望ましいでしょう。

防犯と保険の両軸で備えよう

車上荒らしの被害は国内でも依然として多数発生しており、「自分の車は大丈夫」と油断していると、思わぬ隙を突かれてしまうことがあります。車上荒らしはもちろん、車そのものの盗難も重大な被害です。防犯のための具体的な取り組みを行うとともに、万一の損害を補償する保険を整えておくことで、被害を最小限に抑えることができます。

自動車保険のなかでも、車両保険に加入しておくかどうかで大きく変わりますし、オプションである車内手荷物等特約を付帯しておけば、車両以外の物品の盗難まで幅広くカバーできます。とくに車上荒らしによってカーナビやETC車載器、カメラ機材など高額な物を盗まれた場合、金銭的な損失が大きくなるため、自分の使用状況に合わせて手厚い保険を選ぶことも検討してみるとよいでしょう。

保険選びや補償内容の見直しに際しては、保険会社や代理店に相談して見積もりを取得した上で、保険料とのバランスを比較することが大切です。また、すでに自動車保険に加入している場合であっても、オプション特約が抜けている可能性や、補償限度額が自分のニーズに合っていない場合もあります。定期的に補償内容をチェックして、必要な補償がしっかり備わっているか確認するようにしましょう。

まとめ

車上荒らしは、被害総数の多さから見ても常に身近にある危険だといえます。短時間の外出時でも鍵をかける、車内に貴重品を置きっぱなしにしない、防犯装置やスマートタグを活用するなど、ちょっとした心がけを日頃から実践しておくことが被害を防ぐ第一歩です。また、万が一被害にあった場合は、まず警察へ連絡し、その後被害状況を確認しつつ保険会社に相談しましょう。

車両保険や車内手荷物等特約があるかどうか、あるいはイモビライザー搭載車を選んだり、スマートキーを電波遮断ポーチに入れて保管したりと、車上荒らし対策はいろいろな角度から可能です。近年はリレーアタックやCANインベーダーなどの複雑な手口が増えているとはいえ、基礎的な防犯意識を高く保ち、複数の対策を組み合わせることで相当程度のリスクを軽減できるでしょう。

さらに、防犯対策とあわせて自動車保険の補償を手厚く整えておくことで、もしものときにも落ち着いて対応ができます。自分のカーライフに合ったプランを選び、より安心して車を利用できる環境を整えていきましょう。

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