交通事故が起きる仕組みと対策とは?衝突を避けるための3つの方法

交通事故が起きる仕組みと対策とは?衝突を避けるための3つの方法

この記事では、交通事故が起きる仕組みとその対策について詳しく解説しています。まず、事故が起きる仕組みとして、「緊急停止に必要な空間を保持しないで走行」や「突然の緊急停止に必要な空間の消滅」について解説しています。

次に、交通事故対策の基本として、衝突を避ける3つの方法として、その1「緊急停止に必要な物理的空間の作り方」その2「緊急停止に必要な物理的空間の突然の消滅対応」その3「わき見、ぼんやり運転への対処」について解説しています。さらに、安全運転を身につけるための具体的な学習方法も提供されています。この記事を通じて、読者は交通事故の原因と対策について深く理解することができます。

【事故が起きる仕組み】

交通(衝突)事故の原因は、緊急停止に必要な物理的空間の不足です。では、この緊急停止に必要な物理的空間の不足と言う状態はどうやって生まれるのでしょうか。

理由は二つしかありません。

ひとつは「緊急停止に必要な空間を保持しないで走行」する運転習慣によるもの。

もう一つは「緊急停止に必要な空間の突然の消滅」によるものです。

「緊急停止に必要な空間を保持しないで走行」

仕事柄、これまで数千人のプロドライバーさんの走行映像を見て来ました。その経験から分かったことは、十分な車間距離(一般道路で2秒以上、高速道路で3秒以上)を常態的に保持して走行している方はほんの一握り、5%前後しかいないという実態です。なかには、あおり運転さながらの車間距離で追走される方も見かけます。実態調査で車間距離不足が判明している方々に、どのくらい取っているかを質問すると、決まって同じ答えが返ってきます。「十分に取っている」と。
皆、そう思っているのです。交通違反には、車間距離不保持というのがあります。これで検挙されたという話はあまり聞いたことがありません。そんなことからも、そのような運転習慣がはびこる温床となっているのかもしれません。

「突然の緊急停止に必要な空間の消滅」

事故統計が、もう一つの、空間消滅の理由を教えてくれます。
人対車輛では全体の6割が道路の横断中に発生しています。
車両相互では全体の約5割が交差点で発生しています。この理由は想像が付くのではないでしょうか。進行方向に対して保持していた物理的空間に、横方向から車両や歩行者が割り込んでくると、そこにあった物理的空間が一瞬にして消滅してしまうと言うことです。この突然の消滅という事態は交差点に限らず、追い越しや車線変更による割り込みでも起こる現象です。

【交通事故対策の基本】

まずは衝突を避ける方法を知ること
その方法を実践すること
実践状況を客観的に確認して完全にすること

これら一連の取り組みを学習と言います。

衝突を避ける3つの方法を知る:その1「緊急停止に必要な物理的空間の作り方」

緊急停止に必要な物理的空間の作り方は簡単です。
車間距離を秒数に置き換えてカウントし、その秒数が所定秒数以上になるようにアクセルをコントロールして空間を保持するだけのシンプルな操作です。

秒数のカウントは、前方車両が通過した場所(例えば通行帯の白線の切れ目、樹木や沿道構築物およびそれらの影などの目印)から、その場所に自分が達するまでの時間です。一般道で3秒、高速道路で4秒の空間があればOKです。

カウントは必ずゼロから始めてください。ゼロからですよ!

所定時間より短い様であれば速やかにアクセルペダルを緩めて空間を調整してください。調整には、ほんの数秒あればアクセル操作だけで完了すると思います。

下り坂であれば適切なギヤダウンが必要かもしれません。
所定秒数の空間が確保出来たら、その後は、その距離感を保ちながら走行するとよいでしょう。

車間距離の確認は随時的に行うように心がけてください。

例えば、信号停止からの発進直後や、車両の合流地点、道路状況が変化する場所(幅員や車線数の増減箇所、上り坂や下り坂、山道などのコーナーが多い場所など)で確認するほか、道路上に、秒数カウントのきっかけとなる目印(制限速度などの道路標示や沿道の樹木や構築物などの影)に気づいたときにゲーム感覚で行うとよいでしょう。

