【高齢者の運転免許更新】高齢者講習とは?更新手続きの方法を解説

【高齢者の運転免許更新】高齢者講習とは?更新手続きの方法を解説

この記事では「高齢者講習」について解説しています。高齢者講習の年齢別の内容、所要時間・料金、種類などを細かく解説しています。

「親が高齢になってきて、車の運転が心配。だけど、講習や返納を考えてくれない。」という悩みはございませんか?
「高齢者講習」は、高齢者ドライバーが安全に運転できるようにサポートするためのものです。運転能力の低下を指摘することが趣旨ではありません。
歳を重ねるとともに出てくる心身の変化に応じた運転を身につけ、これからも安全に運転することが大切です。

ぜひ、この記事を読んで「高齢者講習」について知り、受講に踏み切ってみましょう!

高齢者講習とは

「高齢者講習」とは、
年齢が満70歳以上の方が免許を更新する際に受ける必要がある講習のことです。
免許更新を希望する場合は、座学、運転適性検査、運転講習などで構成された「高齢者講習」を必ず受ける必要があります。

免許証の更新期間は誕生日の前後1ヶ月間。
ですが高齢者講習は、誕生日の5ヶ月前から誕生日の1ヶ月後(満了日)まで受けることができます。
なお、免許更新期間の満了日時点で年齢が75歳以上の方は、高齢者講習を受ける前に、「認知機能検査」
を受ける必要があります。「認知機能検査」とは、高齢者講習において一人ひとりに適した講習をするために行う、記憶力や判断力を測定する検査です。

【趣旨】安全運転のための講習

年齢を重ねると記憶力や判断力が低下し、体力・視力などの身体機能も低下してきます。運転免許を取得した若い頃のままで、ずっと同じでいられるわけではありません。このような心身の変化を理解し、変化に対応した運転を心がけることが、安全運転につながっていきます。
このために1998年から、「高齢者講習」が義務化されました。70歳以上の運転免許証所持者に対して義務化されており、受講しないと免許証の更新はできません。

高齢者講習の内容

70歳から74歳の方

◯ DVDなどで、交通ルールや安全運転に関する知識を再確認します。その後、指導員から運転に関する質問などを受けながら、講義を受講します。
◯ 器材を使って、動体視力、夜間視力および視野を測定します。
◯ ドライブレコーダーなどで運転状況を記録しながら車を運転します。必要に応じて記録された映像を確認しながら、指導員から助言を受けます。

75歳以上の方

【認知機能検査】
記憶力・判断力の判定を内容とした認知機能検査を受検します。検査の結果により、その後の流れが変わります。

【高齢者講習】
1. 認知機能検査の結果が第3分類(※)の場合
◯ DVDなどで、交通ルールや安全運転に関する知識を再確認します。その後、指導員から運転に関する質問などを受けながら、講義を受講します。
◯ 器材を使って、動体視力、夜間視力および視野を測定します。
◯ ドライブレコーダーなどで運転状況を記録しながら車を運転します。必要に応じて記録された映像を確認しながら、指導員から助言を受けます。

2. 認知機能検査の結果が第2分類(※)または第1分類(※)(臨時適性検査等の結果、認知症ではないと診断された方)の場合
◯ DVDなどで、交通ルールや安全運転に関する知識を再確認します。その後、指導員より運転に関する質問などを受けながら、講義を受けます。
◯ 器材を使って、動体視力、夜間視力および視野を測定します。
◯ ドライブレコーダーなどで運転状況を記録しながら車を運転し、指導員から助言を受けます。
◯ ドライブレコーダーなどに記録した映像などを使いながら、運転に関する個人指導、
DVDなどによる安全運転に関する講義を受けます。

高齢者講習の費用

2020年6月現在での高齢者講習の費用は、以下の通りです。

高齢者講習: 5,100円
高齢者講習(小型特殊免許): 2,250円
シニア運転者講習: 5,100円
チャレンジ講習: 2,650円
簡易講習(チャレンジ講習70点以上の方のみ受講可能): 1,800円
運転免許取得車講習: 教習所ごとに異なります。

高齢者講習の時間

高齢者講習: 2時間
高齢者講習(小型特殊免許): 1時間
シニア運転者講習: 2時間以上
チャレンジ講習: 1人約30分
簡易講習(チャレンジ講習70点以上の方のみ受講可能): 1時間以上
運転免許取得車講習: 2時間以上

高齢者講習の種類は?

