自宅や車庫に眠っている古いタイヤを、どうやって処分すればよいのか悩んでいませんか?廃タイヤは自治体のごみ収集に出せないケースが多く、しかも一般的には処分費用もかかるため、行動を起こしにくいものです。一方で、状態の良いものや希少価値のあるタイヤなら、費用をかけずに売却できる可能性もあります。
適切な処分方法を知らないまま自己流で捨ててしまうと、不法投棄や違法な引き取り業者に依頼してしまうリスクがあり、最悪の場合は法律により罰則の対象となるおそれも。廃タイヤはリサイクル率が高く、適切に処分すれば環境にも優しく、また処分の手間や費用を抑えながら有効に再利用されます。この記事では、廃タイヤを正しく処分するための方法や費用相場、売却の可能性について詳しく解説します。さらに、タイヤの寿命や交換の目安、不用品回収や業者選びの注意点など、知っておきたいポイントも網羅しました。不要なタイヤの片付けにお困りなら、ぜひ最後までチェックしてください。
廃タイヤはどうやって処分する?自治体で回収してもらえない理由
廃タイヤ(使用済みタイヤ)は、多くの自治体のごみ収集では受け付けてもらえない場合がほとんどです。その理由として「適正処理困難物」に指定されていることが挙げられます。ゴム製品であるタイヤは可燃ゴミや粗大ゴミの区分にあてはまらず、通常のごみ処理施設では処分しづらい素材です。
そのため、廃タイヤを処分するときは、タイヤを取り扱う店舗や業者に持ち込むか、回収を依頼するのが一般的な流れになります。費用はかかりますが、ほとんどの廃タイヤはチップ状に破砕され、さまざまな形で再利用されるため、不法投棄などを避けて正規ルートで処分することが重要です。
廃タイヤのリサイクル率は9割以上:正しい処分が環境を守る
廃タイヤの年間排出量は日本国内で約100万トンにものぼります。しかし、実はその9割以上がリサイクルされており、廃タイヤは資源としての価値が高いのです。回収された廃タイヤはチップ状に砕かれ、道路の舗装材や公園の遊具用マット、防音・クッション材、ゴム粉などに再利用されます。また、焼却時の熱エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」によって、紙や化学・セメントなどの産業分野でも幅広く活用されています。
ただし、適切に処分されなかったタイヤは不法投棄などで自然環境を汚染する要因になります。海や山、河川などに捨てられたタイヤは何年も分解されずに残ってしまうため、処分方法を正しく把握して、地球環境の保護につなげましょう。
廃タイヤの処分に対応している主な業者と処分費用の目安
廃タイヤを処分できる主な方法は、タイヤ販売店やカー用品店などの専門店に依頼するか、整備工場やディーラーなどで交換と同時に引き取ってもらうのが一般的です。また、不用品回収業者に依頼する方法もありますが、どの選択肢を利用するかによって、費用や手間が変わってくるので注意が必要です。以下では、代表的な店舗・業者の処分費用の目安と特徴をまとめます。
●タイヤ販売店やカー用品店
費用の目安:1本あたり250~550円
タイヤ販売店やカー用品店では、新しいタイヤへの交換と同時に処分してもらうケースが多く、交換工賃に処分費用を含む店舗もあります。店頭への持ち込みのみで処分を依頼する場合は、別途1本250~550円程度の料金が発生することが一般的です。作業内容やサービス内容は店によって異なるため、事前に問い合わせて費用を確認するのがおすすめです。
●ディーラー
費用の目安:1本あたり400~550円
ディーラーでもタイヤ交換時に古いタイヤの引き取りを行っている場合があります。交換を伴わない処分だけの依頼は受け付けないところもあるので、事前に対応可否を確認しましょう。費用はやや高めの傾向があるため、タイヤ販売店との価格比較をしておくと安心です。
●ガソリンスタンド
費用の目安:1本あたり300~550円
近所のガソリンスタンドでも廃タイヤの処分を行っている場合があります。店舗によって対応に差があるため、利用するガソリンスタンドで処分できるか事前に確認が必要です。交換作業まで対応してくれるスタンドもあれば、処分のみを受け付けてくれることもあります。ディーラーや販売店より安価なことも多く、立地的に便利な選択肢です。
●整備工場
費用の目安:1本あたり250~550円
街の整備工場や車検工場でも廃タイヤを引き取ってくれることがあります。顧客との長期的な付き合いがある場合、特別にサービスで引き取ってくれるところもあるので、日頃お世話になっている工場があれば一度相談してみると良いでしょう。ただし、すべての整備工場が対応しているわけではないので事前確認は必須です。
●不用品回収業者
費用の目安:1本あたり1,000~2,000円
不用品回収業者に依頼すると、タイヤ以外の不要品もまとめて処分できる点がメリットです。店舗に持ち込みが難しい人や、倉庫や庭先に大量の粗大ゴミがある場合には便利ですが、処分費用はほかの選択肢に比べて高額になる傾向があります。出張費や基本料金がかかる業者も多いため、タイヤのみの処分では割高になることがある点には注意しましょう。
状態が良ければ売れる可能性も!タイヤを売却する2つの方法
廃タイヤとして処分するには費用がかかる場合が多いですが、まだ使用できる程度に状態が良いタイヤや、希少性のある銘柄、ホイール付きのタイヤであれば売却できる可能性があります。以下の2つの方法をチェックして、処分前に査定してもらうのも選択肢の一つです。
●タイヤ買取専門店やカー用品店に売却する
「走行距離が浅い4本セット」など、条件を設けて買取を行っている店舗は少なくありません。銘柄やサイズ、年式を査定したうえで買い取ってくれるため、専門家の目で正しく価値を判断してもらえます。持ち込みが難しいときは、出張査定や宅配査定を行っている店舗を探してみるのも良いでしょう。ただし、店舗によっては得意とするタイヤサイズや銘柄が限られている場合もあるため、下調べは必須です。
