セルフ式ガソリンスタンドの給油方法とは?注意点を解説

セルフ式ガソリンスタンドの給油方法とは?注意点を解説

セルフ式のガソリンスタンドが増え、給油を自分でおこなう機会が格段に多くなりました。免許を取り立ての初心者ドライバーの方や、これまでフルサービスのスタンドしか利用したことがない方にとっては、セルフ給油はとっつきにくい印象があるかもしれません。ですが、正しい手順や注意点を把握しておけば、実は安全かつスムーズに給油ができます。本記事では、セルフスタンドの基本的な給油方法から危険防止のための注意点、そしてメリット・デメリットまで詳しく解説します。車だけでなく、バイクや原付を利用される方に向けた給油のコツもあわせて紹介しますので、これからセルフスタンドを利用される方はぜひ参考にしてみてください。

セルフ給油が増えている背景

従来のガソリンスタンドには、スタッフが誘導から給油、窓拭き、ゴミ捨てなどをおこなうフルサービス式が主流でした。しかし近年は、セルフ式のガソリンスタンドが全国的に増加しています。背景には人件費削減や燃料価格の高騰などがあり、セルフ式を選ぶことでガソリン価格を少しでも安く提供できるようになったことが大きな要因です。

実際、平成10年度の時点では全国で85店舗しかなかったセルフスタンドが、令和3年度には10,000店舗を超えるまでに増えています。こうした時代の流れにより、ドライバーが自分で給油をおこなうシーンが当たり前になりつつあります。今までフルサービスでしか入れたことがないという方でも、いざというときにセルフスタンドを使えるようになっておくととても便利です。

給油前に確認しておきたいポイント

セルフスタンドに向かう前に、いくつかチェックしておくと落ち着いて給油ができます。慣れないうちは焦りがちですが、以下の点を先に把握しておくだけでも失敗やトラブルを防げるので、ぜひ確認してみてください。

給油口の位置と開け方

給油をする際、給油機のホースを伸ばしてクルマの給油口まで届かなければなりません。給油機に対してどちらを向けて停車するかは、給油口が右にあるか左にあるかによって決まります。「実は給油口の場所を把握していない」という方も少なくありません。

車によってはメーター付近にある給油機のマークに「◀」「▶」がついており、この三角形が給油口の位置を示しています。たとえば左向きなら給油口は左側、右向きなら右側です。もし表示がない場合は、事前に車の取扱説明書や外観で確認しておくと安心です。

また、給油口の開閉方法も車種によって異なります。レバーを引くタイプや、運転席周辺のパネルスイッチで開けるタイプ、外からカバー部分を直接押して開けるタイプなどさまざまです。「慌ててボンネットを開けてしまった」という失敗談もよく耳にするので、あらかじめ給油口の開け方を確かめておきましょう。

使用する燃料の種類

意外と多いのが「燃料の入れ間違い」です。軽自動車に軽油(ディーゼル)を入れてしまったり、ディーゼル車にガソリンを入れてしまったりするケースは、セルフスタンドの利用が増えるにつれ報告数も多くなっています。

  • レギュラーガソリン(無鉛レギュラー)
  • ハイオクガソリン(無鉛プレミアム)
  • 軽油(ディーゼル)

上記3種類が基本で、それぞれ給油機のノズルカラーも概ね決まっています。多くのスタンドは、赤がレギュラー、黄色がハイオク、緑が軽油としている場合がほとんどです。ただし、色で判断する前に「自分の車がどの燃料に対応しているか」を確実に覚えておくのが先決です。車検証を見れば燃料の種類が明記されていますし、給油口のフタの裏側に油種のラベルが貼ってあるケースもあります。

もし間違った燃料を給油して走行してしまうと、エンジンが故障して走行不能になり、大きな出費になってしまう可能性があります。燃料を選ぶときは、毎回しっかり確認してから給油することが肝心です。

セルフ給油の手順

実際にセルフスタンドに行ったとき、どんな流れで給油すればいいのかを具体的にイメージしておくと焦らずに済みます。ここでは、クルマの場合のセルフ給油手順を順を追って説明します。

