愛車を長く快適に、そして安全に乗り続けるためには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。なかでも「6か月点検」は、見落としがちな不具合を早期に見つけ、重大な事故やトラブルを防ぐ大切な機会です。しかし、「そもそも6か月点検って受けなきゃいけないの?」「受けないと何かデメリットがあるの?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、6か月点検の目的・費用・時間などの基礎知識から、ディーラーなどでよく聞く「1か月点検」「12か月点検」「24か月点検」「車検」との違いまでを徹底的に解説します。実際の点検項目や受けるメリット、注意点まで網羅し、より安心して車に乗り続けられる情報をしっかりお伝えします。6か月点検についての理解を深め、愛車を安全に維持するためのポイントをぜひ押さえておきましょう。
6か月点検とは何か
6か月点検とは、新車や認定中古車を購入した際、最初の6か月前後で実施される定期点検のことです。ディーラーや販売店、整備工場などで受けられ、メーカーや店舗ごとに点検の呼び名が異なる場合があります。
- 新車を購入して最初に受ける6か月点検
例えばトヨタであれば「新車6ヶ月無料点検」、日産では「新車無料6か月点検」と呼ばれることが多いです。購入から半年程度経過した時点で、販売店から点検の案内が届くので、それをきっかけに受ける方がほとんどでしょう。 - その後、半年ごとに受ける6か月点検
これは日産の「安心6か月点検」のように、1年に2回のペースで行う点検サービスを指すことがあります。特に使用頻度が高い方や、走行距離が多い方、悪路をよく走る方など、車に負担がかかりやすい環境で使用している場合に適した点検です。
いずれの6か月点検も法律上は義務ではなく、必ず受けなければならないわけではありません。しかし、安全性の確保やトラブルの未然防止、保証の適用など、受けるメリットは大きいため、多くのディーラー・販売店では定期受診を推奨しています。
6か月点検の対象になる車と点検項目
6か月点検は、主に新車や認定中古車をディーラーや販売店で購入した場合に対象となります。特に新車は無料点検として提供されることが多いので、積極的に活用しましょう。
点検項目の例
たとえば日産の「新車無料6か月点検」(購入から6か月)の場合、下記のような項目を点検します(ガソリン車・ハイブリッド車の場合)。
- ハンドル回り
パワーステアリング装置の状態 - エンジン回り
エンジンオイル、冷却装置、排気ガスの測定など - 電気装置
バッテリーの電圧や劣化状態 - ブレーキ回り
ブレーキペダルの踏みしろ、パーキングブレーキの作動、リザーバタンクの残量 - タイヤ・足回り
タイヤの空気圧、溝の深さ、摩耗状況 - 動力伝達装置
クラッチ周辺の動作 - その他
ライト・ウィンカーなどの点灯具合
一方、半年ごとに実施される「安心6か月点検」も、おおむね上記のような内容ですが、ワイパーや下回りの確認を含む場合があります。電気自動車(EV)の場合は、ガソリン車・ハイブリッド車とは一部異なる点検項目が設定されるので、対象車のマニュアルやメーカーサイトで確認しましょう。
シビアコンディション下の車両は要注意
悪路をよく走る、極端に頻繁に使用するなど「シビアコンディション」で使用している場合は、6か月より短いスパンでの点検が推奨されることがあります。砂利道や山道、雪道などを日常的に走る方は、消耗品の交換サイクルが早くなるため、普段の走行状況を整備士やスタッフに伝えると安心です。
6か月点検を受けないとどうなるのか
6か月点検は、法定点検(12か月点検や24か月点検)のように「受けないと罰則が科される」ものではありません。罰金や減点などのペナルティはないため、「絶対に行かなければならない」という義務ではないのが事実です。しかし、いくつか注意すべきポイントがあります。
- 保証の適用外になる可能性
新車や認定中古車の場合、メーカーや販売店が定める点検を受けないと、万が一のトラブルで保証が適用されないケースがあります。ディーラーによって規定は異なりますが、定期点検を受けることが保証の条件になっていることは少なくありません。 - 小さな不具合を見逃し、大きなトラブルに発展
6か月点検を受けずに放置していると、初期段階で発見できたはずの不具合が悪化し、修理費が高額になる可能性があります。走行中に重大な故障や事故につながるリスクもあるため、安全面からも点検はできる限り受けるのがおすすめです。 - 下取りや売却時の査定に影響
中古車として売却を考えている場合も、定期的に点検を受けているかどうかで査定額が変わることがあります。メンテナンスノートに定期点検の履歴がしっかりと記録されていれば、車両のコンディション管理が行き届いていると判断され、評価が上がる可能性もあるでしょう。
6か月点検を受ける必要性やメリット
1. 車の不具合を見つけやすい
定期的に点検を受けることで、部品の摩耗や劣化、エンジンの不調などを早期に発見できます。小さな異変のうちに修理すれば、費用も抑えられ、大きなトラブルや事故を未然に防ぐことが可能です。車両本体の問題だけでなく、ドライバーの運転の癖や、普段の走行環境に起因する不具合も洗い出しやすくなります。
2. 適切な頻度でオイル交換ができる
エンジンオイルは車の「血液」ともいえる重要な存在です。定期的に交換しないと燃費が悪化するだけでなく、エンジン内部の摩耗が進んで故障リスクが高まります。6か月点検と合わせてオイル交換を実施すれば、交換時期を見逃す心配が減り、常にベストな状態で愛車を走らせることができるでしょう。
なお、点検が無料でもオイル交換は別料金となることが多い点には注意が必要です。ディーラーや店舗ごとに工賃やオイル代が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
6か月点検はどこで受けられる?