●フリマアプリやオークションサイトで売却する
人気ブランドのタイヤや特殊なホイール付きタイヤは、個人売買の場で予想以上の高値がつくこともあります。自分で価格設定ができるフリマアプリなどでは、相場よりやや高めの金額を狙うことも可能です。ただし、写真撮影や商品説明の記載、購入者とのやり取り、梱包・発送など手間がかかるうえ、クレームや返品リスクもある点には注意が必要です。安全に取引したいなら、実績のある業者を通すほうがスムーズかもしれません。
タイヤの寿命と交換のタイミング:夏タイヤと冬タイヤの目安
廃タイヤとして処分したり売却したりする前に、そもそも自分のタイヤがどれくらい使える状態なのかを把握することも大切です。タイヤの寿命は使い方や保管環境などによって左右されますが、一般的には以下の目安が存在します。
●夏タイヤの寿命の目安
– スリップサインが出ている
– 使用開始から5年経過
– 走行距離が約5万km
夏タイヤは路面と直接接するトレッド部の溝が1.6mm以下になると「スリップサイン」が現れます。スリップサインが出たタイヤは整備不良車両扱いとなり、安全面だけでなく法律的にも問題があります。また、溝が十分残っていてもゴム自体が劣化している場合は、グリップ力の低下によって危険な状態になることも。製造から5年、走行距離が5万kmを超えたあたりで一度点検を受け、必要に応じて交換しましょう。
●冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の寿命の目安
– スリップサインが出ている
– プラットフォームの突起がブロック面に近づいている
– 使用開始から3~4年が経過
スタッドレスタイヤには「プラットフォーム」と呼ばれる突起が溝の中にあり、50%程度摩耗すると見え始めます。積雪や凍結路で本来の性能を発揮するには、溝の深さが十分であることが必須です。プラットフォームが出てきたら、交換を検討するタイミングと考えてください。寿命を超えたスタッドレスタイヤは雪道での制動力が大きく低下するため、安全運転のためにも早めの処分・交換が望まれます。
事業用車両のタイヤは産業廃棄物扱い:処分方法に要注意
個人が所有する乗用車のタイヤは「一般廃棄物」として扱われますが、企業・法人などが管理している事業用車両のタイヤは「産業廃棄物」に区分されます。産業廃棄物として出る廃タイヤは通常のタイヤ販売店などでは引き取りできない場合が多く、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ専門業者に依頼する必要があります。もし許可のない業者に依頼してしまうと、処分者だけでなく排出者としても法的な責任を追及される可能性があるため、店舗や業者選びは慎重に行いましょう。
無許可業者の利用や不法投棄は法律で厳しく罰せられる
廃タイヤの正しい処分方法を知っておく大きな理由の一つが、「不法投棄や無許可業者の利用による罰則」です。廃棄物処理法によれば、タイヤを不法投棄したり、無許可の業者に引き渡したりした場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられる可能性があります。「無料で処分する」「格安で対応」などの甘い言葉に飛びつくと、結果的に高額な罰金や刑事罰を受けるリスクを背負うことにもなりかねません。
正当な処分業者を選ぶには、「一般廃棄物収集運搬業許可証」や「産業廃棄物収集運搬業許可証」を取得しているかを必ず確認しましょう。自治体によっては、許可を取得している事業者の一覧を公式サイトなどで公開していることもあるため、参考にすると安心です。なお、「古物商の許可」「産業廃棄物処理業の許可」と「一般廃棄物収集運搬業の許可」は異なるため、単に「許可を持っている」というだけでは不十分です。
不要な車やタイヤをまとめて売却する選択肢も
タイヤの処分を検討するタイミングで、実は車も古くなってきて乗り換えや処分を考えているのであれば、タイヤと一緒に車の売却を検討する方法もあります。状態が良いタイヤであれば、ホイールセットなどを含めて査定に組み込めるケースもあるため、思わぬ高値がつくこともあるでしょう。
大手の買取店や中古車査定サービスでは、無料で査定を行い、キャンセルも可能なところがあります。査定額に納得できなければ、手放さずに保留するという選択肢も残されているため、気軽に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
廃タイヤの処分は、自治体のごみ収集に出せないことが多く、処分費用も発生しがちです。しかし、正しい方法で処分すれば環境保全や再資源化にも貢献でき、さらに状態の良いタイヤなら売却という選択肢も考えられます。業者を選ぶ際は「一般廃棄物収集運搬業許可」を取得しているかどうかを確認し、不用品回収業者の利用も含めて費用や手間を比較しながら最適な方法を探しましょう。
また、タイヤの寿命や交換時期を把握しておくことで、スリップサインやプラットフォームが出たタイミングで早めに新品に切り替え、古いタイヤは安全かつ確実に処分できるようになります。交換費用を抑えるにはタイヤ販売店やカー用品店のキャンペーンを狙ったり、買取に出せるタイヤかどうかを査定してもらったりするのも一案です。
不法投棄や無許可業者への引き渡しは、厳しい罰則が科せられるリスクがあります。「無料」「格安」といった宣伝を見かけても、正規の許可業者なのかをしっかり確認し、違法行為に加担しないように気をつけてください。大切なのは、信頼できる手段を選び、トラブルを避けながら安心して廃タイヤを処分すること。不要になったタイヤを適切に処分することで、環境にやさしく、安全なカーライフを実現しましょう。