衝突を避ける3つの方法を知る:その2「緊急停止に必要な物理的空間の突然の消滅対応」

進行方向に対して保持していた物理的空間に、横方向から車両や歩行者が割り込んでくると、

そこにあった物理的空間が一瞬にして消滅してしまいます。

それが、いつ発生するかは誰にもわかりません。

ただ、どこで発生するかは誰にでも想像がつくと思います。

その場所が想定できれば事前対処が可能です。

誰もが思い当たる場所として交差点、横断歩道が代表的ですが、駐車場やコンビニの出入り口、

歩行者の往来がある歩道のない道路、建物や外壁が迫る生活道路、駐停車中の車が居るところ、

そして、合流地点、踏切などもあると思います。

このほか、場所は特定できなくても、追い越し、あるいは、追い抜きしてきた車が急に割り込んでくるシーンなども

思い浮かぶのではないでしょうか。

私たちには突発的に起こる要因を左右する力はありません。

しかしながら、その可能性が予測できれば、対処することは

可能です。

さらに・・・

皆さんはお気づきでしょうか。

道路標識や道路標示の多くが、衝突回避に必要な物理的空間が一瞬にして消滅する場所を事前に教えてくれていることに。

制限速度が20㎞/h規制、徐行、学童注意、止まれ、車線縮小、横断歩道などの標識や道路標示がある場所がそれに相当します。

このほか、交通法規上の定めとして、横断歩道手前で停まっている車の横を通過する場合は一時停止しなければならないなどと

衝突の危険性が高いケースについて教えてくれているのです。

さらには、道路標識ではありませんがカーブミラーが設置されていれば、そこは危険な場所だということです。

 

対処方法は二つです。

危険因子(人や車)の動向観察が、まったくできない環境と、ある程度の動向観察ができる環境で、対処方法が異なります。

対処方法①危険因子(人や車)の動向観察ができる環境の場合の対処

緊急停止する可能性のある場所(交差点や横断歩道、駐車場やコンビニの出入り口など)に近づいたら、

アクセルペダルからブレーキぺダルに足を移し、危険因子の予兆に集中することで、

知覚とペダル操作にかかる時間が最小限になるように、臨戦態勢で進行してください。

車や歩行者の有無に関わらず、この態勢で進行する習慣を身に付けることをお勧めします。

もしかしたら車や人を見落とすことがあるかもしれません。

なお、被追い越し、被追い抜きで、直前への割り込み進入が想定されるシーンでも、この方法は有効です。

対処方法②危険因子(人や車)の動向観察ができない環境の場合の対処

路地から、自転車あるいは人が突然でてきたり、駐停車中の車の陰から、人が突然でてくるパターンの対処の仕方です。

まずは、その場に近づいたら、臨戦態勢を取ることが前提となりますが、いったいどのくらい近づくと、

緊急停止が間に合わないかを知っておく必要があります。

最悪、対象物の1m手前で停止するのに必要な制動開始距離を以下に示します。

『制動遅延時間を0.3秒として算定』

進行速度(㎞/h) 10 20 30 40 50
最小必要距離(m) 2.4 4.6 8.6 13 19
普通車台数換算 0.5台 1台 2台 3台 4台

 

走行速度が10㎞/hだと普通車の半分くらい手前が緊急停止が可能な限界地点となります。

速度が20㎞/hだと普通車1台分、30㎞/hだと普通車2台分くらい手前ということです。

この地点を過ぎて相手が路上に出てくると衝突回避は不可能ということになります。

そこで、限界地点を過ぎて、相手が道路上に出てきてもその横をすり抜けることができるように、

事前に、側方空間を確保して進行することが必要になります。

以下に、限界地点を過ぎて衝突するまでに、相手がどのくらい路上に出てくるかを示します。

『成人男性の一般的歩行速速度を時速5㎞で算定』

進行速度(㎞/h) 10 20 30 40 50
通過所用時間(秒) 0.5 0.7 0.9 1.1 1.3
歩行者の進行距離(m) 0.7 1.0 1.3 1.5 1.8

 

走行速度が10㎞/hだと、相手が70センチくらい道路にでて来るということです。

その横を通過することを考えると、最低でも50センチくらいの余裕が必要でしょうから、

進行速度が10㎞/hだと側方に1.2メートルくらいの安全空間があれば、

いよいよ間に合わない地点に達したとしても、何とか衝突せずにスル―できることになります。

速度が20㎞/hだと1.5メートル、30㎞/hだと1.8メートルの側方空間を事前に確保することで衝突回避が可能です。

歩行者が不用意に横断してくる可能性が有る道路としては生活道路、あるいはそれに準じる道路だと思われます。

制限速度で言えば時速30㎞/h以下の道路では警戒が必要です。

一般道路の場合、ほぼ、運転者が乗降目的で道路上に出てくるパターンだろうと思われますので、

ドアの開閉も考慮すると1.5メートルほどの側方空間があれば衝突は避けられるもものと思われます。

路地からの突然の出現、駐停車中の車の陰からの突然の出現に対する対処方法のまとめ

①臨戦態勢でその場に臨む

(右足はブレーキペダルの上、危険因子の予兆に集中)