  1. 給油機の横に車を停車する
    空いている給油機のレーンに入り、給油口が給油機側に来るように停車します。止まる目安としては給油機から1m前後が作業しやすい距離です。車を停めたらエンジンを切り、窓やドアを閉めておきましょう。気化したガソリンが車内に入るのを防ぐためです。
  2. 給油口カバーを開ける
    先ほど確認したレバーやスイッチを使って給油口カバーを開けます。車外に出たら、給油機の操作画面へ向かいましょう。
  3. 操作画面でオーダーをする
    スタンドによってUI(画面操作)は多少違いますが、以下の点をタッチパネルやボタンで順に選択する流れが一般的です。
    • 支払い方法(現金・クレジットカード・プリペイドカードなど)
    • 油種の指定(ハイオク・レギュラー・軽油)
    • 給油量の指定(満タン、金額指定、リッター数指定)
      ポイントカードやアプリ割引の入力を促される場合はその指示に従って操作します。音声ガイダンスが流れるところも多いので、わからないときは店内にいるスタッフに声をかけましょう。
  4. 静電気除去シートに触れる
    必ず給油を始める前に静電気除去シートをタッチしましょう。人体に帯電している静電気が火花を発し、ガソリンの気化ガスに引火すると非常に危険です。特に乾燥する季節は静電気による火災リスクが高まるので、意識して除電を行ってください。
  5. ノズルを取り、給油口に奥まで差し込む
    選択した燃料のノズルを手に取り、給油口にしっかりと奥まで差し込みます。このとき、ノズルがきちんと奥に入っていないと安全装置が働いて給油が止まることがあります。ゆっくり奥まで差し込んでから、レバーを握って給油を開始してください。
  6. 満タンセンサーが働くまで給油する
    満タンを選択している場合は、一定量に達すると「カチッ」という音がして給油が自動的に停止します。金額指定やリッター指定をしている場合も、あらかじめ指定した分まで給油した時点で止まるので安心です。
    なお、給油が止まってからさらに追加で給油しようとする「継ぎ足し給油」は、ガソリンの吹きこぼれにつながる恐れがあるためやめましょう。
  7. ノズルを元の位置に戻す
    給油が完了したら、ノズルをゆっくり持ち上げ、ホースを給油口から抜きます。その際、レバーにうっかり触れてしまうとガソリンが出てしまうことがあるので十分注意してください。ノズルをスタンド側の元の場所にしっかり戻したらOKです。
  8. 給油キャップを閉め、カバーを閉じる
    給油キャップはカチッと音がするまで確実に締めてください。ここでキャップをしっかりはめ忘れると、漏れや火災の危険が高まります。給油口カバーも閉じ、完全に施錠されているか確認しましょう。
  9. 精算をする(現金支払いの場合)
    現金払いのときは、機械によっては先払い方式か後払い方式かが異なります。タッチパネルの指示どおりに進めれば問題ありません。多めの金額を入れて満タン給油し、差額が発生した場合はお釣りで調整されます。カード決済の場合はオーダー時点で決済が完了していることがほとんどです。お釣りやレシートの取り忘れに気をつけましょう。

給油時に気をつけたい重要ポイント

ガソリンは非常に揮発性が高く、-40℃程度でも引火するほど危険度の高い燃料です。スタンドで給油中は以下の点に十分注意してください。

火気厳禁

ガソリンは目に見えない気化ガスとして周囲に漂う場合があります。タバコやライターなどのわずかな火種でも簡単に引火・爆発を引き起こす危険性があるので、スタンド内での喫煙は絶対にやめましょう。また、ライターやマッチなどを操作することも禁止です。

携帯電話・スマホの使用はNG

携帯電話やスマホの着信や操作によって火花が発生する可能性があります。また、通話や操作中は給油作業への注意が散漫になり、ガソリンの吹きこぼれなど危険を見逃すリスクが高まります。スタンド内で給油するときは、原則として携帯・スマホの電源は切るか、少なくとも操作や通話はしないようにしてください。

エンジンを停止して給油する

セルフでもフルサービスでも、ガソリン給油はエンジン停止が前提です。エンジンがかかっているとガソリンが燃焼(気化)している状態のため、万が一引火したときに被害が拡大します。車を停めたら、まずエンジンを切ることを徹底しましょう。

携行缶への自分での詰め替えは禁止

セルフスタンドでは、携行缶への給油は消防法によって原則禁止されています。携行缶にガソリンを入れる場合は、店舗のスタッフが詰め替えを行い、使用目的や本人確認をする決まりです。また、灯油用のポリ容器にガソリンを入れることも法律で禁じられています。もし携行缶が必要な場合は、必ず店頭のスタッフに相談しましょう。