基本的には、以下の場所で6か月点検を受けられます。
- ディーラー(メーカー系販売店)
新車を購入した場合、1か月点検や6か月点検が無料サービスとなっていることが多く、メリットがあります。購入店舗であれば車両の購入履歴や整備履歴がしっかりと共有されているため、相談もしやすいでしょう。 - 車の販売店や整備工場
ディーラー以外の販売店やカー用品店、整備工場などでも6か月点検を受けることは可能です。「少しでも費用を抑えたい」「いつも利用している整備工場に任せたい」という場合には、こうした選択肢も有効です。ただし、保証の観点から初回の6か月点検は購入店で受けるのがおすすめです。
6か月点検は自分でもできるのか
メーカーのWebサイトやメンテナンスノートを参考に、自分で点検作業を行うことは不可能ではありません。実際、車検ですらユーザー車検として個人で実施できる制度があります。しかし、以下の点からプロに任せるほうが安心です。
- 専門知識や経験が必要
エンジンオイルやバッテリー、ブレーキなど、車の安全性に直結する部分を正確に判断するには経験と知識が求められます。誤った作業を行うと、かえって不具合を引き起こすリスクもあります。 - 安全や保証の面でのリスク
点検漏れや整備不良があった場合、走行中にトラブルが起きても自己責任になりがちです。保証が効かなくなる可能性もあるため、リスクを避けたいなら正規ディーラーや整備工場などプロの手を借りるのが無難です。
6か月点検の費用・時間の目安
- 費用
新車購入後に受ける最初の6か月点検は、無料で行うディーラーや販売店が大半です。一方、半年ごとに受けるタイプの6か月点検は、8,000円~10,000円程度が相場となります。軽自動車や乗用車、ディーラーの料金設定によって多少差が出るため、事前に問い合わせてみましょう。 - 所要時間
点検作業自体は30分~1時間程度で完了することが多いです。ただし、店舗の混雑状況によっては待ち時間が延びる場合もあるため、予約をしてから行くのがおすすめです。
6か月点検の流れ
ディーラーで6か月点検を受ける一般的な流れの例は、以下のとおりです。
- 電話やWebで点検の予約を取る
希望日時を伝え、スムーズに作業ができるよう手配してもらいます。無料点検であれば費用に関する説明も特に必要ありませんが、オイル交換や部品交換が必要な場合の見積もりなどは事前に確認しておくとよいでしょう。 - 予約日時に店舗へ行く
車検証やメンテナンスノートを忘れずに持参します。受付で点検内容や要望を再確認します。 - 点検作業の待機
点検作業には30分前後~1時間程度かかります。待合室でドリンクを飲む、雑誌を読む、展示車を見るなどして待機しましょう。急ぎの場合は、事前に代車の手配が可能かどうか確認しておくと安心です。 - 点検結果の説明・追加整備の有無の確認
点検後、整備士や担当スタッフから「どこに異常があったか」「どの部品が消耗しているか」といった報告を受けます。必要があればオイル交換や部品交換を行い、問題がなければ終了です。 - 会計・次回点検の案内
有料の場合は点検費用、部品交換費用などを清算します。無料点検でも、オイル代や工賃が発生するケースがあるので確認しましょう。また、次回の点検や車検の案内を受けることも多いです。
6か月点検と似た点検の種類
6か月点検以外にも、車の安全確保や法的義務に基づく点検にはいくつか種類があります。それぞれの特徴を理解しておくと、より計画的なメンテナンスが行えるでしょう。
新車1か月点検
新車を購入した場合、一般的に「新車1か月点検」が無料サービスとして提供されます。購入後1か月前後で行い、エンジンやブレーキ、ライトなどの基本的な項目を中心にチェックします。新車は慣らし運転の期間中に不具合が見つかることもあるため、この点検を受けて疑問点を解消しておくと安心です。
12か月点検(法定点検)
12か月点検は法律で定められた「法定点検」の一つです。1年に1回行うことが望ましいとされていますが、受けない場合の罰則はありません。しかし、法律が定める点検項目を怠っていると安全性が損なわれるリスクもあり、トラブル時の保証面でも不利になる場合があります。12か月点検を受けた場合は、フロントガラスに貼られた丸型のステッカーに年月が記載されるため、次回点検の目安にしましょう。
24か月点検(法定点検)
24か月点検も同じく法定点検です。新車であれば購入後2年目ごとに行い、12か月点検よりも点検項目が多いのが特徴です。ブレーキや足回りを含むさまざまな部位を確認し、車両全体の安全性を再チェックします。ディーラーや販売店では、24か月点検と車検を同時に行う場合が一般的です。
車検