②左側方に1.5メートル以上の安全空間を確保して進行する

③道路の幅員、あるいは対向車等により安全空間が確保できない場合、

10㎞/h以下で進行するか、安全確認が可能な位置で一旦停止し、安全が確認できたのちに進行する

④絶対にやってはいけない行為と対処

加速通過、回避の為の急ハンドル

⑤通行が容易で接触・衝突の可能性がない道路を通る

(見通しの悪い狭い道路や、生活道路、通行が多い時間帯を避けるなどの予防的対策が安全担保の基本です)

衝突を避ける3つの方法を知る:その3「わき見、ぼんやり運転への対処」

わき見運転、ぼんやり運転を無くすのはあきらめてください。

世の中の風潮・・・

緊急停止が間に合うかどうか以前に危険に気付かなかったから衝突した。だから、わき見運転、漫然運転は事故の原因だとする意見が一般的です。

この意見は一理あるように思いますが、前方をずーっと見ないで運転する方はいないはずです。また、考え事などでぼんやりしているような場合でも、前方は見ていますので、危険に対する反応が遅れることがあったとしても、衝突するまで全く気付かないということはまれだろうと思われます(スマホ操作によるわき見運転、居眠り運転は論外)。

わき見、ぼんやりで、どのくらい反応が遅れるのか

わき見の時間は人それぞれだと思いますが、その時間は、人それぞれの認知所要時間に左右されるものと理解すると分かり易いと思います。

一般的に、初めて出現した状況に対して、危険だと認知するのに必要な時間は、おおよそ0.5秒から1.5秒と言われています。従って、その時間分だけ、緊急停止行動が遅れるということになります。

わき見、ぼんやり運転への対処方法(空間調整とチラ見)

緊急停止に必要な物理的空間を多くとる。

わき見をしがち、あるいは、ぼんやりしがちな方々は前出の緊急停止に必要な物理的空間を、自分の認知所要時間分だけ多く取るようにしてください。一般道で3秒、高速道路で4秒の空間が標準ですので、その時間に1~2秒加えることをおすすめします。

チラ見をする

皆さんの中には、一度もわき見をしたことがないと云う方がいるかもしれません。ところが、わき見の本質はある物への傾注です。動向注視など、自覚がなくても頻繁にみられる行為です。

例えば、交差点近くになって信号が変わりそうな気配の場合を想像してみてください。おそらく信号が変わるタイミングが気になるのではないでしょうか。その際、目線が、左側の歩行者用信号機や頭上の信号機の方に動き、点灯色を確認するという傾注状態が起こります。もし、その時点で、前を走っていた車が、黄色点灯あるいは赤色点灯を予測して減速~停止動作に入っていたとしたらどうでしょう。一瞬の対応遅れが命取りになるかもしれません。

このように、わき見(傾注)という行為は、無意識に頻繁に起きている確認行為の一つです。確認で大事なことは、見続けないで、短時間のチラ見を、納得できるまで繰り返すことです。

本来、確認にはある程度の時間が掛かります。そのため、事前に、減速・徐行・一時停止などの方法で確認に必要な時間をつくることが確認作業の第一段階、最も大事な運転操作です。

衝突を誘発させる行為をしない

駐停車の仕方で、衝突を誘発させることがあることに気づいている方もあるかと思います。

一つは、歩道駐車、あるいは、路側帯への踏み入れ駐停車で起こる現象です。この行為により、歩行者が進路を阻まれ、車道側に出ざるを得ない状況を作り出したりします。

もう一つは、駐停車という行為は、死角を形成する行為でもあるということです。この行為により、そこが危険地帯と化してしまうことにもなりかねません。

不用意な駐停車は、周りの方々に事故を誘発させるリスクがあることを認識しておいてください。

歩道には立ち入らない、路側帯では歩行者の為の十分な空間を確保するようにしてください。ほとんどの方が車の通行の邪魔にならないことを優先しているように見受けます。

さらに事故を誘発させるリスクが高い交差点付近、建物や駐車場の出入り口付近などでの駐停車には十分な配慮が必要です。

道交法には、駐停車禁止区域として、細かく記載してあります。これは、円滑な通行をはかることが主目的だと思われますが、一方では事故を誘発させないための方法でもあります。道交法は、守るべきルールを記載したものというとらえ方でなく、事故が起きないようにする運転の仕方について細かく教えてくれるハウツー本というとらえ方が良いと思います。