給油キャップの閉め忘れ・ガソリンの劣化

給油キャップを閉め忘れると、燃料漏れによる引火リスクが高まるだけでなく、走行中にガソリンが揮発したり、ゴミや水が混入したりしてエンジンにダメージを与える可能性があります。給油したらキャップがしっかり締まっているか最後に必ず確認しましょう。

また、ガソリンは半年ほどで劣化し始めると言われています。長期間乗らない車でガソリンを放置すると、エンジン内部の不具合や故障の原因となる場合があります。もし長期保管後にガソリンに刺激臭がするようであれば、エンジンをかけずに専門業者に相談してください。

セルフスタンドのメリット・デメリット

セルフ式とフルサービス式、それぞれに特徴があります。ここではセルフ式のメリットとデメリットを整理し、自分に合ったスタンド選びの参考にしてみてください。

メリット

  • 価格が安い
    人件費を削減している分、ガソリン価格が低めに設定されていることが多いです。近年の燃料価格高騰を少しでも緩和したいときにはありがたいポイントです。
  • 自由度が高い
    自分の好きなタイミングで給油機を操作できるため、待ち時間が少なく、セルフ洗車や車内清掃も合わせて自由に行えます。ポイントカードやアプリ割引なども利用しやすいのが魅力です。
  • 基本的にスタッフは常駐している
    セルフといっても無人ではなく、安全のため常にスタッフがモニターなどで監視しています。困ったときや緊急時には声をかければ対応してもらえます。

デメリット

  • サービスが受けられない
    フルサービス店では窓拭きや灰皿掃除、ゴミ捨て、オイルやクーラントの点検など、何かと便利なサービスをしてもらえます。そうしたサービスがないのがセルフ式の弱点です。
  • 初めての人は戸惑いやすい
    最初はタッチパネルの操作やノズルの扱いに少し緊張してしまいがちです。慣れるまでは操作手順を一つひとつ確認しながらゆっくりおこないましょう。

バイクや原付の給油をスムーズにするコツ

クルマよりも難易度が上がると言われるのがバイクや原付のセルフ給油です。車体の形状が違うため、ノズルの扱いや油面の確認が少し難しく感じられます。以下のコツをおさえておけば、バイクや原付の給油もスムーズに行えます。

給油口の開け方・締め方

原付にはカギを使うタイプが多く、以下のステップで開閉するケースが一般的です。

  1. 開けるとき
    • カギを差し込み、90度ほど右に回す。
    • フタがポコッと浮くので外す。
  2. 締めるとき
    • フタを給油口に差し込む際、目印となる「▲」などのマークを合わせる。
    • カギを90度左に回し元に戻す。カチッと固定されれば完了。

もし締め方が分からない場合は無理をせず、スタッフを呼んで手伝ってもらうのが安全です。

ノズルの扱いと給油のコツ

クルマの給油のようにノズルを奥まで差し込んでレバーを全開に握ると、バイクや原付のタンク形状によってはあふれてしまう恐れがあります。バイク・原付の給油口は小さく、中の様子が見えやすいとはいえ、ノズル先端のセンサーが正常に働きにくいこともあるため、以下の方法がおすすめです。

  • 弱めにレバーを握る
    ガソリンの流れを緩やかにして、少しずつ給油していきます。あふれそうになったらレバーを離し、落ち着いて給油量を調整してください。
  • ウエスや雑巾を準備する
    スタンドの周辺に置いてあることが多いので、給油口のまわりを拭きながら入れると、うっかり垂れたガソリンで車体が汚れたり、足元を汚したりする心配が減ります。見当たらないときはスタッフに声をかけるといいでしょう。
  • 入りきらない場合は無理に追い足さない
    センサーが作動しにくいとはいえ、一度満タン近くになったタイミングであふれそうになったら、それ以上は無理して詰め込もうとしないようにしてください。

まとめ

セルフ式ガソリンスタンドは最初こそ戸惑うこともありますが、手順をしっかり理解すれば安心して給油できます。給油口の場所や開け方、使用燃料の種類などを事前に確認し、操作画面の指示に従って落ち着いて進めることが大切です。ガソリンは大変危険な燃料なので、静電気除去や火気厳禁の徹底、携帯電話の使用禁止などのポイントを守ることも忘れないでください。セルフスタンドは価格が安いというメリットがある反面、サービス面が簡略化されるデメリットもありますが、状況に応じて使い分ければ車の維持に大いに役立つでしょう。

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