車検は国の基準をクリアしているかどうかを確認するための検査です。車検の満了日が過ぎた車で公道を走行すると「道路運送車両法違反」に該当し、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という厳しい罰則が科されます。満了日までに余裕をもって予約を取り、必要書類を用意して受けましょう。ディーラーや販売店、整備工場など、受け付け先はいくつかありますが、費用やサービス内容に違いがあります。
事業用・自家用トラックなどは点検内容や時期が異なる
自家用の乗用車や軽自動車とは異なり、商用車やトラック、事業用車両などでは車検や点検のサイクルが変わります。新車の商用車であれば最初の車検は購入後2年、乗用車用の商用車はその後1年に一度の車検が必要、といった具合です。また、中小型トラックでは6か月ごと、12か月ごとに実施しなければならない法定点検もあります。所有する車が業務用の場合は、一般的な乗用車と同じ感覚でいると違反になってしまう恐れがあるため、必ず購入時や契約時にサイクルを確認しましょう。
ドライバーが日常的に点検したいポイント
ディーラーや整備工場での定期点検以外にも、ドライバー自身がこまめに愛車の状態をチェックすることが大切です。JAF(日本自動車連盟)では「日常点検15項目」を推奨しており、その中から主な点検部分を紹介します。
エンジンルーム
- ウィンド・ウォッシャー液の量
不足している場合は、専用液を補充します。視界が悪いと運転に支障が出るため、こまめにチェックしましょう。 - ブレーキ液の量
タンクのMAXとMINの間にあるか確認します。著しく減っている場合はブレーキパッドの摩耗や液漏れが考えられ、非常に危険です。 - バッテリー液の量
バッテリーのUPPERとLOWERの間にあるかを確認します。液が減っているとバッテリー上がりや破裂のリスクがあります。 - 冷却水の量
リザーバータンクのFULLとLOWの間にあるかをチェック。足りないまま走行するとエンジンがオーバーヒートを起こす恐れがあります。 - エンジンオイルの量
オイルレベルゲージで確認し、規定範囲外の場合は補充や交換が必要です。エンジン保護の要となるため、怠らないようにしましょう。
タイヤ回り
- 空気圧
指定の空気圧であるか定期的にチェックし、ガソリンスタンドなどで調整します。空気圧が足りないと燃費悪化やハンドリング不良の原因になります。 - 亀裂・損傷・異常な摩耗
小石や釘が刺さっていないか、異常に片減りしていないかを目視で確認します。深刻な損傷や偏摩耗はバーストやスリップ事故につながる可能性があります。 - タイヤの溝の深さ
スリップサインが出ていないか確認し、摩耗が限界なら早めに交換を検討しましょう。 - ランプ類の点灯・点滅、レンズの汚れや破損
ヘッドライトやウィンカー、ブレーキランプなどが正常に点灯しているかを定期的にチェックし、汚れやヒビがあれば対処します。
運転席回り
- ブレーキペダルの踏みしろ・ブレーキの利き
ペダルが途中まで軽く踏み込め、ある程度のところでしっかり効くか。違和感や制動力の低下を感じたら早急に点検が必要です。 - パーキングブレーキの作動
レバーやペダル式の場合、それぞれ決められた引きしろ・踏みしろでしっかり固定できるかを確認します。 - ワイパーの拭き取り状態・ウォッシャーの噴射
水滴や汚れをきちんと拭き取れない場合はゴム交換を検討し、ウォッシャーの向きや噴射量が適切かもチェックします。 - エンジンのかかり具合・異音
スムーズに始動しない、アイドリングが不安定、異音がするなどの症状があれば、エンジン内部にトラブルがあるかもしれません。 - エンジンの低速・加速状態
アクセルを踏んだときの反応や加速に違和感がないかを確認します。エンストやノッキングなどの症状があれば、早めに整備工場で点検を受けましょう。
まとめ
6か月点検は、法定点検ではないものの、新車購入時や定期的なメンテナンスの一貫として非常に重要です。愛車の小さな不具合を早めに見つけることで、大きな故障を防ぎ、修理費用も抑えられます。また、メーカーや販売店によっては、6か月点検を受けないと保証が無効になってしまうケースもあるため、可能な限り受けておくのが得策です。
特に新車の1か月点検や6か月点検は無料サービスとして提供されることが多く、この時期に普段抱えている疑問や不安を整備士に相談できるというメリットもあります。オイル交換や消耗品のチェックをこまめに実施し、万全の状態で車を走らせることは安全運転につながるだけでなく、燃費や寿命を延ばすうえでもプラスに働くでしょう。
あわせて、12か月点検や24か月点検といった法定点検、そして車検も忘れずに受けることが大切です。商用車やトラックなど、通常の乗用車とは点検サイクルが異なる車をお持ちの方は、特に注意してスケジュール管理を行いましょう。日常的な点検を自分で行いながら、専門家によるプロの点検を定期的に受けることで、愛車をいつまでも快適に乗り続けることができます。安全性と安心感を得られる6か月点検を、ぜひ積極的に活用してみてください。