まずは知ることから始めることをお勧めします。

【安全運転はどのようにしたら身に付くのか】

 

学習の仕組み

ちょっと雑談にお付き合いください

皆さんはミサイルの仕組みをご存知でしょうか

ミサイルという言葉から、攻撃や撃墜といったイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、ミサイルの基本技術は『狙った目標物に到達する』ための学習の仕組みそのものなのです。

ミサイルは、人のDNAに組み込まれている学習の仕組みをそっくりコピーしたものだと開発者自身が語っています。

この学習の仕組みはいたるところで見受けられます。

小学校時代の習字を思い出してみてください。まずは手本がありますね。その手本と同じになるように筆を走らせ、自分が書いた文字と手本を比較し、違いを見つけます。次に、その違いがある部分を意識して書き方を修正していく作業を繰り返すことで、やがて、手本どおりの文字に到達することが出来るようになるのです。

 

この一連の作業の中で、肝となる部分が二つあります。

一つ目は「正しい手本」です。手本が間違っていれば身も蓋もありません。渡された手本が正しいのにも関わらず、当人が見誤ることで「間違った手本」となってしまっている場合も多々見受けられます。

二つ目は、手本との違いの見つけかたです。手本との違いが判ればそのうち自然と手本通りの文字が書けるようになるのですが、当人がその違いに気づくかどうか、当人にどうやって違いを気づかせるかが勝負の分かれ目となります。

子供に手本を渡して文字を書かせてみてください。そして、手本と違うところがあるか聞いてみてください。おそらく「わかんない」という言葉が返ってくると思います。当人は手本通りに書いたつもりですから、この「わかんない」の意味は、手本と同じ、違いは無いということを言っていることになります。

この場合、文字の大小、書き順、ならい、はねなど、こと細かに教えることになるのですが、当人が書いたものを指摘したり書き方を教えるのでなく、手本の重要ポイントを手本を使って教える(手本の正しい見方)だけにして、書き方は当人に工夫させるように仕向けるのが望ましい学習指導の在り方のような気がします。

安全運転の具体的な学習方法

やり方は簡単です

  1. まず、道交法(安全運転の仕方)を「正しく」理解する
  2. 次に、その運転操作を実践する
  3. そして、運転操作が正しく履行できているかを確認する
  4. もし、正しく履行できていなければ、修正対処する
    (道交法の理解の仕方の修正、主観と実際の差異修正)

実現は困難です

上記のやり方で記した1.と3.ですが、どちらも運転者自身が客観的に知る方法がないということです。この二つは、どうしても、第三者の介入が不可欠です。

道交法を正しく理解しているかどうかは、ペーパーテストのようなやり方で結果を当人に知らせることは可能ですが、運転操作が正しく履行できているかどうかを確認するのはとても困難です。

一般的には、同乗確認、監視車による現地監視などがあるのですが、非常に手間がかかることと、その場、その時というスポット確認とならざるを得ず、継続性を旨とする学習システムとして機能させるには不向きかもしれません。

意外に思われるかもしれませんが、警察による取締りも実は道交法を正しく理解しているか、それを正しく履行しているかを当人に教えてくれる仕組みの一つととらえても良いかもしれません。

まとめ

交通事故は「緊急停止に必要な空間を保持しないで走行」「突然の緊急停止に必要な空間の消滅」などの要因により生じます。これらを避けるためには、衝突を避ける方法を知り、それを実践することが重要です。また、安全運転を身につけるための具体的な学習方法を取り入れることも大切です。このような理解と対策を通じて、交通事故の発生を防ぎ、より安全な運転を実現することが可能となります。

ノーティスが開発した最新ドライブレコーダーで安全運転が可能

安全運転を推進していく上での最大の課題は運転者の行動チェックです。運転操作が正しく行われているかどうかは第三者による継続的な目視チェックによる方法しかありません。さらに、運転者へのフィードバックは第三者のバイアスや評価を排除した実際映像で淡々と伝えることが自助力向上を目指す学習の仕組みとしては最適方法です。

ノーティスは、ドライブレコーダーに記録された常時録画情報をもとに、道交法が正しく理解されているかどうか、道交法が正しく履行されているかどうかを、事故発生リスク調査として継続的に運転者さんにフィードバックする仕組みを提供しています。調査報告内容は、正しく理解、正しく履行しているものも、そうでないものも併せて、伝える仕組みとなっています。

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