高齢者講習

高齢者の方が免許更新時に受ける、一般的な講習です。試験ではありません。なので受講すると、必ず終了証明書が交付されます。

シニア運転者講習

「高齢者講習」と同じ内容です。住居地以外でも受けることができます。

チャレンジ講習

加齢によって出てくる身体機能の低下が、自動車運転に影響を及ぼしているかどうかを確認するための講習です。教習所コース内の普通車による運転を通して、講習および試験を行います。この評価点が70点以上の場合、合格です。簡易講習を伏せて受講することで、高齢者講習に代えることができます。
70点未満の方は、再度チャレンジするか、他の講習を受講することになります。

特定任意高齢者講習(簡易講習)

「チャレンジ講習」に合格し、「チャレンジ講習結果確認書」の交付を受けた人が受講できる簡易講習です。視力などの適性検査に合格すれば、更新手続きができます。

運転免許取得者教育

運転技術向上などを目的にした講習です。この講習を受講すると、高齢者講習が免除されます。

75歳以上が高齢者講習の前に受けるテスト「認知機能検査」とは?

認知機能検査とは、記憶力や判断力の低下を簡単な問いで測定する検査です。
「時間の見当識」「手がかり再生」「時計描画」という3つの検査項目を受験し、検査用紙に記入します。認知機能検査は、公安委員会または委託された教習所などで受けることができます。検査は、30分ほどで受けることができます。

時間の見当識

検査時における年月日、曜日、時間を回答します。

手がかり再生

一定のイラストを記憶し、一旦、採点対象外の課題を行います。その後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントを元に回答します。

時計描画

時計の文字盤を描きます。さらに、その文字盤に指定された時刻を表す針について描きます。

検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて判定が行われます。判定結果は、以下の3パターンです。

◯「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」
◯「記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)」
◯「記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)」

検査結果は、後日またはその場で、書面で知らされます。

画像引用:高齢運転者支援HP
http://www.zensiren.or.jp/kourei/return/relist.html

認知機能検査で不合格の場合

認知機能検査に「不合格」という項目はありません。
ですが、評価が3段階に分かれており、講習の内容、時間、料金が異なります。

検査の結果、「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」との結果が出た場合、警察から連絡があります。その後、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、または医師の診断書を提出します。認知症であると診断された場合には、聴聞などの手続の上で運転免許の取り消し、または停止が行われます。

【認知機能検査の評価】

点数 分類 認知機能の低下について 時間・料金
76〜100点 第3分類 認知力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)。 2時間講習

5,100円

49〜75点 第2分類 認知力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)。 3時間講習

7,950円

0〜48点 第1分類 認知機能・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)。 専門医の診断、または診断書の提出後、問題がなければ高齢者講習。 3時間講習

7,950円

認知症と診断された場合には、運転免許の取り消しなどの行政処分。

平成29年3月12日以降、道路交通法の一部が改正され、施行されました。これに伴い、更新時のみ義務付けられていた「認知機能検査」に関して、75歳以上のドライバーが信号無視などの【特定の交通違反(後述)】をした場合に、臨時に「認知機能検査」を受けることになります。

【特定の交通違反】

○信号無視 ○通行禁止違反 ○通行区分違反 ○横断等禁止違反
○進路変更禁止違反 ○しゃ断踏切立入り等 ○交差点右左折等方法違反
○指定通行区分違反 ○環状交差点左折等方法違反 ○優先道路通行車妨害等
○交差点優先車妨害 ○環状交差点通行車妨害等 ○横断歩道等における横断歩行者等妨害
○横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害 ○徐行場所違反 ○指定場所一時不停止等
○合図不履行 ○安全運転義務違反

臨時認知機能検査・臨時高齢者講習とは?

運転免許証を持っている75歳以上の方が下記の基準行為を行うと、「臨時認知機能検査」を受けることになります。この検査の結果において認知機能の低下が見られた場合は、臨時適性検査または医師の診断書の提出や、「臨時高齢者講習」を受けることになります。

【基準行為】(全18種類)
◯信号無視 ◯通行禁止違反 ◯通行区分違反 ◯横断等禁止違反 ◯進路変更禁止違反 ◯しゃ断踏切立入り等 ◯交差点右左折方法違反 ◯指定通行区分違反 ◯環状交差点左折等方法違反 ◯優先道路通行車妨害等 ◯交差点優先車妨害 ◯環状交差点通行車妨害等 ◯横断歩道等における横断歩行者等妨害 ◯横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害 ◯徐行場所違反 ◯指定場所一時不停止等 ◯合図不履行 ◯安全運転義務違反

臨時認知機能検査の通知を受けた場合

通知を受けた方は、指定された日時、場所にて、臨時認知機能検査を受験することになります。やむを得ない理由(病気、災害、海外旅行など)がなく、通知書受け取り後1ヶ月以内に受験しなかった場合、運転免許の停止処分となるので、注意が必要です。

臨時認知機能検査の内容

◯ ドライブレコーダーなどで運転状況を記録しながら車を運転して、指導員から助言を受けます。

◯ ドライブレコーダーなどに記録した映像などを使いながら、運転に関する個人指導、DVDなど
による安全運転に関する講義を受けます。

検査結果

◯ 検査結果が前回と変わりのない方
以後の手続はありません。運転免許はそのまま継続することができます。

◯ 検査結果が前回より悪くなっている方
運転免許本部より「臨時高齢者講習受講通知」が郵送されます。その通知に従って、手続を進めてください。

◯ 検査結果が「記憶力・判断力が低くなっています」と判定された方
臨時適性検査(専門医の診断)の受検、または医師の診断書の提出が必要となります。
診断結果が認知症と診断された場合は、運転免許の取り消し、または停止となります。
(認知症ではないと診断された方で、前回の認知機能検査結果と比較して悪化している場合は、臨時高齢者講習の受講が必要となります。)

持ち物

高齢者講習の持ち物

高齢者講習に持参するものは以下の4点です。

1. 「講習のお知らせ」のはがき
2. 運転免許証
3. 講習手数料
4. 筆記用具

運転時にメガネが必要な方は、必ず持参しましょう。

運転免許証の更新時に持参するもの

運転免許証の更新時に持参するものは、以下の3点です。

1. 高齢者講習終了証明書など
2. 更新手数料の2,500円
3. 「更新のお知らせ」のハガキ

メガネや補聴器が必要な方は、必ず持参しましょう。

運転免許の自主返納

運転免許証が不要になった方、加齢に伴う身体機能の低下などで運転に不安を感じるようになった高齢者の方は、自主的に運転免許証を返納することができます。

有効期限内に運転免許証を自主返納すると、安全運転を努めてきた証として、「運転経歴証明書」が交付されます。

「運転経歴証明書」は公的な身分証明書として使うことができ、バス・タクシーの乗車運賃割引など、様々な特典があります。
高齢者が車に依存することなく移動することができ、充実した生活を続けられるよう、地域ごとの自治体や事業者などによる様々な支援が行われています。

まとめ

今回は、運転免許所有者のための「高齢者講習」について解説しました。
「高齢者講習」の趣旨は、高齢者ドライバーが安全に運転するためのサポートです。高齢化に伴う心身の変化に対応していくことが、今後の安全運転につながります。

講習の結果によっては、運転免許の取り消しになることもあります。ですが、期間内に自主返納すれば、公共交通機関がお得に使える特典がありますので、それらをうまく使うことを考えましょう。

読者の親御様などの高齢者ドライバーが、今後も安全に過ごせることを願います。

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